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二章
re.《15》不満?
しおりを挟む「どちらの方がよろしかったのですか?」
まだ赤みのある頬に問いかける。
甘い蜜の匂いがした。
(たった少し愛撫しただけなのに)
───彼には、何度もこんな姿を?
「ニャッ」
内ももの付け根に伸びた中指に、ミチルはギクリとした。
彼はプロだ。
そこを触って欲しくて悶々としているのを、隠すすべもなく見抜かれてしまったのだろうか?
「·····や·····っ」
恥ずかしくて、拒否とともに顔を背ける。
すぐに後悔が押し寄せる。
体調不良の振りをして逃げていたから、ずっと慰められていなかったのだ。
「私では、ご不満なのでしょうか」
「·····?」
ボソリと呟かれた声音はよく聞こえなかった。
聞き返そうとするが、それは続きの台詞のせいでタイミングを失った。
「·····ところで、一定期間側近で使える者には適度な褒美を与える習わしがあるのを、勿論ご存知でしょう」
ジェロンの発言方向が突如変更される。
懐かしいナゾナゾの時間だろうか。
ミチルは渋々頷いた。
それと同時に───膝を覆った素手が、再び内腿に忍ばれてゆくではないか。
驚いて膝を折り曲げようとしたら、またコロリと上半身を寝転がされる。
必然的にスリーパーがめくり上がる。
払いのけようとした手は、未だしっとりと内ももを撫でながら、やがて弱いつけ根を押し上げた。
「·····??や······っ」
彼のことだからまた治療かなにかだろうか?
なんて楽観的に見ていたミチルは、足元まで乗りあがってきた彼に、さすがに待ったをかける。
股の下がスースーする。
さっき、いつの間にかパンツを脱がされていたのだ。
(ジェロンから、全部見えて·····)
「ご褒美を頂けますか」
「今、ここで」と、かがみ込んできた高い鼻に、カッと耳が熱くなる。
彼はおかしくなってしまった。
じゃなきゃ、そんな顔で、声で、まさか「そんなこと」を言うなんて有り得ない。
他にどう説明できるだろうか?
「ひぁん」
添えられていた手のひらがそこを押し広げる。
一体なんてことをするんだ。
ねばついた愛液が溢れかえっているのは、確認するまでもない。
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