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開園
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大門さんの家で泊まった次の日。 つまり今日がゴールデンウィークの最終日という事実を重んじながら、大門さんのお家で朝ごはんまで貰っている今の現状。
もう食卓には全員揃っていて、みんなで朝ごはんを食べている。
白ご飯に少し甘めに味付けされた玉子焼き、ワカメと油揚げの入った味噌汁という、昨日の晩と同じように、ザ・日本の朝ごはんと言った感じだ。
そんな朝ごはんをみんなで朝から元気な談笑を聞きながら1人の人物の様子を伺う。
朝の会話どころか先程から俯きながらモソモソと朝ごはんを食べている安見さんだ。 まだ寝足りなかったりするのだろうか? でも時刻としては7時半。 目が覚めていてもおかしくはない時間ではある。 安見さんの場合は寝ていることが多いが、さすがに朝と夜くらいの区別くらいはつくはずだ。 ではなにが原因だろうか?
「安見さん。 大丈夫?」
そう声をかけて、安見さんがゆっくりと僕の方を見る。 すると安見さんは半開きだった目が見開いて、徐々に顔の肌の色が真っ赤に染まる。 血流の流れが速くなったのかといったくらいにどんどん赤くなっていって、僕の目線を逸らすようにまた俯いてしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・わ、私は・・・な、なんて醜態を・・・・・・ し、しかも館君を目の前にして・・・・・・あ、あんな行為を・・・・・・」
小声ながらもその言葉がはっきり聞こえた。 どうやら昨日の晩の事は記憶に残っているらしい。 ならば敢えてその事には触れないでおこう。
「そういえば、如月テーマパークってアトラクションってどんなのがあるの?」
味柑ちゃんが疑問を口にした。 そういえば僕も聞いたことがあるだけで実際に行ったことって確か無かった筈だったと思う。 そんな視線を一点に浴びている僕の父さんはなにも迷うことなく説明に入る。
「如月テーマパークは大衆向けに作られた遊園地だから、子供から大人まで楽しめるアトラクションが多いよ。 それでも絶叫系がやっぱり多いかな?」
そんな感じでみんなで画像なりなんなりを見ている。 僕は楽しみは直接見ておきたい派なので、敢えて見ないことにした。
「もう、別に今見なくても、行けばいやでも見ることになるのに。」
そう言ったのは向かいに座っている音理亜さんだ。 おかかの振りかかっているご飯を食べながらその様子に呆れていた。
「すみません。 父が余計なことをしてしまいましたか?」
「いえ、お父様のせいではないですよ? ただうちの母さんも味柑も結構せっかちな性格ゆえ、ああ聞き入ってしまうんですよね。」
「音理亜さんと安見さんは違うんですか?」
「私はそれなりにゆっくりな方ですが、安見はその両方ですかね。 ゆっくりな時もあれば、せっかちな時もある。 そんな感じですね。」
「それのおかげで、起きる時間が大幅に変わったりもしますよね。」
ようやく落ち着きを取り戻した安見さんが会話に参加してくる。 向こうがキャイキャイなら、こっちはほのぼのと言ったところだろう。
「館君の家はそんなことはないですか?」
「あー、僕の家族はみんな早起きなんで。」
「羨ましい限りです。」
そうため息をつく安見さん。 やっとこれで元に戻ったといったところか。
「そろそろ出発しても良い頃だぞ。 あまりゆっくりしすぎても混んでしまうからのぉ。」
大門さんに言われて時計をみると8時10分前を差していた。 みんなも大分食べ終わっていたので、後は如月テーマパークの前に行くだけだ。
食べ終わった後に、片付けるのを手伝うと言ったら拒否されてしまったので、遠慮なく出発の準備をして、大門宅を後にしようとしたとき、玄関先で大門さんに肩を叩かれる。 ちなみにたまたま出るのが被った安見さんも一緒に、だ。
「お主らはまだ若い。 色々と仲を深めあい、己の気持ちに正直になったとき、新たな道が開けるだろう。」
そんなエールを僕と安見さんに送る大門さん。 言ってる意味は分かるが、何故それを今言うのかは分からなかった。 だけど、しっかりと心に残しておこうと、安見さんと頷いた後に、玄関から出るのだった。
「ふあぁ、ほんとに凄い人。 これ私達入れるのかな?」
開園するのは9時だというのに、その30分前にはかなり列が出来ていた。 長蛇とまでにはいってないが、それでもかなりの列は前にも後ろにもある。
これでも開園まで後3分と言ったところに差し掛かった。
「これってフリーパス買ってからが勝負なんじゃないの? 昇さん」
「そうかもね。 でも妥協なんてしないからね。 なんてったって家族での遊園地の思い出を作るためだからね。」
「私達家族のことも忘れないでよ? 昇くん。」
そんなやり取りをしていると前が進み始めた。 どうやら開園して、売り場の方に流れ始めたようだ。 それにあわせるかのように列もそちらに流れる。 さすがにここで崩れることはないが、万が一があるため、油断は出来ない。
そして10分ほど歩いて、ようやくチケット売り場に到着する。
「いらっしゃいませ。 本日はありがとうございます。」
「フリーパスを大人4枚、中高校生3枚買いたい。 いくらになるかな?」
「かしこまりました。 それでは合計で3万円となります。」
受付のお姉さんに言われて、父さんは1万円札を3枚出す。
「ありがとうございます。 丁度お預かり致しまして、こちらがフリーパスのリストバンドとなります。 どうぞ腕につけて、入園口の方へ向かってください。」
そう言われて、右腕にリストバンドをつけて入園口にいるボーイの人に見せて、中へと入る。
目の前に広がる風景。 それこそまさしく遊園地のさと呼ぶに相応しい光景だった事にまず感動をした。
もう食卓には全員揃っていて、みんなで朝ごはんを食べている。
白ご飯に少し甘めに味付けされた玉子焼き、ワカメと油揚げの入った味噌汁という、昨日の晩と同じように、ザ・日本の朝ごはんと言った感じだ。
そんな朝ごはんをみんなで朝から元気な談笑を聞きながら1人の人物の様子を伺う。
朝の会話どころか先程から俯きながらモソモソと朝ごはんを食べている安見さんだ。 まだ寝足りなかったりするのだろうか? でも時刻としては7時半。 目が覚めていてもおかしくはない時間ではある。 安見さんの場合は寝ていることが多いが、さすがに朝と夜くらいの区別くらいはつくはずだ。 ではなにが原因だろうか?
