悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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一章

112.生理現象

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バレた。
お腹をがっちりホールドされる。優しいコロンの香りに、またじんとへそ裏が痛んだ。


「これ、なんで?」


首を振っても指は引き抜かれない。

下から、チュコチュコとくぐもった水温が響きだす。
あんな声でずっと囁きかけられたり胸を揉まれたりしたんだから、こうなるのは生理現象だ。


「うさぎちゃん、えっちで·····かわいい·····」


エッチなんかじゃない。全部ヨハネスのせいだ。
黙りこんで、時折耐えきれず喘ぐ。
指だけでイってしまった。

締め付けていた指が引き抜かれてゆく。
次に当てられたのは、さっきさんざんナカをなぶった雄だ。


「いれてもいい·····?」


奥はまだ疼いていて、今挿入したら気持ちいいことは経験済みだ。
ミチルは否定も肯定もせず熱を待った。

騎乗位は重力で下に下がった臓器を直接押し上げられるような感覚だった。
胴体の内側をかき混ぜられているみたいだ。

行為のあとは全身を撫でられたり舐められたりして、うんと甘やかされながら眠りにつく。
ヨハネスとのえっちは、安心できるし、きもちいいから、嫌いじゃない。


不覚にもそんなことを思いながら意識を手放したミチルは、翌朝1番にそれを後悔することとなった。











「··········♡·····?·····ミィ·····」


何だか心臓がドキドキして、身体が熱い。
まぶたの向こうには柔らかい朝日を感じる。


「·····~~~ッ、♡♡??」


びくびくと背がそれる。
せつない気持ちよさを味わって、これがなんなのか思考することも叶わない。
ミチルはそっと目を開けた。


「二ァ、ぅ·····?♡」


目の前で白金が光っている。
癖のある細い糸だ。手を伸ばしかけたミチルは、思わず涎を垂れ流した。


「·····ぁ·····~~~っ♡♡」


(··········?·····???)


胸のてっぺんから甘い電流が広がってゆく。
それが弱くなったり強くなったりして、息を整えてもなかなか治らない。


ぴちゃぴちゃと水のはねる音がする。
見下ろした先で高い鼻が傾く。覗いた赤い舌が、ぷっくり膨らんだピンクを舐めたり啄んだりしていた。


「·····ニャ~·····♡」


しばらく呆然として、喉からは勝手に特有の鳴き声が漏れる。
こっちに気がついたシアンが微笑む。
吐息がかかるだけで震える乳頭は、自分のものでは無いみたいだ。


「ここ、たくさん気持ちいいね」


「·····へ·····」


唇が離れて、濡れた両方の突起に指先を添えられる。
それがそれぞれクルクルと動き出す。

情けなく鳴かずにはいられない。
いったい何してるんだ。混乱しているうちに、濡れそぼった孔に彼が押し付けられる。
そこも、にわかには信じ難いほど柔らかくとろけていた。
いつから、どれだけ触っていたのか?


「ひぁぁ♡」


彼が突き刺さってゆく。
眠りから完全に覚醒しないままはめられて、ぱちゅぱちゅ響く音に合わせ遊戯する。

寝起きでこんなことするなんて。
責める言葉はひとつも思い浮かばない。

強制的に絶頂させられて、息も整わないまま浴室へ。風呂場でも泡立てたボディソープで弄ばれて、沢山ナカを突かれ、正午のミチルは頗る不機嫌だった。

卑怯だ。
いつから刺激されていたのか分からない乳頭が、じんじんしてヘンである。
どんなに見目の良い美男だからってもう油断するものか。
背を見せたら最後、直ぐに襲われる。

ミチルはベットの端を確保して、運ばれてきた食事を頬張りながらヨハネスを見張った。


「うさぎちゃん、ごめんね」


彼の謝罪をまともに聞いてはいけない。
これは初めての事じゃない。


「うさぎちゃんが可愛くて·····」


すがるような視線にも無視を決め込む。
少し良心が痛いが、こっちは何も悪いことはしていないのだ。

焼きたてのパンが美味しい。
ミルクのババロアと交互に食べるのに夢中になっていたら、いつの間にか前に座ったヨハネスがこちらを観察していた。


「おいしい?」


聞こえないふりをして口を動かす。


「もぐもぐするの、かわいい·····」


彼には無視も効かないらしい。勝手に観察して喜んでいる。
ヨハネスが自分を好きとか大好きっていうのは、間違いないのかもしれない。
だってこちらを見つめる眼差しは、人間界にいた頃、兄弟たちが子犬を可愛がっていたのと一緒だから。

へんなの。
もう触れられてもいないのに、何だか頬が熱い。

数分後の話題は無視せずにいられなかった。


「お出かけしよう」














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