悪魔皇子達のイケニエ

二章

re.《４０》

覆いかぶさってきた岩に押しつぶされてしまう。
乾いた手がそっと頬を撫で、少しづつ全身を撫でてゆく。

それから、唇や手で愛撫された。
彼のは、全身と言うには足りない前戯だった。

舌や指先や、時には吐息で、恥ずかしいところも惜しみなく味わわれている。
白い太陽の光はベットに降り注いで、視界から逃れることすら許されない。

達することも出来ないほど柔らかな局部への刺激。
ぬるま湯を当てられているみたいだ。

我慢していた反応はだんだんと崩れ始めた。
初めは体のビクつき、それから荒い呼吸、そしてついには鳴き声を漏らしては、慌てて下唇を噛む。
相手はその度に舌に吸い付いて、身を傷つけてはいけないと咎めた。

長い間口内で転がされ、ふやけた乳頭は、地上に顔を出すと空中にすら感じるようになっていた。


「ひぁんぅ♡」


脇に顔を埋められ慄く。
汗を沢山かいたから、そんなところは絶対にダメだ。


「ンン·····♡」


舌の腹全体で舐めあげられると、へその下がゾクゾクした。


「ぁ、？♡」


身体へのキスに、時折刺激が混ざる。
敏感になった肌へ、牙が甘噛みするのだ。

噛みつかれてしまう。
恐怖や、ありえない期待で、身体はますます敏感になってゆく。

不意に片脚のくるぶしを掴まれ、そっと股を広げさせられる。
しっぽを撫でながら、手のひらが穴をさする。
ヌルヌルした感覚に、目元が熱い。


「·····こんなにとろけて·····」

「ぅ·····♡」

「全身を愛でられるのが気に入ったみたいだね」


ずっとこうしていられそうだと言う低音に、下腹がヒクヒク痙攣する。
きっと、それも見られている。おかしくなってしまいそうなのに、好きなわけが無い。

こんな状態で今から挿入されるなんて、想像だけでも気が遠くなりそうだった。
けれど彼は、次に進まなかった。


「性器から吸血されると、器の生殖機能が活発になるんだとか·····」

「·····？」


考えるような呟きの意味を咀嚼して、ミチルは首を傾げる。