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一章
197.人懐こい男
しおりを挟む尻の頬はジンジンと熱かった。
「ン、ん·····っ♡」
切なくて我慢できない。
また視界がぼやけた時だった。
「·····このようなお戯れを、いつからなさっていたのですか?」
密着した所へ、胡散臭くてよく通る低音が響いた。
「····?····??····──ひ♡、?♡」
立ち上がった指が奥のしこりを撫でる。
こちらを宥めるように、不覚へ突き刺さったそれが、いちばん敏感な部位を繰り返し撫でた。
「普段のつれないご様子からは想像も出来ないお遊びだ」
顔を上げたミチルは言葉を失った。
肌には生気が滲み、閉じられていた瞳はアッシュに輝いている。
レイモンドだ。
「ご説明不足でしたが、長く人肌を感じますと、強制的に意識が送移されるのです。まさかこのお呼び出し方法をして頂けるとは夢にも思わず····」
流暢な声音は既にこの状況を受け入れて追加の説明をし、その間もそっとしこりを撫で続ける。
ミチルは声を殺しながら彼に抱きついた。
これ以上は情けない鳴き声がこぼれてしまうからだ。
声は優しいのに、彼の手は止まってくれない。
「どこがお好きですか?」
ミチル様と、低い声が耳元に囁く。
目を覚ましたかと思ったらどこが好きかなんて、意味がわからない。
「お望み通りに致します」
まさか、レイモンドに、一人で自慰に耽っていたことがバレてしまった。
いや、本当はこうなるまでの経緯があったのだが、言ったところで頭がおかしくなったと思われるだけだ。
彼とはまともに口を利いたことだって無い。
そもそも、レイモンドは自分のことを嫌っている。
この前も突然服を脱いで近付いてきたり、出て行けと言っても部屋に居座ったりと嫌がらせをしてきたのだから───。
「ニャ、ぁんっ♡」
考え事にのめり込みかけたら、優しかった指の腹が折り曲げられた。
軽くイッてしまった。
彼はゆっくり引き抜いた指を顔の目の前へ持ってきて、そっとかたむけた。
指先からは粘つきのある液体が滴っていた。
そして───あろうことか相手は、それを口の中に含んだでは無いか。
達した余韻も忘れて絶句する。背を撫でられるとまた「ニャー」と威嚇にならない鳴き声が漏れた。
使用人は、人懐こい感じのする笑みで言った。
「美味しいです」
「·····!!」
ありえない。
やはり変態だ。
覗いた牙にへその裏がよじれる。
覚えのある重たい疼きに、ヨダレを飲み込むことしか出来ない。
「さっきみたいにするのがお好きですか?」
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