悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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162.脆弱

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彼らがしてくれたこと。
熱や快楽は鮮明に思い出すことが出来る。
抱えた想いから逃れる方法はそれしか思いつかなかった。


「ひゃんぅ」


着崩されたシャツが湿った身体に張り付いて不快なことも無視し、指を咥え込む。
キュッとしまった孔が中指を引き込んでゆく。寂しさが少し埋まり足りなくなれば、初めよりも耐え難い切なさに襲われる。


「ミァ·····♡ん♡·····はぅ·····♡ん、ニャ·····っ♡」


ミチルは必死に自身を慰めた。
これはダリアに教えてもらった御伽事だ。彼の長い指が柱を叩くのに合わせて前を押すと、触られているみたいに錯覚した。
だから今も、その時の幸福を繰り返したくて、甘い幻に縋る。


「ん·····ぁ·····♡」


最後、扉の隙間から見た彼らの顔。
捨て頃かと話をしていたのだ。

じんわりと目頭が熱くなった。
そして捨てられた。
暇つぶしの玩具だったんだ。

けれど自分にとって、彼らは違った。

酷い恥虐、頭を撫でた優しい手、口付け、そして投げかけられた言葉や表情まで、一生忘れることは出来ないだろう。

こんなことなら、初めに喰われてしまった方がよかった。


「·······~~~ッ♡♡」


うずくまって達する。
床と腹に飛び散った白濁はすぐに冷えてゆく。誰の温もりも存在しない。
熱い身体を枕に擦りつけた時、静かな足音が聞こえた。
気がつくと、扉から一筋の明かりが伸びていた。


「ミチル·····」


蜜を含んだ低音が響く。
室内には怪しい匂いが充満していた。


「·····ッ·····♡·····ッ·····」


イったばかりでわだかまった余韻を飲み込み、震える指を孔から引き抜く。

いつから見られていたのだろう。
寂しさと切なさに、消えてしまいたいくらいの恥辱心が広がる。
扉を閉めたルシフェルがこちらへ近づいてくる。

しかし、近づいてきた手が頭を撫でると、後に生まれたのは予想もしない安堵だった。


「·····1人にしてごめんね」


予定が長引いてしまったと彼は言う。
落ち着かせるように繰り返し頭を撫でられる。ミチルは硬い胸元へ寄りかかった。
まだ捨てられていなかった。

そして、彼はまだこうして、優しく頭を撫でてくれる。


「悲しい思いはさせないって言ったのに·····」

「んっ」


目尻の涙に続いて、口元をこぼれた唾液を拭われる。


「寂しかったね」


甘い声に絆されて涙が押し出され、緩んだ涙腺は壊れてしまった。

暖かな他人の温もりだ。
嬉しくてまた甘水が滴った。
膝の上に乗せられたら、イったばかりの尻が甘く痙攣した。


「ミチル」













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