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2回目の長期休みに向けて
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11月も今日で終わりを迎える日。 寒さが体に染み始めた今日この頃。 休み時間には教室に備え付けられたストーブにクラスメイトが集まりを見せている。
「それで、どうする? 冬休み。」
小舞君がそう質問をしてきた。 みんながストーブに集まっている中僕たちはいつものメンバーでストーブとは反対側にいた。 ただでさえ少しストーブの火力が高いので教室の中はそれなりに暑い。 なので別にストーブの前に行く必要はなく、教室にいるだけでも十分なのだ。
「さすがにまだ1ヶ月近くは先ですよ?小舞さん。 早いに越したことはないのですが、さすがにこの時期からというのも・・・」
「別に悪くはないでしょ。 それにほら、今のうちに予定を立てておいた方が、後々楽にならない?」
江ノ島さんの疑問を濱井さんが打ち消す。 この人は遊ぶことになると、結構とことんだったりするんだよなぁ。
「・・・もしかして君は今回の期末テストが終わった褒美として冬休みを満喫しようとしてないかい?」
そう鋭くツッコミを入れたのは坂内君である。
明日から12月。 その頭から3日間に分けて期末テストが発生する。 もちろんみんなテスト勉強をしたり、対策をしたりと必死だった。
そしてそんなことを指摘された濱井さんは目線を窓の外に向けていた。 図星かな?
「いやぁ、外は寒そうだねぇ。」
「誤魔化し、きれてないよ? 梨麻ちゃん。」
流石にその誤魔化し方はないよなと誰しもが思ったことを円藤さんが代表して答えた。
「うう~。 だってぇ~。 今回の期末テスト、覚える範囲多すぎだよぉ・・・」
「それでもですよ梨麻さん。 ここを踏ん張らないと、本当に冬休みが失くなってしまいますよ?」
「うう~。 それはそれで嫌だぁ・・・」
濱井さんは駄々をこねているが、その実しっかりと放課後に残って僕らと一緒になって勉強をしている辺りは真面目である。
「でもなにかご褒美があるだけでもやる気は十分に向上すると思いますよ?」
「だよね!? やっぱり安見は分かってる!」
安見さんの同意に濱井さんはその手をがっしりと掴んだ。 とはいっても放課後での彼女と江ノ島さんのタッグに、ほぼ泣きそうになりながら教わりに行っているのを知らない僕たちではない。
「冬らしいイベントと言えば、クリスマスか年越し位ではないか? 他になにかあったとは思えないが・・・」
「おいおい坂内、初詣があるだろ? 年越しと初詣は大体がセットじゃないか。」
「この辺りだと、あの神社かしら? あの大きな白い鳥居がある・・・」
「ええ、あの神社になりますね。 催し物もかなり多かったと記憶しています。」
「人混みが、凄いことに、なりそうだよね。」
やっぱりこのメンバーで来年を越すことになりそうだと、遠くからみていて微笑ましく思えた。 中学時代までの僕なら想像もしなかっただろう。 こうしてみんなと年末も年始も一緒にいることを。
「年越しもあれだけど、やっぱりまずはクリスマスじゃない!? 実はあるお店が年末限定で、スイーツバイキングやるんだって!」
「ほほぅ、それは興味がありますね。」
「珍しいですね。 坂内君がそこに食いつくなんて。」
「こうみえても私は甘党なのでね。」
「ほぇー。 知らなかったぜ。 まあ女子が行くなら俺らも連れていってくれるよな?」
「もちろん! 全メニュー制覇の旅路は長いからね!」
はたまた別の今でテンションが上がってきている濱井さん。 これなら今回の期末テストもクリア出来るかな?
「それじゃあクリスマスの日に、みんなで集まるって・・・こと・・・で・・・」
そう僕が提案した途端にみんなが僕の方を見始める。 あれ? なにか変なこと言った?