「安見さん。 大丈夫?」
そう声をかけて、安見さんがゆっくりと僕の方を見る。 すると安見さんは半開きだった目が見開いて、徐々に顔の肌の色が真っ赤に染まる。 血流の流れが速くなったのかといったくらいにどんどん赤くなっていって、僕の目線を逸らすようにまた俯いてしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・わ、私は・・・な、なんて醜態を・・・・・・ し、しかも館君を目の前にして・・・・・・あ、あんな行為を・・・・・・」
小声ながらもその言葉がはっきり聞こえた。 どうやら昨日の晩の事は記憶に残っているらしい。 ならば敢えてその事には触れないでおこう。
「そういえば、如月テーマパークってアトラクションってどんなのがあるの?」
味柑ちゃんが疑問を口にした。 そういえば僕も聞いたことがあるだけで実際に行ったことって確か無かった筈だったと思う。 そんな視線を一点に浴びている僕の父さんはなにも迷うことなく説明に入る。
「如月テーマパークは大衆向けに作られた遊園地だから、子供から大人まで楽しめるアトラクションが多いよ。 それでも絶叫系がやっぱり多いかな?」
そんな感じでみんなで画像なりなんなりを見ている。 僕は楽しみは直接見ておきたい派なので、敢えて見ないことにした。
「もう、別に今見なくても、行けばいやでも見ることになるのに。」
そう言ったのは向かいに座っている音理亜さんだ。 おかかの振りかかっているご飯を食べながらその様子に呆れていた。
「すみません。 父が余計なことをしてしまいましたか?」
「いえ、お父様のせいではないですよ? ただうちの母さんも味柑も結構せっかちな性格ゆえ、ああ聞き入ってしまうんですよね。」
「音理亜さんと安見さんは違うんですか?」
「私はそれなりにゆっくりな方ですが、安見はその両方ですかね。 ゆっくりな時もあれば、せっかちな時もある。 そんな感じですね。」
「それのおかげで、起きる時間が大幅に変わったりもしますよね。」
ようやく落ち着きを取り戻した安見さんが会話に参加してくる。 向こうがキャイキャイなら、こっちはほのぼのと言ったところだろう。
「館君の家はそんなことはないですか?」
「あー、僕の家族はみんな早起きなんで。」
「羨ましい限りです。」
そうため息をつく安見さん。 やっとこれで元に戻ったといったところか。
「そろそろ出発しても良い頃だぞ。 あまりゆっくりしすぎても混んでしまうからのぉ。」
大門さんに言われて時計をみると8時10分前を差していた。 みんなも大分食べ終わっていたので、後は如月テーマパークの前に行くだけだ。
食べ終わった後に、片付けるのを手伝うと言ったら拒否されてしまったので、遠慮なく出発の準備をして、大門宅を後にしようとしたとき、玄関先で大門さんに肩を叩かれる。 ちなみにたまたま出るのが被った安見さんも一緒に、だ。
「お主らはまだ若い。 色々と仲を深めあい、己の気持ちに正直になったとき、新たな道が開けるだろう。」
そんなエールを僕と安見さんに送る大門さん。 言ってる意味は分かるが、何故それを今言うのかは分からなかった。 だけど、しっかりと心に残しておこうと、安見さんと頷いた後に、玄関から出るのだった。
「ふあぁ、ほんとに凄い人。 これ私達入れるのかな?」
開園するのは9時だというのに、その30分前にはかなり列が出来ていた。 長蛇とまでにはいってないが、それでもかなりの列は前にも後ろにもある。
これでも開園まで後3分と言ったところに差し掛かった。
「これってフリーパス買ってからが勝負なんじゃないの? 昇さん」
「そうかもね。 でも妥協なんてしないからね。 なんてったって家族での遊園地の思い出を作るためだからね。」
「私達家族のことも忘れないでよ? 昇くん。」
そんなやり取りをしていると前が進み始めた。 どうやら開園して、売り場の方に流れ始めたようだ。 それにあわせるかのように列もそちらに流れる。 さすがにここで崩れることはないが、万が一があるため、油断は出来ない。
そして10分ほど歩いて、ようやくチケット売り場に到着する。
「いらっしゃいませ。 本日はありがとうございます。」
「フリーパスを大人4枚、中高校生3枚買いたい。 いくらになるかな?」
「かしこまりました。 それでは合計で3万円となります。」
受付のお姉さんに言われて、父さんは1万円札を3枚出す。
「ありがとうございます。 丁度お預かり致しまして、こちらがフリーパスのリストバンドとなります。 どうぞ腕につけて、入園口の方へ向かってください。」
そう言われて、右腕にリストバンドをつけて入園口にいるボーイの人に見せて、中へと入る。
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