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《324》白い記憶
しおりを挟む飲み込んだ物質は、先程よりも硬く反り上がっていた。
結合部に手を伸ばす。
男根には血管が浮いて、どくどくと脈打っている。
「ノワ·····」
「フィア、さま、待っ····───あンっ♡」
ユージーンに手のひらを誘導される。
導かれた先は熱欲だ。
顔に似合わぬグロテスクさだ。
さっきまで、自分のナカをかき混ぜていたモノだった。
「愛してるよ·····」
耳元で甘い声を落とされれば、拒否することなど出来ない。
ノワは体をひねって、先端を少し舐めてみた。
「ひうっ!?♡」
挿入されたまま身体が反転した。
うつ伏せになって、尻を突き出す格好になる。
「あ、ぅ·····っ♡」
フィアンに体を貫かれながら、ユージーンを慰める。
喉奥に当たるとえずきかけるが、同時に、最奥はきゅうと締め付けられた。
苦しくて、切ない。
気持ちよくなるほど寂しさが募るのは、なぜだろう?
全身を愛撫される中、そっと目を瞑る。
ノワは丸々一夜かけ彼らと愛し合った。
いつからか、断片的に記憶を取り戻しつつあった。
恐らくノワの治療を受けたのがきっかけだ。
思い出せない誰かを探していた。
生徒の顔から教師まで、皆同じに見えたあの学園で、確かに、誰かがいた。
昨日は、教室の後部座席から、彼を眺めている夢を見た。
多分、同じクラスだった。
そいつは、眠そうなアホ毛をぷかぷか浮かせながら、クラスメイトと話している。
暇つぶしに眺めていたら、隣の男子生徒が彼の頬に触れ、いやらしく首筋を撫で上げた。
独占欲と嫉妬心。
記憶の中にはない、懐かしい心情だった。
なんだか放っておけなくて、思い通りにならないことばかりだった気がする。
力ずくで捕まえたら壊れてしまいそうなのに、捕まえないと遠くへ行ってしまいそうな、変な奴。
けれど彼を思う時は、凍てついた心に感情が舞い戻った。
彼をとても愛していた。
守ってやらなければと思っていた。
ノワを見ると、なぜか、彼を思い出した。
真っ直ぐな瞳や横顔、後ろ姿。どこを見ても、白い記憶の時と同じ胸の痛みを感じた。
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