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一章
157.天空
しおりを挟む切なさに眉を下げる。
逃げようとしたら抱きしめられてしまった。
「·····ミチル·····本当に可愛い」
「ミャ·····っ」
こっちの反応を見て楽しんでいるんだ。
ふと、広い窓の向こうが視界に入る。
分厚い雲の向こうに森が見える。
天空に浮かぶ、終わりのない地形。
ここは天界だ。
ルシフェルと二人きりの世界は、自分を嚇す脅威は何も無い、安全な居場所。
契約を結べば、この地から離れることは出来ない。疎外されたこの世界で、果てしない一生を過ごすのだろうか?
もう恐ろしい4人に会うこともない。
虐げられることも、空腹や他人の目を気にすることもない。
それはとても幸せなことだろう。
それは·····────。
「·····ニャ"·····───っ」
首筋に熱を感じた。
熱した針を刺されるような痛みだ。
「ひ··········っ♡?、ッ♡」
突き刺さったのは、彼の牙。抜ける血液と対比して、尻から温い湯を噴射する。
ビクビク震える身体は抱き抑えられ、更にもう一度血を吸い上げられる。
牙が抜けるのと共に、腹は切なく絶頂した。
「ァ····っ?♡♡はぁ····はぁ····♡····ぁん·····っ♡」
撫でられるところ全て、性感帯になったみたいだ。抱き抱えられたまま体制がひっくり返り、ベットへ押し倒されていた。
「できるだけ痛くないようにしようと思ったんだけど、やっぱり薬を使った方が良かったかな·····」
「ニャッ♡」
つぶやきと共に、さっき噛み付かれたところへキスを落とされる。
低い声が鼓膜に響くだけで、腹の中がねじれて、おかしくなってしまいそうだ。
砂糖水が滴る下着を脱がされる間にも、身体は勝手に甘イキした。
ミチルは自由の効かない身に精一杯力を入れて、かろうじて首を横に振った。
「·····ひぅ·····♡も、や·····っ♡」
グズグズ溢れ出した涙を拭って、彼は「もうおしまいだよ」と宥めてくれる。
生き血を提供するとは、直接牙で吸われることだった。
これを毎日?
おかしくなってしまいそうだ。
「ミチル」
ミチルは撫でてくれる優しい手にすがった。
「も、噛まないで·····っ」
泣きながら懇願した唇は、牙を隠した唇に塞がれた。
両手はベットへ押さえつけられる。
長い舌に口内を蹂躙されながら、吐息には情けない鼻声がまじり出した。
(·····なに·····?)
じんじんした痛みが、腹、そしてその下へと溜まってゆく。
きゅううと、重たくなったへそ裏が収縮する。
訳のわからない寂しさに慌て、ミチルは口内の熱に夢中になった。
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