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疑惑発生!?
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新学期が始まり、土日を挟んで1週間が経った頃。 生徒会の宣言通り「不純異性交流禁止強化週間」が始まった。
強化週間と言っても具体的に言えば各学年の生徒会メンバーの情報確認や監視が主で、男女が会話したり、物々交換をするくらいではまず注意もない。
「そんなことまでされたら、学校生活なにもできんくなるわな。」
小舞君の言う通りである。 行きすぎた規制は、むしろその後の反動も怖いのだ。 よほどそう言った行為が行われそうにない限りは、大丈夫であろう。 というよりもそんな監視の目がある中で、そんなことをするような人なんて・・・
「だぁー! くっそー! なんであのタイミングなんだよぉ! 間が悪すぎんよ生徒会!」
「ほんとまじ勘弁! これじゃあまともにイチャイチャ出来ないじゃん! 青春ぶち壊しなんですけど!」
そんなことを思っていたら、曇り窓越しの廊下の方からそんな男女の声が聞こえてきた。 他のクラスなのだろうが、顔までは詳しく見えなかった。
「一体なにをしたんだ? 先程の2人は?」
「さあ? でもこんな期間にやってるのがバレてるんだから、自業自得じゃない?」
廊下側に近かったことから会話が丸聞こえ立った訳だけど、どうも先程の二人は生徒会長に呼び出されていたようだ。 恐らく強化週間中の過度な異性交流があったと考えて間違いないだろう。
「生徒会の、人も、常に、見てるわけ、じゃない、はずなんです、けどね。」
「間が悪かったと言っていたので、生徒会の人も偶然見かけたのでしょう。」
「しかし先ほどの会話の様子ですと、反省文を書かされた程度だと思います。 過度な異性交流の内容が軽かったのか、初犯だからか。 次に同じようなことはもう出来ないでしょう。」
「それでもやろうとするやつは勇者だぜ。 いや、どっちかって言うと、愚者になるのか?」
先程の二人の事で僕らは会話と考察を繰り返して、次の授業のチャイムが鳴った。
「学校が終わっても気が緩めないのは少し大変ですよね。」
そんな学校の帰り道、僕と安見さんは部活動を終えて、駅に向かって帰路を歩いていた。
「まぁどこで生徒会が見ているか分からないからね。」
「生徒会だけではなく、教員方や生徒だって見ているわけで、ある意味四方八方から見られているのですよ。」
それは本当に怖い話だ。 と言っても1週間という期間は短いようで実際はそこそこ長かったりする。
「だけどある程度規制はしないと取り返しがつかなくなりそうだよ。」
「館君までそのようなことを言うのですか?」
「昼間の会話を聞いてなかった訳じゃないでしょ? とりあえずは今だけでもいいから健全にいこうよ。」
「健全に・・・ですか。 そうですね。」
安見さんも納得してくれたようで、そのまままた歩きだす。
「きゃっ!」
安見さんがコンクリートの突起に躓いたのかバランスを崩しそうになる。
「おっと。 大丈夫?」
そういって僕は安見さんが転ばないように体で支える。
「ええ、すみません。 足元が疎かになっていたようです。」
それなら良かったと、僕らは再び歩き始める。
電車に乗って僕らは駅を降りて、改札口のところに行く。
「良かったのですか? 降りてしまったら館君の帰りが遅くなってしまうのではないですか?」
「元々両親はどっちも帰りが少し遅いんだ。 だから僕がよっぽど遅くならないなら問題はないんだよね。」
「そうなのですね。 それではまた明日です。」
そういって安見さんは改札口から出ようとしたところで、
「安見さん、ちょっと待って。」
そういって僕は顔を安見さんに近付けて、そっと右手を動かして、髪についていた埃を取る。
「はい、これでいいよ。」
「埃があったのですね。 どこでくっついてきたのでしょうか?」
「さあね。 でも他にはないみたいだから大丈夫だよ。」
「ありがとうございます。 それでは本当にこれで。」
