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215.耳
しおりを挟む「ミルクの匂いがする」
「··········♡」
鼓膜のすぐ近くで囁かれれば、脳みそがシロップに浸るような快楽を甘受してしまう。
「いい子だね」
注がれる言葉の数々は強力な媚薬だ。
時折、肌に硬い牙が触れる。こめかみを通り首筋へキスを連続され、当然血を吸われるかと思ったら、上下の唇にランジェリーの上から胸をつままれた。
「ぁんっ」
「俺のミチル」
「·····ミィ·····、♡」
今夜彼のものになれば、数日間にわたり房事を共にする。
まだ一度も種をつけられていないのに、身体は快楽に浸ってしまっている。耳奥を弾く水音に、時折甲高い鳴き声がまじる。
自分のものだ。
しつこく耳の中を舐められているうちに、どこから甘水が溢れているのか分からなくなった。
栓が緩んだシロップみたいに、お尻の下がぐちょぐちょだ。
張り付いたランジェリーが温さと冷たさを引き連れ、彼に抱き寄せられると、恥ずかしげもなく汁を浸した。
「にゃぁ♡ぁ·····、ひぅッ♡·····ッ♡ン·····ッ♡」
(耳、もうだめ·····ッ)
何か来てしまいそうだ。
「ルシ、·····ッ♡·····みみ、ぃ、♡や·····ッ♡」
「嫌?」
低い声が耳奥へ問いかける。何とかして頷いたのに、今度は反対側の獣耳に噛みつかれ、やがて内側へと舌が伸びてゆく。
「ふぁぁん♡♡」
舌先は器用に中をかき混ぜて、時に吸い付き肌を撫でる。脳みそが揺れるような快楽だ。
一瞬、意識が遠のいた時だった。
少し離れた唇が吐息を落とす。
全身の毛穴が開くような開放感の後、熱い湯が内腿を濡らした。
「ふぁ♡んぅ·····♡」
恥ずかしい湯気を見下ろしていたら、高い鼻が顔をのぞきこんできた。
恥ずかしい。
ただの卑しい動物になった気分だ。
シーツに手をついたら、力の入らない腕がバランスを崩す。なし崩しに全身を抱きすくめられ、大きな手の愛撫にほっとため息をつく。
「や、ん·····♡」
濡れた指先が乳頭をくすぐる。
許容範囲を超える快楽に、最早焦点すら定まらない。
一方、震えるミチルを眺めながら──ルシフェルはそっと彼を引き寄せた。
ドレスという名の下着は、彼の汗と愛液で、いやらしく体に張り付いていた。
ミチルを手に入れようと決めた時、疑いもしない自信があった。
ダリアでは物足りないほどの愛を約束した。
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