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想いはすれ違う
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目が覚めると、辺りはまだ真っ暗だった。 もう自分がどのくらい寝ていたか把握できないが、それのお陰か、かなり楽にはなった熱も下がり、体調が元に戻ったようだ。 朝になるまでどれくらい時間があるか分からないけれど、あまりにも暑かったので、僕はベッドから出る。
薄いカーテン越しに月明かりが照らす部屋の中で、僕はペットボトルの水をコップに写して、喉の渇きを潤す。 そして近くに同じように置いてあったリンゴを食べる。 おそらく母さんが用意したものだろう。 普通に空腹にはなっているが、多分今食べると眠れなくなりそうなので、切られたリンゴを数個食べるだけにして、ベッドに潜り込んだ。
「結局寝れなかったな・・・」
あれから眠ろうと思ってもなかなか寝れなかったので、そのまま朝日を拝んで普通に学校に登校した。
早い時間に登校したので相変わらず誰もいない。 まあ病み上がりなので、最初から誰かと会いたいとは思ってはいない。 少し待っていれば誰かは来るだろう。 そんなことを考えていると教室のドアが開かれる。
「・・・・・・あっ・・・・・・」
開けてきた人物、安見さんは僕を見ている。
「おはよう安見さん。 昨日は学校休んじゃってごめんね。 林間学校で体調が崩れたみたいなんだ。」
「・・・そう・・・なのですね。」
・・・? なんだか歯切れが悪いな? どうしたんだろ? なんだか顔も赤いし。
「気分の方はどうですか? まだどこか痛みますか?」
「いや、今は大丈夫。 だけど病み上がりだからあんまり気分がいいとは言えないかな。」
「気分が悪くなったらすぐに先生にいってくださいね。」
「分かってるよ。 心配してくれてありがとう。」
そんな他愛ない話をしているはずなのに、なぜか安見さんは落ち着かない様子で立っている。 僕が昨日いない間になにがあったのだろうか?
「その・・・昨日の事は覚えていますか?」
「え? うーん。 熱があったからボヤボヤしてたから、記憶が曖昧なんだよね。 夢だったと思うことはあったし。」
「・・・夢?」
「うん。 寝ては起きて寝ては起きてを繰り返していたから、どっちがどっちか分からなかったんだよね。」
「館君は、どっちが夢だったか、分かってたり?」
「してないかな? あ、でも安見さんがいたのは、あれは夢だと思うんだよね。 安見さん本人には話せないような事喋っちゃったからね。 いやぁ、いくら熱があったとはいえ、あんなことは流石に言えないかな。」
「・・・そう・・・ですか・・・」
「・・・? どうしたの? なんだか様子がおかしいけれど?」
「大丈夫です。 本当に、なんでもないのです。」
そうは見えないと思うんだけどなぁ・・・? あんまり深くは触れない方がいいのかな? そんなことを思っていたら続々と教室にクラスメイトが入ってきたので、考えるのは止めた。
「なんだか今日は安見さんに避けられてると思うんだけど・・・」
お昼休み、今日は安見さんと一緒ではなく、坂内君と小舞君と一緒にお昼を過ごしていた。 いつもがいつもなだけに違和感を感じてしまっている。 慣れというのは恐ろしいものだと改めて感じた。
「お前・・・林間学校の時になんかしたのか?」
「むしろあんなガチガチの監視下でなにが出来るのさ。 それに男女が別れる場所以外では基本的に一緒だったじゃないか。」
「君達はそんなふしだらな行為に及ぶとは到底思ってはいないけれど、2人の今日の行動を見ていると、こちらとしても不安にはなるね。」
「・・・君達は僕達の事をどう見てるの?」
そう睨み付けると、2人は顔を見合せて。
「まあ君たちの関係は良好だと思うが。」
「クラスの一部ではもうカップルだと思われてるよな。」
僕の予想を難なく越えるような事を発言するのは止めてくれないかな? そう思い、頭を抱える。
「ま、今更なんだから自分の心に正直になっちまえ。 手遅れになる前にな。」
「・・・お気遣いどうも。」
安見さんから避けられている理由は分からないにしても、僕がなにか悪いことをしたというのなら、それは謝らなければならない。 「向こうが悪いんだ」なんて言うプライドなんてどうでもいい。 こういうのは自分に非があるのなら謝る、 それしか人間関係を保つ方法はないのだ。
昼休みが終わる前に、みんなが教室に戻ってくる前に話しておきたい。 どこにいるだろうか。 安見さんがいそうな場所はどこかな?
