悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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一章

75.可愛い奴

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クパクパ開閉する穴から、時折ひしめき合う内肉が覗く。そこから生まれた瑞々しいジュースは摘むためにあるようなものだ。


「止めなくて良いのかよ?」


悪戯心から問いかける。
今にもだらしなく開きそうな唇を引き締め、ミチルはそっと瞼を伏せた。

抵抗を諦めたらしい。
もとよりそんなつもり無かったのかもしれない。
もしそうだとしたら、やはり言葉を選ぶとすれば、不服だが「愛らしい」というのだろう。


「にゃぁぁ·····♡」


吸い付いた濁音に混ざり、無様な鳴き声が部屋を満たす。
ここを好きにすることを許されるのはとても気分が良かった。

芳しい臭いが誘うように鼻へ飛び散る。
応えるように舌で激しく蹂躙して、時にはえぐるように舐め回す。
しばらくせず、プシャ、と、熱い液体が吹き出てきた。


「ぁん·····♡ん、ぅ·····♡」

「··········」


押さえつけた脚は骨が抜けたようにふにゃふにゃだ。
果てたばかりの呼吸を満たすために膨らむ腹は痙攣して、時折心細そうな喘ぎ声を混ぜてくる。


「"嫌"なんて言っていたのは、どこの誰だっけな?」

「ぁ·····ちが·····っ」


初めてだった。
拒絶されてショックを受けるのも、そんな姿さえ幼気で、処罰を与えず好きにさせるのも、ミチルが全て初めてだ。
口に残ったシロップを飲み込み、そっと顔をのぞき込む。
大きな瞳はどこへも落ち着けず、チラチラと宙をさまよっていた。

──こいつは、もし俺がヨハネスと同じことを言ったら、どうするだろうか?


「なぁ」

「·····ぁ·····♡」


未だひくつく蕾へ中指を当てる。
彼は不安げにこちらを見上げた。嫌かと繰り返し聞けば、困ったように狼狽えてしまった。


「は·····可愛い奴」


自分が自分で無くなるみたいだ。
ただの食い物。そう思っていたのに。


「舌、出せ」


小さな口から、言う通り短い肉が覗く。
多少無理やり塞いでしまうが、撫でていた孔からはまたぬめりのあるものがとろけ出た。














「·····可愛い奴」


吐息混じりの呟きに、ハッと目を見開く。
目の前で、卑しい欲望を飲み干した喉仏が上下する。金を溶かしたような瞳が、避けても尚こちらを覗き込んできた。


(可愛い·····?)


可愛くないって言ったくせに、一体なんなんだ。
からかっているのだろうか。


「舌、出せ」


知らず知らずだらけた舌を吸い取られる。
時折感じる牙が恐ろしいのに、抗えない気持ちよさに口の中が溶けてしまいそうだ。

ただの餌だ。
餌袋と、彼は自分をそう呼ぶのだ。
さっきのはきっとなにかの聞き間違いか、でなければ、新しいからかい方なのかもしれない。


(·····!)


腹の奥がじんわりと疼いた。
溢れてくる熱が彼を求めて匂いを増す。逃げようとするが、高い鼻はせわしなく交差して、激しく口の中を蹂躙した。

シーツに縋っていた手は大きな手のひらにおおわれた。


「ン·····っは、ぅ·····ん·····♡·····ッ!」


ミチルは思わず飛び上がった。

ゴリゴリした何かが入り口に押し当てられる。
それが何かはすぐに理解出来た。


「·····ゃ·····!·····ン·····ッ·····」


いきり勃つ雄を執拗に擦り付けられる。
まるで挿入れるのを焦らすように繰り返される。固くて質量の重いそれが迫るたび、奥は痛いほど疼き騒いだ。


「欲しいって言えよ、なァ」


(???)


「ぁ♡」


こんなに硬いモノを入れたら、きっと。
淫らな想像を断ち切って、ミチルは泣きながら首を振った。

妊娠したら死んでしまう。
新しい命のために命を落とすなんて皮肉な話だ。
今は出来ない。


(─────いまは?)


今でなかったら、良かったのだろうか?
そもそも、彼らの子を産むことを考えた時に、嫌悪感がないのはなぜ?


「·····!」


ギジリとベットが軋む。
黄金に見惚れて動けなくなる。動悸がうるさいのは、息苦しいのに耐えたのだけが理由ではなかった。

時が止まったような時間が過ぎた。
不意に扉がノックされ、許可をする前にノブがひねられた。





「明日の件だが·····───」


入ってきたのはダリアだった。
伏せていた瞼がこちらをとらえる。

長らく弄ばれて濃くなった臭いと赤らんだ身体に、美しい流れをした眉がほんの僅かに寄せられた。

最悪だ。


「·····まさか、あいつハインツェの他に指示に従えない奴がいるとはな」

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