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一章
36.秘密事
しおりを挟む彼の指が、第二関節でペンの先を叩く。
「なら·····ちゃんとごめんなさいして、本当のこと言わないと」
鏡の向こうの自分が、真っ赤な顔を濡らしている。
焦れったい刺激じゃもどかしくておかしくなってしまいそうだ。
「俺たち2人だけなんだからさ」
彼は秘密事を囁くように告げた。
ここには、ハインツェと自分、2人だけ。
もうここまで酷い姿を見せたのだ。彼にだけなら、情けなくねだっても、誰にも知られることは無いんだ。
「二ァ♡」
耳元、首筋に吸いつかれ、刺すような痛みを感じる。反対側にも顔を傾けられる。
赤い斑点ができた。
「ごめんなさい··········っ」
広い部屋に、頼りない声が呟く。
「ぁ·····♡············っ♡」
「どうして欲しいか言えるよね?」
口内に侵入してきた2本の指が、舌を揉み、ズルズル引き抜かれてゆく。
「んぅ·····♡」
「·····?」
ミチルは空いているハインツェの手を握った。
堅く角張って大きな手。それを、そっと蕾へあてる。
「····、·····♡·····っ」
無機質なものではいやだ。
彼の長い指ならへそ裏まで届く。そこが切なくて仕方ないから、沢山撫でて欲しいのだ。
いつもみたいに乱暴でもいいから、はやく、ナカに欲しい。
「·····あぁ~、はは」
ライムグリーンの瞳はランランと光っていた。
こんなに強い輝きを初めて見た気がする。視線を奪われているうちに、彼の手がペンの束を握っていた。
それは予告無く引き抜かれ、絶叫は強引に殺された。
密着した唇。とろけた舌に、鋭いものがあたる。
強く噛みつかれるのと一緒に射精する。
尻のナカの具合を確かめるみたいにして、侵入してきた指が激しくそこを攻めたてた。
「あぁぁん♡」
「うわ、どんどん出てくる」
彼の指が折れ曲がって下腹の当たりを強く押す度、じんわりあふれたものが飛び散る。
熱くて、痛いほど気持ちいい。
鏡を見たミチルは、酷い醜態を晒す自分と視線をからめることになった。
汚いところも全部丸見えだ。情けない鳴き声を響かせながら、いつもこんな顔をしていたのか?
ダリアがこんな姿を知ったら·····───。
「悪い子」
彼の手が止まる。
また、ひくつきが激しくなっていた時だった。
「ぁ·····もぅ、や····っ♡」
「いやって言いながら、今めっちゃ俺の指締め付けたけど?」
転がすような笑い声に、鼓動が早くなる。
まあいいやと、吐息混じりの声が言った。
(はやく動かして)
下品な願いを込めて彼をみあげる。
「今、他のこと考えてたよな?」
ライムグリーンは一瞬にして凍てついた。
「あー、せぇっかく盛り上がってたのに、まじで萎えたわ」
「ぁっ!」
髪を鷲掴みされ、ベットへうつ伏せに倒れ込む。
顔を上げた先に鏡があった。そして直ぐに、後ろに大きな影ができた。
「ね、馬鹿なの?何回言えば理解すんだよ、なァ」
「ニャぁ"·····っ!?」
尻に焼けるような痛みが走った。
アヴェルに叩かれた時とは比にならない。力加減は、本能的危機を感じるには十分のものだった。
更にもう1回、2回と、続けてたたきつけられる。
内側も外側も熱くて火傷しそうだ。
ミチルは泣きながら叫んだ。痛みを和らげるための方法はそれしか許されなかった。
「·····はっ·····叩くたびに出てくんの、コレ何?ねえ」
不意に、彼の指先が尻の頬を撫でる。
ヒリヒリして痛い。内側に伸びた指が孔をほじった時、そこは雨水を溜めた壺のように潤っていた。
「叩かれても気持ちいんだ?」
ハインツェの問いかけに、ミチルはプライドも捨て去り頷いた。
言われるがまま頷いているうちに、自分すらどっちが正しいのかわからなくなるのではと一抹の不安を持った。
「挿れてやるよ」
「·····ぁ·····っ♡」
赤く燃え上がった尻の割れ目に、ペンなんかよりずっと硬く、太くて長い棒を押し付けられる。
(そうだ·····)
ミチルはベットの上にちらばっているズボンへ手を伸ばした。
腕が酷く震えるせいで、なかなかポケットを見つけられない。
(あった·····!)
「なにしてんの?」
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