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とっておきの場所と占い
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「さあ着いたわ。 ここがとっておきの場所なの。」
着いたのは部室棟。 しかもその上に立っている。
実はこの部室棟の壁に足をかけれるほどの崩壊跡があり、そこに足をかけておもいっきり背伸びをするとこれまたなんのためにかけられたのか分からない梯子に手が伸びて、そこから登ることが出来る、そして部室棟の上に立てるという訳になる。
「凄いところだけど、なんてあんなことが?」
「いやぁ良くわからないんだけど、私が入学した時にはもう出来ていたのよね。 だから先輩達が作ったんじゃないかしら? 明らかに人工的に作られてたし。」
それならしょうがない。 母さんが作ったので無ければそれでいいや。
「いい眺めね。 あれだけ人がいた場所だとは思えないわ。」
天祭がそう感想を述べるが、確かに眺めはとてもいい。 人がいっぱい見れる場所とは校舎以外にもあったことにまず驚きだったのと、こんな場所を知っていた母さんに驚きだ。 でも下手に使わないようにしないと、誰がここを使うか分からないからね。
「あ、安見さん、大丈夫・・・」
それなりに高いところにいるのと、周りに遮るものがないので、高所恐怖症が少しでも現れるのではないかと思ったら、安見さんは僕の肩を後ろから掴みながら呼吸を整えていた。
「大丈夫・・・です。 館君を・・・盾代わりにすれば・・・なんとか・・・」
そんな人を自分を守る道具のように言わなくても・・・ 実際にそうなのだからなんとも言えないけれども。
「あら、ごめんなさい。 安見ちゃんの高所恐怖症の事を忘れていたわ。」
「いいんですよ陽子さん。 私達も人混みよりは幾分こちらのほうがよいですし、安見の場合は館君が前にいれば問題はありませんので。」
「ねぇねぇ母さん。 なに買ってきてくれたの?」
「はいはい、あんたはがっつき過ぎよ味柑。 もう少し女の子らしくしなさいな。」
「えーいいじゃん。 身内くらい肩身を外させてよ。」
それはどうだろうという思いと僕らはもう身内扱いなのねという思いで、僕たちは文化祭の昼食を共にした。
「安見さん、本当に大丈夫?」
あれから僕たちは昼食を食べ終えて、再度教室棟に来ていた。 だが安見さんの顔色が若干優れない中での行動なので不安が募るのだ。
「私は大丈夫です。 それよりももうすぐ私達の順番になってしまうので、館君が行きたがっていた、占いの館に行きましょう。」
そういいながら僕の腕を掴んで一緒に歩いている。 倒れないか不安だなと思いつつも、スローペースにならないように歩いた。
占いの館、2年生の教室で行われていて、ここの占いはタロットで行うようだ。 ただ、やっている人間が複数いるわけではないので、1人10分を目処に入れ替わりで占っているらしい。
「次の方、どうぞ。」
順番が来たので、先に僕が入ることにした。 入ると頭にバンダナを縛って、口元にインドの人がしているような薄い布をつけている女子の先輩がタロットカードをシャッフルしていた。 結構本格的な人かな?
