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【76話】触らせて

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「·····!」


千秋は強くまぶたを閉じた。
そっと乳頭から離れた口元は、次に首筋へうずめられた。


(血、吸われる·····)


彼らが首筋へ口元をやるのは、血を吸う以外に目的は無い。
そう信じて疑わなかったが、待てども、痛みはやってこない。

舐めるようなキスを繰り返され、耳元に吐息を落とされる。


「なんで·····っ」

「千秋·····」


いつの間にか下着はずり下ろされていた。

腰を撫でた手が、尻にまわされる。
蕾は、しっとりと汗ばみ、ジュリオの指先に吸い付いた。


「お尻は、だめ·····!」

「·····血はいいのに?」


ジュリオは、そっと腕の中の千秋を覗き込んだ。
大きな瞳には、恐れと恥じらい、そして、隠しきれぬ期待の色が込められていた。

理性は簡単に崩れ去ってしまいそうだ。
聞き返すと、千秋は口ごもったのち下唇を噛んだ。

口では拒絶しつつ、身体は期待に震えている。この手に感じていることは明確だった。
今更やめろと言われても、止められるはずがない。


「千秋のナカ、触らせて」


焦ってはいけない。優しく話しかけながら、人差指と中指を舐め取り、充分に唾液を絡める。
もっと気持ちよくしてあげたい。自分の手で更に乱れる姿を見たい。


「·····!」


侵入させた指をゆっくりと奥まで差し込む。千秋の瞳は一瞬見開かれ、そしてすぐに細められた。

内側は驚くほど熱かった。


「あ···あっ·····ゆび、はい、っ···て···」


濡れた中壁が、うねりながら震える。
動かさずとも、千秋は甘い声で喘いだ。


「千秋·····」


少し爪を立てたら破けてしまいそうな襞が、必死に快楽を拾って、収縮する。


「動かしていい?」


「あ·····っだめ·····っ」


ざらついた中指が、返答を無視して腹の裏をこすり始める。


「ぁっ♡」


千秋はぎゅうと両手を握りしめた。
痛かっただろうか。

驚いて動きを止めるが、そうではなかった。
千秋はまたもどかしそうに下唇を噛んでいる。
ジュリオは唾液を飲み込んだ。

ゆっくりと指を引き抜いて、差し込む。何度か繰り返すと、温かな身体はすぐにプルプルと震え始めた。


「ぁ····っ····んぅ····♡」


喘ぎ声と共に零れる唾液は、いくら舐めとってもひっきりなしに溢れてくる。
震える睫毛にキスを落として、また、首筋へ舌を這わせる。



「ぁ···っ···ゆ、び♡···抜、て·····っ」

「千秋」

「あ、っ♡」


あてられた牙は、しかし皮膚を破ることはなかった。










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