【完結】高嶺のバスケ部主将(ヤンデレ後輩&不良後輩×世話焼き先輩)

亜依流.@.@

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第七章

《第40話》壊す

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「先に手出してきたのは向こうっす」


高校1年の頃の、冬季大会翌朝。

日が昇る頃宿舎へ戻った更衣月を、姫宮は監督よりこっぴどく叱り付けた。


「お前よりによって今日問題起こすとか、阿呆なのか?!ちったぁ無い脳ミソ使って考えろ、阿呆!」


阿呆なのかと聞いておいて、結局阿呆だと罵られる。


「はあ·····どうしてもってんなら、問題にならないように上手く殺るだろ普通·····くそ、阿呆·····」


本音が混ぜられた、少し斜め上を行く説教だ。

暴力は何があっても振ってはいけないとか、喧嘩はダメだとか。
偽善に塗りつぶされた教師の説教とは違うそれに、確かにそうだったと同調してしまう。
いや、キャプテンがそんなこと言っちゃダメだろ。

優勝候補校のスタメンを狙って問題を起こさせようとしてくる刺客がいるというのは、よくある話だ。
挑発には乗らない自信があった。

校内では色々と野蛮な噂を囁かれている更衣月だが、実際、大層なことがない限りキレたりはしない。
しかし、今日の喧嘩は仕方なかった。


「聞いてんのか!」

「すいませんした」


再び平手が飛んできそうになって、早口に謝る。

1つ年上なだけで、偉そうに説教したり指示したりする。
なんかわかんないけど、気に食わなくて、気になる先輩だ。


「ったく···」


まだ言い足りなさそうに舌打ちをする姫宮。
舌打ちしたいのはこっちだって同じだ。
更衣月は脳内で呟いた。

だっておかしい。
こんなにうるさくて暴力的でうざいのに、指先は丁寧で、細かなところまで気を配ることが出来る。
かと思えば、練習中は汗を滴らせて熱くなり、指示を出す時は、涼しい目元がコートを流れる。

そんでその先輩の隠し撮りをした他校の野郎共が、更衣月に絡みざま彼をネタに下品な話を繰り広げるものだから、気づけば真正面から殴りかかっていた。
それが今日の喧嘩の原因だ。

先に喧嘩を吹っ掛けてきた奴らはフルボッコにした。
相手側は姫宮の隠し撮りをしまくっていたことが教師にバレ、お互い大きな問題にしないようにと、話し合いで済んだのだ。

そんなこと、当然目の前のこの部長は、知る由もない。


「やる気あんの?」


この頃から、本当におかしいなと思っていた。


「あります·····」

「試合前のテンションじゃねえな」


姫宮は先程の怒りなど忘れ去ったように、困ったように笑う。

慌てて視線を外すと、手が伸びてくる。
撫でるというよりはかきまぜるみたいな、大型犬を撫でるようなそれだ。


「髪、崩れるんで」

「最初からセットしてねーだろっ」


この野郎、と、さらに乱暴な撫で方が、ケラケラと軽い笑い声を溢れさせる。
仕上げに、バシッと背中を叩かれる。


「んじゃ、気合い出してくぞ!」


ニッと笑って、細い腕からは想像もつかないほど強い力が、腕を引っ張った。
仕方なく引き摺られる振りをしながら、こっそりと顔を盗み見る。

抱えてる問題児を早く試合に引き摺り出したいって顔だ。
顔色一つ変えない自分相手に、叱ったり褒めたり、笑ったり呆れたり、はたまた優しい表情を見せたりする。


(俺なんて放って置きゃいいのに···辺なやつ)



「更衣月お前──俺がどうしてお前をこんだけ気にかけてやってんのかなんて、知らねんだろーな」


ベンチに腰かけた姫宮が、ふいにそんなことを呟いた。
更衣月はドキリとした。


「はあ」


気のない風な返事をしながら、本当のところは、続きが気になって仕方なかった。
当時は、彼が何と返してくれることを期待していたのか、自分自身分からなかった。

姫宮が、苦虫を噛んだように眉間にシワを寄せる。


「期待してんだぜ?」


漠然とした一言がこぼされた。


「どういう事、スか」


珍しく彼の言葉を急かす自分がいた。


「お前ちゃんと見てやらねーと、すぐどっか行っちまうからな」


なんだそれ。
彼にとって、俺はそんなに構う価値のある奴だろうか。


「 頼んでませ········ッス」


睨まれて、慌てて言い換える。


「会場着いたら着替えてアップな。直ぐ試合出すから」

「っス」

「よし」


世話の焼ける奴だと、彼が笑う。
そんなこと頼んでねぇって、やっぱり思いつつ、最凶に目に悪いその笑顔を盗み見てしまう。

一つしか歳が変わらないのに、この人はなんでこんなに、偉いんだ。
一つしか歳が離れていないのに、なぜこんなに遠く、大きく感じるんだ。

認めたくはないが、その日も心のどこかで、確かに、彼に惹かれていた。


















光を捕まえて、組み敷いた。


「んっ···ぅ、ふ、んぅっ」


くぐもった、言葉にならないツヤっぽい声が、脳みそを溶かすみたいだ。
打ち付けていた腰を止め、姫宮の顔を覗き込む。


「っは···」


最初こそ開かれていた瞳孔は完全に蕩けられ、ネクタイを押し込まれた口元から、唾液が滴る。
潤んだ瞳がこちらを見つめているのが、たまらない。


「尻、イイんすか?」


掠れた更衣月の言葉に、姫宮はかろうじて首を振る。


「嘘つくなよ」

「ン"っ♡」


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