「いらっしゃい。 聞きたい内容は話さなくていいわ。 タロットは聞いたことくらいはあるでしょ?」
そう言うと早速一枚のカードを引いて表にする。 僕に向けられたのは「恋人」のカード。
「貴方には想い人がいる。 これに関してはタロットを使わなくても知っているわ。」
噂になってるくらいなのでその辺りは今更感が凄いのだろう。 僕も正直気にするような程でもないので、次に進むことにした。
次に引いて見せてきたのは「節制」のカード。
「無理に相手のして欲しいことを行うのは逆効果。 今まで通りの接し方で十分に目標は達成されます。」
目標とはなんなのかまでは分からないが、とにかく無理に急ぐことは無いということか。
次は「塔」のカード、ただしこのカードは僕には逆さに見えた。 タロットには「正位置」と「逆位置」が存在することも知っている。 これはつまり「逆位置の塔」という意味だろう。
「塔の逆位置、それはこれから起こる悪い予感のお告げです。 あなたの思いと反することが起こる。 そんな予感です。」
それは気を付けないといけないな。 どんなことなのかは分からないけれど。
次に見せてくれたカードは「吊るされし男」のカード。 意味は詳しく分からないので、これだけ見せられると不安になる。
「しかしその悪い予感は、試練の一時。 あなたと想い人の間に起きる蟠り。 それを乗り切れるかが、運命を決める鍵。」
ただの運命ではないということだろう。 でもやっぱり「吊るされし男」はちょっとなぁ・・・
「そしてこれが最後のカード。」
そういって見せてきたのは「法王」のカードの逆位置だった。
「急いては事を仕損じる。 試練を乗り越えても、順序は守ること。」
あんまり先走るのは良くないってことか。 それはしっかりと心得ておかないと。
「これは今日起きること。 あなたの運命はここが分かれ道になる。」
ちゃんと聞いていますよ。 この後のことをしっかりと考えないと。
「信じるも信じないも貴方次第。 当たるも八卦当たらぬも八卦。 だけれどこれだけは言える。 貴方なら、この困難を乗り越えられる。 私はそう信じている。」
なんだか背中を押される勢いで部屋を出ることになった。 すると目の前に安見さんと目があった。
「どうでしたか? 占いの結果は。」
「うん。 多分あの人の占いは当たる感じがするんだ。 安見さんも占って貰ったら?」
「せっかくなので私もやってもらいましょう。」
そういって安見さんも入っていく。
待つこと数分。 安見さんが部屋から出てくる。
「どうだった?」
「確かに、あの人の言い分には強い説得力がありました。」
安見さんはどのように見られたのか分からないけれど、少なくともただ悪い結果ではなかったようだ。 今日の運勢を占われたようだが、やっぱり不安にもなってくる。 警戒はしておいたほうがいいのかな?
着いたのは部室棟。 しかもその上に立っている。
実はこの部室棟の壁に足をかけれるほどの崩壊跡があり、そこに足をかけておもいっきり背伸びをするとこれまたなんのためにかけられたのか分からない梯子に手が伸びて、そこから登ることが出来る、そして部室棟の上に立てるという訳になる。
「凄いところだけど、なんてあんなことが?」
「いやぁ良くわからないんだけど、私が入学した時にはもう出来ていたのよね。 だから先輩達が作ったんじゃないかしら? 明らかに人工的に作られてたし。」
それならしょうがない。 母さんが作ったので無ければそれでいいや。
「いい眺めね。 あれだけ人がいた場所だとは思えないわ。」
天祭がそう感想を述べるが、確かに眺めはとてもいい。 人がいっぱい見れる場所とは校舎以外にもあったことにまず驚きだったのと、こんな場所を知っていた母さんに驚きだ。 でも下手に使わないようにしないと、誰がここを使うか分からないからね。
「あ、安見さん、大丈夫・・・」
それなりに高いところにいるのと、周りに遮るものがないので、高所恐怖症が少しでも現れるのではないかと思ったら、安見さんは僕の肩を後ろから掴みながら呼吸を整えていた。
「大丈夫・・・です。 館君を・・・盾代わりにすれば・・・なんとか・・・」
そんな人を自分を守る道具のように言わなくても・・・ 実際にそうなのだからなんとも言えないけれども。
「あら、ごめんなさい。 安見ちゃんの高所恐怖症の事を忘れていたわ。」
「いいんですよ陽子さん。 私達も人混みよりは幾分こちらのほうがよいですし、安見の場合は館君が前にいれば問題はありませんので。」
「ねぇねぇ母さん。 なに買ってきてくれたの?」
「はいはい、あんたはがっつき過ぎよ味柑。 もう少し女の子らしくしなさいな。」
「えーいいじゃん。 身内くらい肩身を外させてよ。」
それはどうだろうという思いと僕らはもう身内扱いなのねという思いで、僕たちは文化祭の昼食を共にした。
「安見さん、本当に大丈夫?」
あれから僕たちは昼食を食べ終えて、再度教室棟に来ていた。 だが安見さんの顔色が若干優れない中での行動なので不安が募るのだ。
「私は大丈夫です。 それよりももうすぐ私達の順番になってしまうので、館君が行きたがっていた、占いの館に行きましょう。」
そういいながら僕の腕を掴んで一緒に歩いている。 倒れないか不安だなと思いつつも、スローペースにならないように歩いた。
占いの館、2年生の教室で行われていて、ここの占いはタロットで行うようだ。 ただ、やっている人間が複数いるわけではないので、1人10分を目処に入れ替わりで占っているらしい。
「次の方、どうぞ。」
順番が来たので、先に僕が入ることにした。 入ると頭にバンダナを縛って、口元にインドの人がしているような薄い布をつけている女子の先輩がタロットカードをシャッフルしていた。 結構本格的な人かな?