そういって安見さんは改札口を出る。 僕もこのまま改札口を出てもいいのだが、流石に歩いて帰るのは苦労をかけてしまうので、駅のホームに向かうために階段を上っていった。
その前に改札口に向かっていた人からなにやら不穏な空気を感じたが、僕は気にしすぎかなという思いで、駅のホームに歩いていった。
不純異性交流禁止週間の力はそれなりに効果があるようで、僕達一年生の間ではそんなに意味が無かったかに思われたけれど、先輩達の方があまり人前でやることが少なくなったんだとか。 生徒会に呼ばれる人もそんなには多くはないそうだ。 これならあまり問題になる前に終息しそうだ。
そんなことを思っていた週の中日。
『生徒会から連絡いたします。 1年2組 館 光輝君 須今 安見さん 放課後に生徒会室に来てください。 繰り返します。 1年2組 館 光輝君 須今 安見さん 放課後に生徒会室に来てください。』
その放送が流れたのがお昼どきだった。 校内放送での呼び出しなんて初めてだったので、僕と近くにいた安見さんは困惑をしていた。
「なんで私達が同時に・・・?」
「・・・もしかして強化週間のあれだったり?」
「そんなこと・・・ないですよね?」
僕としてもそんなことはないと信じたい。 信じたいが信じきれないのが事実で、僕の頭の中ではパニックを起こしていた。
そして放課後、僕と安見さんは教室棟3階奥の部屋、「生徒会室」のドアの前に来ていた。
「まさか生徒会室に呼ばれることになるなんて思ってもみなかったよ。」
「それは私も同じです。 部活動報告以外でくることなど無いと思っていたので。」
「・・・入ろうか。」
覚悟を決めてノックをする。
『入ってよいぞ。』
中から声がして、ドアを開ける。
「失礼します。」
「失礼いたします。」
部屋に入ると、それぞれの役員に1つずつ机があり、そこに生徒会の人が全員座っている。 中でも生徒会長 源 由来那が僕らを見定めていた。
「ようこそ生徒会室へ。 生徒会長の源 由来那だ。 単刀直入に話をしよう。 ここへ呼ばれた理由は成績上位者の君達なら分かるだろ?」
生徒会長にそう問いただされて、僕と安見さんは頷いた。
「ならば話は早い。 君達には不純異性交流の疑惑がある。 それについての処分を下すために呼んだのだ。」
強化週間と言っても具体的に言えば各学年の生徒会メンバーの情報確認や監視が主で、男女が会話したり、物々交換をするくらいではまず注意もない。
「そんなことまでされたら、学校生活なにもできんくなるわな。」
小舞君の言う通りである。 行きすぎた規制は、むしろその後の反動も怖いのだ。 よほどそう言った行為が行われそうにない限りは、大丈夫であろう。 というよりもそんな監視の目がある中で、そんなことをするような人なんて・・・
「だぁー! くっそー! なんであのタイミングなんだよぉ! 間が悪すぎんよ生徒会!」
「ほんとまじ勘弁! これじゃあまともにイチャイチャ出来ないじゃん! 青春ぶち壊しなんですけど!」
そんなことを思っていたら、曇り窓越しの廊下の方からそんな男女の声が聞こえてきた。 他のクラスなのだろうが、顔までは詳しく見えなかった。
「一体なにをしたんだ? 先程の2人は?」
「さあ? でもこんな期間にやってるのがバレてるんだから、自業自得じゃない?」
廊下側に近かったことから会話が丸聞こえ立った訳だけど、どうも先程の二人は生徒会長に呼び出されていたようだ。 恐らく強化週間中の過度な異性交流があったと考えて間違いないだろう。
「生徒会の、人も、常に、見てるわけ、じゃない、はずなんです、けどね。」
「間が悪かったと言っていたので、生徒会の人も偶然見かけたのでしょう。」
「しかし先ほどの会話の様子ですと、反省文を書かされた程度だと思います。 過度な異性交流の内容が軽かったのか、初犯だからか。 次に同じようなことはもう出来ないでしょう。」
「それでもやろうとするやつは勇者だぜ。 いや、どっちかって言うと、愚者になるのか?」
先程の二人の事で僕らは会話と考察を繰り返して、次の授業のチャイムが鳴った。
「学校が終わっても気が緩めないのは少し大変ですよね。」