「どうされましたか? 館君」
安見さんがいた場所は調理部の近くの大樹の下だった。 少し寄り添うように座っていた。
「安見さん。 そろそろ次の授業が始まっちゃうよ?」
「ええ、そうですね。 行きましょうか。」
なんだか素っ気なく感じる。 なんだろうか? このモヤモヤ感は?
「ねぇ、安見さん。」
もう流石に自分がなにをしたのか分からないので、もう直接聞くことにした。
「僕がなにか悪いことでもしたのかな? 僕は昨日いなかったから、なにがあったのか分からないんだ。 だから僕は安見さんがなんで僕を避けているのか分からないよ。」
謝ってほしいと言われれば、有無を言わずに謝ろう。 そう心に決めている。
「・・・違うんです・・・私にも、分からないのです。 今日は、館君の事を・・・真っ直ぐ見れないんです。 だから・・・館君が・・・悪いわけでは・・・ないん・・・です・・・」
「・・・安見さん?」
「・・・すみません。 すぐに立ちます・・・ので・・・」
そう言って立とうとするが安見さんは大樹に手を当てながら立っていた。 いくら眠たそうにしている安見さんだが、ここまで気だるそうなのは流石に初めてだ。 そして安見さんはそのまま歩こうとしたが、そのまま前のめりに倒れそうになる。
「安見さん!!」
その倒れそうになっている安見さんを支える。 すると近づいて分かった。 安見さんは熱を帯びている。
「まさか・・・安見さん・・・」
風邪を引いている・・・! これは保健室に行かなきゃ!
薄いカーテン越しに月明かりが照らす部屋の中で、僕はペットボトルの水をコップに写して、喉の渇きを潤す。 そして近くに同じように置いてあったリンゴを食べる。 おそらく母さんが用意したものだろう。 普通に空腹にはなっているが、多分今食べると眠れなくなりそうなので、切られたリンゴを数個食べるだけにして、ベッドに潜り込んだ。
「結局寝れなかったな・・・」
あれから眠ろうと思ってもなかなか寝れなかったので、そのまま朝日を拝んで普通に学校に登校した。
早い時間に登校したので相変わらず誰もいない。 まあ病み上がりなので、最初から誰かと会いたいとは思ってはいない。 少し待っていれば誰かは来るだろう。 そんなことを考えていると教室のドアが開かれる。
「・・・・・・あっ・・・・・・」
開けてきた人物、安見さんは僕を見ている。
「おはよう安見さん。 昨日は学校休んじゃってごめんね。 林間学校で体調が崩れたみたいなんだ。」
「・・・そう・・・なのですね。」
・・・? なんだか歯切れが悪いな? どうしたんだろ? なんだか顔も赤いし。
「気分の方はどうですか? まだどこか痛みますか?」
「いや、今は大丈夫。 だけど病み上がりだからあんまり気分がいいとは言えないかな。」
「気分が悪くなったらすぐに先生にいってくださいね。」
「分かってるよ。 心配してくれてありがとう。」
そんな他愛ない話をしているはずなのに、なぜか安見さんは落ち着かない様子で立っている。 僕が昨日いない間になにがあったのだろうか?
