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《245》2人の暴露
しおりを挟む「聖下は、お変わりありませんね」
確かに、彼らと比べ、自分は三年前と殆ど変わらない。
こんなに頼りない教皇だから、弱音など吐けないのだろうか。
「あのころと同じく、強く、優しくて」
「·····?」
「とても麗しい·····」
初め、耳を疑った。
なんの冗談かと、笑い飛ばそうとした。
「唇に、慰みをいただけますか」
ノワは驚いて彼を見上げる。
「寂しいのです」
彼はぽつりと付け足した。
フランシスは変わった。
しかし、鋼のような肉体を手に入れても、心までそうなった訳では無い。
騎士団ではどれほど辛い思いをしたのだろうか?
口にして思い出したくないほど過酷な日々を送っているのだろうか。
彼の心まで癒せるだろうか。
「ん·····」
背を伸ばす。少しズレて、唇の端に触れると、フランシスはそっと顔をかたむけてきた。
身体とは裏腹に柔らかい唇だ。
治癒とかじゃない、ただのキスだ。
しかし相手はさらに先を求めるように、瞼を閉じた。
「んむ」
唇をパクパクと動かしながら、彼を愛撫する。半開きになった唇に舌を伸ばした時、鈍い振動が響いた。
フランシスめがけて、長い足が伸びている。
オスカーが、フランシスの腰を蹴りあげたのだ。
「お、オスカー?!フランシス、大丈ぶ·····」
「オスカー、お前·····またやりやがったな!!」
(·····"また"?)
フランシスがオスカーを殴り付ける。拳を食らったオスカーはよろけ、しかし直ぐにフランシスを睨み返した。
「·····もう我慢ならない。やはりお前は、さっきのしておくべきだった」
オスカーが呟く。
(さっき·····?)
2人の言葉から察するに、傷はお互いのせいらしい。
一体全体どういうことだ。
混乱しているノワを振り返り、オスカーはもう1人を強く指さした。
「彼が俺に対抗して2年後の近衛騎士試験を目指していることは、百歩譲って許します。しかし彼は!『俺が近衛騎士になった暁にはノワ様を俺なしではいられないお体にして差し上げよう』などとぬかしたのです。卑劣極まりない男なのです!死罪に値します!」
「·····へっ?」
「お前の方こそ、筋トレの時、回数の代わりに聖下のお名前を呟いてるだろうが!このムッツリ変態男!」
「な·····っ?!違う!俺はノワ様を敬愛の対象として·····」
「はぁあ?!鼻息荒くして名前呼んでたのはどこの誰だよ?!ベットの上で背筋してる時が一番きもいんだよ!絶対勃〇してんだろ!?つーか今も完·····」
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