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「·····?エダン?」


やはり目に悪くなりそうなほど精巧な顔立ちだ。
また一歩距離を詰められ、威圧感を感じる。

どう見たって、ここには二人しかいない。
余程他人には聞かれたくないことなのだろうか。

じっと待つが、額の数センチ先にある唇は、半開きを繰り返すだけだ。


「あの?」


昨日の距離感とほとんど変わらない。
いや、本当に距離が──。


「もう一度確かめさせて欲しいんだ」

「·····は?」

「昨日と同じようにしてもいいか?」


「·············································?」


理解が追いつかず、パカリと口を開ける。
確かめる?昨日と同じように?何を言ってるのかまったく分からない。

エダンの表情は真剣そのものだ。


「···············うわー!変態!!この下衆野郎!!近づくな、変態、変態!!」


アリステアは叫んだ。
声の限り、消灯時間も忘れて唱える。


「これにはワケが·····」


バチン!!
また近づいてきたエダンの頬を平手打ちする。
アリステアは両手をかまえたまま、弾んだ呼吸を整えた。


「·····悪い、順番を間違えた」

「いや、順番とかの問題じゃないよ」


思わず突っ込んでしまった。

部屋がしんと静まり返る。

キスを迫る男と、そいつの頬を引っぱたいた自分。なぜこんなシチュエーションに。沈黙に耐えきれなくなった頃、


「事情があるんだ」


ベットに腰掛けたエダンが言った。


「あれから暴走が止まったんだ」

「暴走?」


エダンはフェノメナキシスヒーリング治癒能力を持つ両親の間に生まれ、6歳の頃に力が発現、そして周囲を憂懼させた。
間もなくして庭園の草木が朽ち、生物が死んだのだ。原因を探った結果、土からヒドラが検出された。

ヒドラは熱帯雨林にのみ生息する毒蜘蛛の猛毒だ。
香りを吸い込むと神経が麻痺し、少量でも死に至る。
城内で体調を崩さなかったのはエダンだけだった。

能力が暴走すると、フェノメナキシスの能力に猛毒が混ざる。
今までに前例がなく、原因も分からないのだという。


「不定期的に能力の暴走が起きる。力を押さえつけると、毒の副作用で自我が保てなくなる」


エダンは一通りの説明を終え、一度言葉を切った。
こっちの反応を確かめているみたいだ。


「じゃあ、癇癪を起こして能力を暴使したっていうのは?」

「12の時に一度、してる事は·····だいたい変わりない」


これを知る者は少ないという。
自我をなくした状態のエダンの噂だけが独り歩きしている状態だろうか。
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みんなの感想(1件)

ベーコンレタス

すごい面白かったです!!!気長に更新待ってます👏👏👏

亜依流.@.@
2022.12.30 亜依流.@.@

ありがとうございます☺️

解除

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