悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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一章

219.鼠

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   時刻が近づいた頃、擦られ続けたナカは気が狂ってしまっていた。


「んンぅ"♡♡」


固定されて力は入っていないのに、腿が痙攣している。
体はどこも暑く火照っていた。


「へぅ"、♡?·····ッ♡」


しきりに吸い取られてヒリヒリする唇が、またチュポンと音を鳴らす。
愛しているかと聞かれ、導かれるように頷いていた。
打ち付ける腰は心が砕かれるほど甘ったるかった。


「ぁ♡」


腹の奥が開く感覚がする。
またナカに出されたのだ。

首筋にキスを落としたのが吸血の合図だ。



(ダリアをあいした記憶すら?)


それでいいでは無いか。
もう全ておしまいにして、ルシフェルに任せてしまえばいい。

この心も体も、それが幸せだろう。


『ダリアも、皇子達を愛した君の記憶も···──』


「·····!!」


刹那、地が大きく振動した。
地震か───はたまた、何かが落下したような揺れだ。


「····················」

「ぁ、ぅ"·····ンッ♡」


長い雄はやっと引き抜かれた。
ずっと挿入されていたから、穴は上手く閉じない。
無くなった方が違和感のあるほど執拗に犯されていたことを知った。


「鼠が入ったみたいだ」


彼はそう呟いた。


「ねずみ·····?」


再び、ズドンと鈍い音が響く。
何かとても恐ろしい気配を感じた。

やっと手に入れかけた安寧を、脅かされる恐怖だ。


「聖堂の中には誰も入ってこられない。ここを出ては行けないよ」


こちらへ脱ぎ捨てたジャケットをかけながら、彼が言う。
ここへ出ていくらしい。


「行かないで」


引き留めようとしたが無駄だった。
1度背後を振り返り、ルシフェルはそっと微笑んだ。


「すぐに戻る」


目の奥に残ったのは真紅の輝き。
長い影は扉が閉まるのとともに途絶え、当たりはしんと静まり返った。

治まったのではない。
彼の力で、ここだけ何もかもが防御されているのだ。

ミチルは祭壇から転げ落ちた。
床は固くて冷たい。着地だけは得意なはずの身体は、今は酷い怠気で、一切の自由も利きそうになかった。

ここでただ、目をつむり、待てばいい。
ルシフェルの言う通りにしていればいい。
彼は必ず全て片付けて自分の元へ戻ってくる。

だから余計なことは考えず、この部屋の隅で───。


『役たたずめ』


「!」


どこからか声が聞こえてきた。
見下ろした大理石に、怯えた瞳が映る。自分だった。

これは過去の記憶だ。
今も昔も変わらない。
部屋の隅でしゃがみこんで、息を殺すだけの役たたずだ。

ミチルは咄嗟に首をふった。

それでも、ルシフェルはそれでいいと許してくれた。














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