「いらっしゃい。 聞きたい内容は話さなくていいわ。 タロットは聞いたことくらいはあるでしょ?」
そう言うと早速一枚のカードを引いて表にする。 僕に向けられたのは「恋人」のカード。
「貴方には想い人がいる。 これに関してはタロットを使わなくても知っているわ。」
噂になってるくらいなのでその辺りは今更感が凄いのだろう。 僕も正直気にするような程でもないので、次に進むことにした。
次に引いて見せてきたのは「節制」のカード。
「無理に相手のして欲しいことを行うのは逆効果。 今まで通りの接し方で十分に目標は達成されます。」
目標とはなんなのかまでは分からないが、とにかく無理に急ぐことは無いということか。
次は「塔」のカード、ただしこのカードは僕には逆さに見えた。 タロットには「正位置」と「逆位置」が存在することも知っている。 これはつまり「逆位置の塔」という意味だろう。
「塔の逆位置、それはこれから起こる悪い予感のお告げです。 あなたの思いと反することが起こる。 そんな予感です。」
それは気を付けないといけないな。 どんなことなのかは分からないけれど。
次に見せてくれたカードは「吊るされし男」のカード。 意味は詳しく分からないので、これだけ見せられると不安になる。
「しかしその悪い予感は、試練の一時。 あなたと想い人の間に起きる蟠り。 それを乗り切れるかが、運命を決める鍵。」
ただの運命ではないということだろう。 でもやっぱり「吊るされし男」はちょっとなぁ・・・
「そしてこれが最後のカード。」
そういって見せてきたのは「法王」のカードの逆位置だった。
「急いては事を仕損じる。 試練を乗り越えても、順序は守ること。」
あんまり先走るのは良くないってことか。 それはしっかりと心得ておかないと。
「これは今日起きること。 あなたの運命はここが分かれ道になる。」
ちゃんと聞いていますよ。 この後のことをしっかりと考えないと。
「信じるも信じないも貴方次第。 当たるも八卦当たらぬも八卦。 だけれどこれだけは言える。 貴方なら、この困難を乗り越えられる。 私はそう信じている。」
なんだか背中を押される勢いで部屋を出ることになった。 すると目の前に安見さんと目があった。
「どうでしたか? 占いの結果は。」
「うん。 多分あの人の占いは当たる感じがするんだ。 安見さんも占って貰ったら?」
「せっかくなので私もやってもらいましょう。」
そういって安見さんも入っていく。
待つこと数分。 安見さんが部屋から出てくる。
「どうだった?」
「確かに、あの人の言い分には強い説得力がありました。」
安見さんはどのように見られたのか分からないけれど、少なくともただ悪い結果ではなかったようだ。 今日の運勢を占われたようだが、やっぱり不安にもなってくる。 警戒はしておいたほうがいいのかな?
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