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二章
re.《48》
しおりを挟む「このまま喰ってしまえば·····お前は、俺のものになるだろうか?」
満たされない。
これでは到底足りない。
気が狂ってしまいそうなのだ。
それは自分が、ミチルを────。
「··········?」
雁字搦めの思考は、はたと白色に染まった。
おもむろに、頬に感じる温もりを見下ろす。
細い指先だ。こちらの骨格をなぞって、さらに手のひらを押し付けてくる。
「ダリア」
彼はそう言って、そっとまつ毛を揺らした。
岩のような身体に、耐えきれず愛液が飛び散る。
その下に目をやると、有り得ないほど大きな杭が、自分に突き刺さっている。
どこをどう見ても、決してこちらに勝ち目は無い屈強な肉体だ。
輝く紫の瞳はとても冷たい。
恐ろしいはずなのに───ふと感じた異変に、胸の中で何かが叫ぶ。
(さっき、なんて·····?)
凍えるように冷静な瞳を知っている。
しかしそれは紫じゃない。同じような眼差しが、輝いた瞬間も知っている。
空虚で、寂しそうな眼差しだった。
彼は血の海にひとりきりだった。
長い年月をひとりで過ごした。
彼は創造者であり、命を食らう死神だから。
全て手にしておきながら、名前を呼ばれて、やっと気づいたという。
自分がずっと、寂しかったということに。
そして言ったのだ。
「ダリア·····」
食べられてしまえば、全ておしまいだろう。
けれど彼は?
そんなことを思うなんて、どうかしてるのに。
「ぁ·····ぅ"♡」
ゴクリと、生唾を飲み込む音がした。
大袈裟なほどでっぱった喉仏だ。
男らしい体の特徴が全て目立つ、美しい獣だった。
「なぁ·····」
「ニャンッ♡♡」
緩く打ち付けられた男根にヨダレがたれる。
肉襞はビクビク痙攣する。
またイッてしまいそうだ。
「もう一度·····」
「ん、♡ふ、ぅ·····♡、?ッ♡♡」
ねっとりと押し込まれてゆく長い杭に、力の入らない脚が背伸びする。
驚くほど深い。トンと硬いところを叩かれると、甲斐性もなく、岩の身体に液体を噴射してしまった。
「ダリア·····♡ダリ·····~~~ッ♡」
────柔らかな肉を手篭めにしながら、悪魔はそっと微笑んだ。
思わずというしかないほころびだった。
初めて彼を犯した日、名前を呼ばれ、熱視線で見つめられた瞬間。
卑しい身体でこちらを誘惑しようとしてきた、この醜い獲物を心から軽蔑し忌み嫌ったはずだった。
本当にそうだったろうか?
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