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5.
しおりを挟む「·····あ?」
そのうち、似たような見た目の3人がこちらを振り返る。
強面だが、妙に特徴のない顔だ。モブって、実写化されることこんなにも存在感薄くなるのか。
「なんか文句あんのか?あぁ?」
「ひぃぃ·····あ、ありません·····」
抜かされた男子生徒のつぶやきを無視して、アリステアは彼らの前に仁王立ちした。
モブ顔の3人がこっちを睨む。しかし、残りの一人は前を向いたまま知らん顔だ。
あいつがリーダー格らしい。
スラリと背の高い後ろ姿に、見てるだけでうるさいピアス。翻った制服の胸元には、何故かキラキラしたバッジがいくつも着いている。
学生らしくない、明らかに素行の悪そうな男子だった。
「おい、ピンク!」
アリステアは彼をそう称した。
髪色が透けるような薄ピンクだからだ。
「後ろに人が並んでるの、見えないのか?最後尾から並びなよ」
当たり前のことを言ったつもりだ。
しかし、気がつけばその場はシンと静まり返っていた。
なんだろう?
なにか間違ったことを言っただろうか?
様子がおかしい。周りには半径3メートルほどの空間ができている。
「お前·····この方をどなただと·····!!」
図体のでかい1人が腕を振り上げる。
返り討ちにしてやろうと構えた時だった。
「これはね、リラ色っていうんだよ」
丸太みたいな腕は、アリステアに触れる前に、宙でピタリと立ち止まった。
「ぐ·····っ」
腕だけではない。彼は全身が金縛りにあったみたいに動かなくなる。
そしてなにかの糸が切れたみたいに、地面へしゃがみこんだ。
異能力が解けたのだ。
「だから」
こちらへ一歩近付いた彼を見上げる。
すっとつり上がった瞳に、優雅な笑み。舞い上がった葉は、操られるようにアリステアの頬を撫でた。
「リラ」
「·····リラ·····?」
psychokinesist──意思だけで空間に力を加え、ものを動かす能力者。
超能力を持つ者は、高位貴族の中でもさらに特殊な子孫だ。
故に彼らはこう呼ばれている。
《神の子》と。
吸い込まれそうな翡翠色が、ふと興味をなくしたように視線を逸らした。
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