「いや、集まるは集まるけれど、クリスマスは駄目だろ、館。」
「え?」
「あなたには安見さんがいるじゃないですか。」
「え? みんなで集まるんだからそれは当然・・・」
「私たちという邪魔者は要らないだろう?」
坂内君のその言葉に理解が出来た。 つまり僕と安見さんの二人きりで、クリスマス過ごせばいいという言葉だ。 ただ、少し露骨過ぎないかと思ってはいた。
「というよりも、そういったのは、二人で、話し合うことだと、思います、よ?」
うーむ、円藤さんにまで悟られると少しショックが大きい。 あまりにも考えていなかったことがばれてしまっている。
「で? もう一人の当事者はどう思ってんだ?」
先程から発言のない安見さんに向かって小舞君は話しかけてみるけれど、返事がない。 うつ伏せになっている安見さんを近くで見てみると、案の定寝ていました。 この人本当に平常運転だな。 というか前に授業時間以外で寝れないって言ってなかったっけ?
「むぅ、安見ったら。 寝れば発言出来ないから仕方ないけれど、こんなタイミングで寝ないでよね。」
「いいではないですか。 最近は授業中に寝ることか少なくなったと言っていましたし、これも変化ではありませんか? 館君。」
江ノ島さんに話を振られたけれど確かにそうだ。 それだけ彼女が安心している証拠でもある。 ただやっぱり寝てしまう体質だけはどうにもならないようだ。
「なぁ館よ。」
「なに? 小舞君。」
「須今のこの体質。 今のうちにある程度治しておいた方がいいと思うんだが。」
「え? なんで?」
確かに今後のことを考えれば治すのは必然的にはなるかも知れないけれど、流石にもう少し先でもいいんじゃないかなと思っている。 早いに越したことはないにしても、だ。 まだそこまで問題視するようなことじゃないと思うんだけども。
「お前・・・いい雰囲気になったところに、須今が寝ちまったら雰囲気ぶち壊しだろうが。」
「そんな心配をされることになるとは思わなかったんだけど。」
それにその台詞はあいつを思い出すから止めて欲しい。 言いたいことは分かったけれどその辺りはこちらのペースでやるよ。
「とにかくスイーツバイキングはクリスマスイブにするから、館と安見は二人で行ける場所、考えておけばいいんだよ。」
考える・・・かぁ。 まだ先のことかと思ったけれど、やっぱり作っておいた方がいいか。 計画を。
「それで、どうする? 冬休み。」
小舞君がそう質問をしてきた。 みんながストーブに集まっている中僕たちはいつものメンバーでストーブとは反対側にいた。 ただでさえ少しストーブの火力が高いので教室の中はそれなりに暑い。 なので別にストーブの前に行く必要はなく、教室にいるだけでも十分なのだ。
「さすがにまだ1ヶ月近くは先ですよ?小舞さん。 早いに越したことはないのですが、さすがにこの時期からというのも・・・」
「別に悪くはないでしょ。 それにほら、今のうちに予定を立てておいた方が、後々楽にならない?」
江ノ島さんの疑問を濱井さんが打ち消す。 この人は遊ぶことになると、結構とことんだったりするんだよなぁ。
「・・・もしかして君は今回の期末テストが終わった褒美として冬休みを満喫しようとしてないかい?」
そう鋭くツッコミを入れたのは坂内君である。
明日から12月。 その頭から3日間に分けて期末テストが発生する。 もちろんみんなテスト勉強をしたり、対策をしたりと必死だった。
そしてそんなことを指摘された濱井さんは目線を窓の外に向けていた。 図星かな?