そんな学校の帰り道、僕と安見さんは部活動を終えて、駅に向かって帰路を歩いていた。
「まぁどこで生徒会が見ているか分からないからね。」
「生徒会だけではなく、教員方や生徒だって見ているわけで、ある意味四方八方から見られているのですよ。」
それは本当に怖い話だ。 と言っても1週間という期間は短いようで実際はそこそこ長かったりする。
「だけどある程度規制はしないと取り返しがつかなくなりそうだよ。」
「館君までそのようなことを言うのですか?」
「昼間の会話を聞いてなかった訳じゃないでしょ? とりあえずは今だけでもいいから健全にいこうよ。」
「健全に・・・ですか。 そうですね。」
安見さんも納得してくれたようで、そのまままた歩きだす。
「きゃっ!」
安見さんがコンクリートの突起に躓いたのかバランスを崩しそうになる。
「おっと。 大丈夫?」
そういって僕は安見さんが転ばないように体で支える。
「ええ、すみません。 足元が疎かになっていたようです。」
それなら良かったと、僕らは再び歩き始める。
電車に乗って僕らは駅を降りて、改札口のところに行く。
「良かったのですか? 降りてしまったら館君の帰りが遅くなってしまうのではないですか?」
「元々両親はどっちも帰りが少し遅いんだ。 だから僕がよっぽど遅くならないなら問題はないんだよね。」
「そうなのですね。 それではまた明日です。」
そういって安見さんは改札口から出ようとしたところで、
「安見さん、ちょっと待って。」
そういって僕は顔を安見さんに近付けて、そっと右手を動かして、髪についていた埃を取る。
「はい、これでいいよ。」
「埃があったのですね。 どこでくっついてきたのでしょうか?」
「さあね。 でも他にはないみたいだから大丈夫だよ。」
「ありがとうございます。 それでは本当にこれで。」
そういって安見さんは改札口を出る。 僕もこのまま改札口を出てもいいのだが、流石に歩いて帰るのは苦労をかけてしまうので、駅のホームに向かうために階段を上っていった。
その前に改札口に向かっていた人からなにやら不穏な空気を感じたが、僕は気にしすぎかなという思いで、駅のホームに歩いていった。
不純異性交流禁止週間の力はそれなりに効果があるようで、僕達一年生の間ではそんなに意味が無かったかに思われたけれど、先輩達の方があまり人前でやることが少なくなったんだとか。 生徒会に呼ばれる人もそんなには多くはないそうだ。 これならあまり問題になる前に終息しそうだ。
そんなことを思っていた週の中日。
『生徒会から連絡いたします。 1年2組 館 光輝君 須今 安見さん 放課後に生徒会室に来てください。 繰り返します。 1年2組 館 光輝君 須今 安見さん 放課後に生徒会室に来てください。』
その放送が流れたのがお昼どきだった。 校内放送での呼び出しなんて初めてだったので、僕と近くにいた安見さんは困惑をしていた。
「なんで私達が同時に・・・?」
「・・・もしかして強化週間のあれだったり?」
「そんなこと・・・ないですよね?」
僕としてもそんなことはないと信じたい。 信じたいが信じきれないのが事実で、僕の頭の中ではパニックを起こしていた。
そして放課後、僕と安見さんは教室棟3階奥の部屋、「生徒会室」のドアの前に来ていた。
「まさか生徒会室に呼ばれることになるなんて思ってもみなかったよ。」
「それは私も同じです。 部活動報告以外でくることなど無いと思っていたので。」
「・・・入ろうか。」
覚悟を決めてノックをする。
『入ってよいぞ。』
中から声がして、ドアを開ける。
「失礼します。」
「失礼いたします。」
部屋に入ると、それぞれの役員に1つずつ机があり、そこに生徒会の人が全員座っている。 中でも生徒会長 源 由来那が僕らを見定めていた。
「ようこそ生徒会室へ。 生徒会長の源 由来那だ。 単刀直入に話をしよう。 ここへ呼ばれた理由は成績上位者の君達なら分かるだろ?」
生徒会長にそう問いただされて、僕と安見さんは頷いた。
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