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次に向かう場所は
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「ところで安見さん達はこれからどこにいこうとしてたの?」
「そうですね。 私達は屋台の方に向かおうかと思っていました。」
「僕らも行ってもいいかな? 特に行く宛を決めてなかったんだよね。」
「前回はいきたい場所があったのではないのですか?」
「それは明日に行こうかなって思ってさ。」
そういいながら僕らは屋台のある外に向かうことにした。
「なあ、あの子達可愛くね?」
「お前声かけに行けよ。」
「馬鹿、他の男子がいるだろ。 あれに声をかけに行けるわけないだろ?」
あちらこちらから僕らの事を見ている。 なんというか凄く目立っているようにも見える。 同級生はもちろん先輩達からも見られている。
「私たちってそんなに目立ちますかね?」
「凄いよねぇ。 有名人になった気分だよ。」
そんなことを言っているが彼女達は遠目に見ても容姿は抜群だ。 これで有名にならない方がまずおかしいというものでもある。
「いいなぁ。 俺もあんな子と一緒に回れたらなぁ。」
「まだ来年があるし、お客さんだってくるんだ。 そこで見つけようぜ?」
「俺だって青春したいんじゃあー!」
そう叫ぶ先輩の声が木霊する。 彼女達が近寄られない理由。 それは僕達男子陣が何だかんだでいることなのだ。 何この布陣強い。
「でもまだ正直怖いですね。」
「先輩達が、いますから、ね。」
色々と自粛しているのだろうか? それはともかくとして屋台エリアについた。 文化祭の屋台なだけあって本当に色んな屋台が出揃っていた。
「昼飯は食っちまったけど、どうする?」
「とりあえずは私達の屋台にいってどんな様子か見てみましょうか。 状況によっては今日の夜に仕込まなければいけなくなるかもですし。」
そんなわけで、まずは僕達のお店、「スイートポテトのお店」に行くことにした。
「みんな、様子はどうかな?」
丁度お客さんが捌けたのだろうタイミングで声をかける。
「あ、館君。 一応それなりに成果は出てるよ。 なにしろあれだけあった冷蔵庫のストックが無くなっちゃったからね。 今は新しく作りながらストックを補充してるところ。」
女子の1人がそんなことを語っている。 どうやらこれなら明日も通用しそうだ。 ちなみにここでやっているメンバーは、今日販売をする代わりに、明日はフリーにしてもらうことを約束している。 それでも回るので問題は一切ない。
「そっか。 あ、なにか買ってこようか? リクエストある?」
「おっ、それじゃああれ買ってきてよ。 先輩達が作ってる揚げフランクフルト。 どんな食感がするのか気になっててさぁ。」
「分かった。 僕らの買い物が終わったら買って渡すから。」
「待ってるからねぇ。」
そう言って僕達は屋台の方に目を向ける。 甘いものから食事用まで様々な屋台が並んでいるが、今はあくまでも「学生達」の範囲。 明日からはもっと本格的な出張料理屋が来るのだ。 みんな何だかんだでそっちを期待していたりする。 稼げるときに稼ぐのは、この学校での文化祭の定番なのだ。
「俺はコロッケ行こうかな。」
「私はあのじゃがバターにしよう。」
「私達もそれぞれで見つけましょうか。」
「それじゃあ、また後でね。」
そう言ってみんなバラバラになる。 残されたのは僕と安見さん、円藤さんの3人だけになった。
「2人はなにが気になってる?」
僕自身は今は特に食べたいものとかもあまりないので、2人に選択を委ねようと思った。
「なら、あそこにしませんか?」
そう言って安見さんが指を指したのは
「・・・オムレツのお店?」
「正確には「フリッタータ」と呼ばれるイタリア料理だそうです。」
へぇ、それは確かに期待できるかも。 そんな期待を寄せつつ先輩達が切り盛りしているフリッタータのお店に並ぶ。 物珍しいのか、結構な生徒が並んでいた。
「これは結構並ぶかもね。」