「その・・・昨日の事は覚えていますか?」
「え? うーん。 熱があったからボヤボヤしてたから、記憶が曖昧なんだよね。 夢だったと思うことはあったし。」
「・・・夢?」
「うん。 寝ては起きて寝ては起きてを繰り返していたから、どっちがどっちか分からなかったんだよね。」
「館君は、どっちが夢だったか、分かってたり?」
「してないかな? あ、でも安見さんがいたのは、あれは夢だと思うんだよね。 安見さん本人には話せないような事喋っちゃったからね。 いやぁ、いくら熱があったとはいえ、あんなことは流石に言えないかな。」
「・・・そう・・・ですか・・・」
「・・・? どうしたの? なんだか様子がおかしいけれど?」
「大丈夫です。 本当に、なんでもないのです。」
そうは見えないと思うんだけどなぁ・・・? あんまり深くは触れない方がいいのかな? そんなことを思っていたら続々と教室にクラスメイトが入ってきたので、考えるのは止めた。
「なんだか今日は安見さんに避けられてると思うんだけど・・・」
お昼休み、今日は安見さんと一緒ではなく、坂内君と小舞君と一緒にお昼を過ごしていた。 いつもがいつもなだけに違和感を感じてしまっている。 慣れというのは恐ろしいものだと改めて感じた。
「お前・・・林間学校の時になんかしたのか?」
「むしろあんなガチガチの監視下でなにが出来るのさ。 それに男女が別れる場所以外では基本的に一緒だったじゃないか。」
「君達はそんなふしだらな行為に及ぶとは到底思ってはいないけれど、2人の今日の行動を見ていると、こちらとしても不安にはなるね。」
「・・・君達は僕達の事をどう見てるの?」
そう睨み付けると、2人は顔を見合せて。
「まあ君たちの関係は良好だと思うが。」
「クラスの一部ではもうカップルだと思われてるよな。」
僕の予想を難なく越えるような事を発言するのは止めてくれないかな? そう思い、頭を抱える。
「ま、今更なんだから自分の心に正直になっちまえ。 手遅れになる前にな。」
「・・・お気遣いどうも。」
安見さんから避けられている理由は分からないにしても、僕がなにか悪いことをしたというのなら、それは謝らなければならない。 「向こうが悪いんだ」なんて言うプライドなんてどうでもいい。 こういうのは自分に非があるのなら謝る、 それしか人間関係を保つ方法はないのだ。
昼休みが終わる前に、みんなが教室に戻ってくる前に話しておきたい。 どこにいるだろうか。 安見さんがいそうな場所はどこかな?
「どうされましたか? 館君」
安見さんがいた場所は調理部の近くの大樹の下だった。 少し寄り添うように座っていた。
「安見さん。 そろそろ次の授業が始まっちゃうよ?」
「ええ、そうですね。 行きましょうか。」
なんだか素っ気なく感じる。 なんだろうか? このモヤモヤ感は?
「ねぇ、安見さん。」
もう流石に自分がなにをしたのか分からないので、もう直接聞くことにした。
「僕がなにか悪いことでもしたのかな? 僕は昨日いなかったから、なにがあったのか分からないんだ。 だから僕は安見さんがなんで僕を避けているのか分からないよ。」
謝ってほしいと言われれば、有無を言わずに謝ろう。 そう心に決めている。
「・・・違うんです・・・私にも、分からないのです。 今日は、館君の事を・・・真っ直ぐ見れないんです。 だから・・・館君が・・・悪いわけでは・・・ないん・・・です・・・」
「・・・安見さん?」
「・・・すみません。 すぐに立ちます・・・ので・・・」
そう言って立とうとするが安見さんは大樹に手を当てながら立っていた。 いくら眠たそうにしている安見さんだが、ここまで気だるそうなのは流石に初めてだ。 そして安見さんはそのまま歩こうとしたが、そのまま前のめりに倒れそうになる。
「安見さん!!」
その倒れそうになっている安見さんを支える。 すると近づいて分かった。 安見さんは熱を帯びている。
「まさか・・・安見さん・・・」
風邪を引いている・・・! これは保健室に行かなきゃ!
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