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【101】状況
しおりを挟む「俺のだ」
彼の趣味は弱いものいじめなんだろうか。
諦めて、枕を抱きしめる。伸びてきた腕に取られないように強く握りしめるが、彼は千秋ごと抱きかかえて部屋を出た。
その後は、召使いたちにあれよこれよと身支度を整えられる。
彼らの対応は妙に丁寧だった。
門の前にいつもと違う馬車があった。
さらに立派で、ついでにカーテンまで付いている。
中に入るよう促され、疑いながらも顔を突っ込むと、そこには先程別れた男がいた。
「早く入れよ」
「でも、いつもは、ロイと一緒の····」
言い終わる前に手を引っ張られて、向かいに座らせられる。
「この俺が、直々に面倒見てやってんだろ」
つまりそれは、暇な時が多くなったので憂さ晴らしに虐め倒してやろうという事だろうか。
胃がキリキリと痛む。
近づいてきた美形にフリーズしていると、唇を舐め取られた。
「あま」
自分でも顔が熱くなっているのがわかる。
覗き込むユランから逃げるように俯くと、頭上でふっとため息が聞こえた。
笑われた。
しかし、今日は記念休暇日で、まだ学校は休みなんじゃなかったんだろうか。
彼が個人的な用事で自分を連れ歩くなんて、にわかには信じがたい。
「大人しく待ってろよ」
ユランの自室に置きざりにされる。
千秋はしばらくウロウロしてから、扉を押したり引いたりしてみる。
ビクともしない。
やはり監禁状態だ。これでは、ウィルを探しに行くことも出来ない。
そもそも彼が校内にいるかもわからない。
何もすることがなくて、一瞬躊躇ってから、ベットに飛び込む。
やはり極上の触り心地と弾力だ。
(ユラン様の匂いがする)
怖いけど、匂いだけは優しくて、なんだか落ち着く。
クンクンと鼻を寄せてから、ハッとして仰向けになる。
何やってるんだ、自分は。
ユランの言動は不明だ。何を思っているのかも分からない。
もしかしたら、気まぐれで何も考えていないのかもしれない。
けれど、彼の手の中で飼い慣らされていることに、初めの頃のような恐怖心は無くなっていた。
笑顔を見ると、ある時は胸が締め付けられて、またある時はほっとする。
不思議だった。
再び襲ってきた眠気に負けて、意識がぼやけてゆく。
───状況が一変するのは、わずか数分後だった。
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