「それだけ人気の商品なのでしょう。 楽しみになってきました。」
そういって並んでいると不意に横から衝撃が来た。 何事かと見てみると、円藤さんが僕の腕にしがみついていたのだ。
「円藤さん? どうしたの?」
「す、すみません館さん。 ちょっと、押されてしまった、だけなので。」
「あー、それは大変だね。 円藤さん。 もう少しこっちに来る?」
「え!? そ、それは・・・ いえ、はい。」
なんだか色々な事が入り交じっているような言い方をしていたが、円藤さんはこちらに来てくれた。
そうしてようやく最前列に来ることができた。 そこでメニューを確認する。 色々なものが挟んであるオムレツのような感じで、5種類ほどが出ていた。
「いらっしゃい。 おや、君は我が部の後輩ちゃんじゃないか。」
「どうも。 先輩のクラスの出し物だったのですね。」
受付の女子の先輩の言葉に安見さんが答える。 どうやら調理部の先輩のようだ。
「お友達と一緒かい?」
「ええ、明日の当番も終盤近い部分なので、今のうちに来ておこうかと。」
「ははは。 それは光栄だ。 それでなにを頼んでいく?」
「私はチーズ入りで。 お二人は?」
「僕はほうれん草入りで。」
「わ、私はツナでお願いします。」
「はいよ。 3人で1200円ね。」
そう言われたので僕達は食券をそれぞれ4枚千切って先輩に渡す。
「出来上がるまで隣で待っててね。 次のお客様、どうぞ?」
そういって邪魔にならないように隣で待つことにする。 そして待つこと数分。
「お待たせしました。 これがチーズ、これがほうれん草で、これがツナになります。」
先程とは別の先輩が僕らに楕円型のフリッタータの袋を3つくれた。 ちゃんと中身も確認してある。
それぞれ自分が頼んだフリッタータを持って、口に運ぶ。 焼きたてなので熱さを感じるが、その中に混じる卵の味がしっかりと伝わってくる。 そこに後から追いかけてくるほうれん草の風味もまた良かった。
「うん。 美味しい。」
「文化祭でこのようなものを食べられるとは思っても見ませんでした。」
「熱々なのが、やっぱり美味しいよね。」
僕達3人は仄かな暖かさにじんわりしながらフリッタータの味を楽しんだのだった。
「そうですね。 私達は屋台の方に向かおうかと思っていました。」
「僕らも行ってもいいかな? 特に行く宛を決めてなかったんだよね。」
「前回はいきたい場所があったのではないのですか?」
「それは明日に行こうかなって思ってさ。」
そういいながら僕らは屋台のある外に向かうことにした。
「なあ、あの子達可愛くね?」
「お前声かけに行けよ。」
「馬鹿、他の男子がいるだろ。 あれに声をかけに行けるわけないだろ?」
あちらこちらから僕らの事を見ている。 なんというか凄く目立っているようにも見える。 同級生はもちろん先輩達からも見られている。
「私たちってそんなに目立ちますかね?」
「凄いよねぇ。 有名人になった気分だよ。」
そんなことを言っているが彼女達は遠目に見ても容姿は抜群だ。 これで有名にならない方がまずおかしいというものでもある。
「いいなぁ。 俺もあんな子と一緒に回れたらなぁ。」
「まだ来年があるし、お客さんだってくるんだ。 そこで見つけようぜ?」
「俺だって青春したいんじゃあー!」
そう叫ぶ先輩の声が木霊する。 彼女達が近寄られない理由。 それは僕達男子陣が何だかんだでいることなのだ。 何この布陣強い。
「でもまだ正直怖いですね。」
「先輩達が、いますから、ね。」
色々と自粛しているのだろうか? それはともかくとして屋台エリアについた。 文化祭の屋台なだけあって本当に色んな屋台が出揃っていた。
「昼飯は食っちまったけど、どうする?」
「とりあえずは私達の屋台にいってどんな様子か見てみましょうか。 状況によっては今日の夜に仕込まなければいけなくなるかもですし。」
そんなわけで、まずは僕達のお店、「スイートポテトのお店」に行くことにした。
「みんな、様子はどうかな?」
丁度お客さんが捌けたのだろうタイミングで声をかける。