「いやぁ、外は寒そうだねぇ。」
「誤魔化し、きれてないよ? 梨麻ちゃん。」
流石にその誤魔化し方はないよなと誰しもが思ったことを円藤さんが代表して答えた。
「うう~。 だってぇ~。 今回の期末テスト、覚える範囲多すぎだよぉ・・・」
「それでもですよ梨麻さん。 ここを踏ん張らないと、本当に冬休みが失くなってしまいますよ?」
「うう~。 それはそれで嫌だぁ・・・」
濱井さんは駄々をこねているが、その実しっかりと放課後に残って僕らと一緒になって勉強をしている辺りは真面目である。
「でもなにかご褒美があるだけでもやる気は十分に向上すると思いますよ?」
「だよね!? やっぱり安見は分かってる!」
安見さんの同意に濱井さんはその手をがっしりと掴んだ。 とはいっても放課後での彼女と江ノ島さんのタッグに、ほぼ泣きそうになりながら教わりに行っているのを知らない僕たちではない。
「冬らしいイベントと言えば、クリスマスか年越し位ではないか? 他になにかあったとは思えないが・・・」
「おいおい坂内、初詣があるだろ? 年越しと初詣は大体がセットじゃないか。」
「この辺りだと、あの神社かしら? あの大きな白い鳥居がある・・・」
「ええ、あの神社になりますね。 催し物もかなり多かったと記憶しています。」
「人混みが、凄いことに、なりそうだよね。」
やっぱりこのメンバーで来年を越すことになりそうだと、遠くからみていて微笑ましく思えた。 中学時代までの僕なら想像もしなかっただろう。 こうしてみんなと年末も年始も一緒にいることを。
「年越しもあれだけど、やっぱりまずはクリスマスじゃない!? 実はあるお店が年末限定で、スイーツバイキングやるんだって!」
「ほほぅ、それは興味がありますね。」
「珍しいですね。 坂内君がそこに食いつくなんて。」
「こうみえても私は甘党なのでね。」
「ほぇー。 知らなかったぜ。 まあ女子が行くなら俺らも連れていってくれるよな?」
「もちろん! 全メニュー制覇の旅路は長いからね!」
はたまた別の今でテンションが上がってきている濱井さん。 これなら今回の期末テストもクリア出来るかな?
「それじゃあクリスマスの日に、みんなで集まるって・・・こと・・・で・・・」
そう僕が提案した途端にみんなが僕の方を見始める。 あれ? なにか変なこと言った?
「いや、集まるは集まるけれど、クリスマスは駄目だろ、館。」
「え?」
「あなたには安見さんがいるじゃないですか。」
「え? みんなで集まるんだからそれは当然・・・」
「私たちという邪魔者は要らないだろう?」
坂内君のその言葉に理解が出来た。 つまり僕と安見さんの二人きりで、クリスマス過ごせばいいという言葉だ。 ただ、少し露骨過ぎないかと思ってはいた。
「というよりも、そういったのは、二人で、話し合うことだと、思います、よ?」
うーむ、円藤さんにまで悟られると少しショックが大きい。 あまりにも考えていなかったことがばれてしまっている。
「で? もう一人の当事者はどう思ってんだ?」
先程から発言のない安見さんに向かって小舞君は話しかけてみるけれど、返事がない。 うつ伏せになっている安見さんを近くで見てみると、案の定寝ていました。 この人本当に平常運転だな。 というか前に授業時間以外で寝れないって言ってなかったっけ?
「むぅ、安見ったら。 寝れば発言出来ないから仕方ないけれど、こんなタイミングで寝ないでよね。」
「いいではないですか。 最近は授業中に寝ることか少なくなったと言っていましたし、これも変化ではありませんか? 館君。」
江ノ島さんに話を振られたけれど確かにそうだ。 それだけ彼女が安心している証拠でもある。 ただやっぱり寝てしまう体質だけはどうにもならないようだ。
「なぁ館よ。」
「なに? 小舞君。」
「須今のこの体質。 今のうちにある程度治しておいた方がいいと思うんだが。」
「え? なんで?」
確かに今後のことを考えれば治すのは必然的にはなるかも知れないけれど、流石にもう少し先でもいいんじゃないかなと思っている。 早いに越したことはないにしても、だ。 まだそこまで問題視するようなことじゃないと思うんだけども。
「お前・・・いい雰囲気になったところに、須今が寝ちまったら雰囲気ぶち壊しだろうが。」
「そんな心配をされることになるとは思わなかったんだけど。」
それにその台詞はあいつを思い出すから止めて欲しい。 言いたいことは分かったけれどその辺りはこちらのペースでやるよ。
「とにかくスイーツバイキングはクリスマスイブにするから、館と安見は二人で行ける場所、考えておけばいいんだよ。」
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