「あ、館君。 一応それなりに成果は出てるよ。 なにしろあれだけあった冷蔵庫のストックが無くなっちゃったからね。 今は新しく作りながらストックを補充してるところ。」
女子の1人がそんなことを語っている。 どうやらこれなら明日も通用しそうだ。 ちなみにここでやっているメンバーは、今日販売をする代わりに、明日はフリーにしてもらうことを約束している。 それでも回るので問題は一切ない。
「そっか。 あ、なにか買ってこようか? リクエストある?」
「おっ、それじゃああれ買ってきてよ。 先輩達が作ってる揚げフランクフルト。 どんな食感がするのか気になっててさぁ。」
「分かった。 僕らの買い物が終わったら買って渡すから。」
「待ってるからねぇ。」
そう言って僕達は屋台の方に目を向ける。 甘いものから食事用まで様々な屋台が並んでいるが、今はあくまでも「学生達」の範囲。 明日からはもっと本格的な出張料理屋が来るのだ。 みんな何だかんだでそっちを期待していたりする。 稼げるときに稼ぐのは、この学校での文化祭の定番なのだ。
「俺はコロッケ行こうかな。」
「私はあのじゃがバターにしよう。」
「私達もそれぞれで見つけましょうか。」
「それじゃあ、また後でね。」
そう言ってみんなバラバラになる。 残されたのは僕と安見さん、円藤さんの3人だけになった。
「2人はなにが気になってる?」
僕自身は今は特に食べたいものとかもあまりないので、2人に選択を委ねようと思った。
「なら、あそこにしませんか?」
そう言って安見さんが指を指したのは
「・・・オムレツのお店?」
「正確には「フリッタータ」と呼ばれるイタリア料理だそうです。」
へぇ、それは確かに期待できるかも。 そんな期待を寄せつつ先輩達が切り盛りしているフリッタータのお店に並ぶ。 物珍しいのか、結構な生徒が並んでいた。
「これは結構並ぶかもね。」
「それだけ人気の商品なのでしょう。 楽しみになってきました。」
そういって並んでいると不意に横から衝撃が来た。 何事かと見てみると、円藤さんが僕の腕にしがみついていたのだ。
「円藤さん? どうしたの?」
「す、すみません館さん。 ちょっと、押されてしまった、だけなので。」
「あー、それは大変だね。 円藤さん。 もう少しこっちに来る?」
「え!? そ、それは・・・ いえ、はい。」
なんだか色々な事が入り交じっているような言い方をしていたが、円藤さんはこちらに来てくれた。
そうしてようやく最前列に来ることができた。 そこでメニューを確認する。 色々なものが挟んであるオムレツのような感じで、5種類ほどが出ていた。
「いらっしゃい。 おや、君は我が部の後輩ちゃんじゃないか。」
「どうも。 先輩のクラスの出し物だったのですね。」
受付の女子の先輩の言葉に安見さんが答える。 どうやら調理部の先輩のようだ。
「お友達と一緒かい?」
「ええ、明日の当番も終盤近い部分なので、今のうちに来ておこうかと。」
「ははは。 それは光栄だ。 それでなにを頼んでいく?」
「私はチーズ入りで。 お二人は?」
「僕はほうれん草入りで。」
「わ、私はツナでお願いします。」
「はいよ。 3人で1200円ね。」
そう言われたので僕達は食券をそれぞれ4枚千切って先輩に渡す。
「出来上がるまで隣で待っててね。 次のお客様、どうぞ?」
そういって邪魔にならないように隣で待つことにする。 そして待つこと数分。
「お待たせしました。 これがチーズ、これがほうれん草で、これがツナになります。」
先程とは別の先輩が僕らに楕円型のフリッタータの袋を3つくれた。 ちゃんと中身も確認してある。
それぞれ自分が頼んだフリッタータを持って、口に運ぶ。 焼きたてなので熱さを感じるが、その中に混じる卵の味がしっかりと伝わってくる。 そこに後から追いかけてくるほうれん草の風味もまた良かった。
「うん。 美味しい。」
「文化祭でこのようなものを食べられるとは思っても見ませんでした。」
「熱々なのが、やっぱり美味しいよね。」
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