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不思議な出会い
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「おう少年。 知り合いか?」
「え、ええ。 僕の同級生がいまして。」
「おや、これは奇遇ですね。 こんなところでお逢いできるなんて。」
「うわぁ凄い。 今日は不運と幸運を両方与えられてる感じ。」
同じ様に座っていたのは安見さんの姉妹、音理亜さんと味柑ちゃんだ。 そして・・・
「・・・君が館君かい?」
最後に振り向いたその女性、風貌や輪郭が何から何まであの三姉妹と同じ様でありながら、一番大人びている女性が僕を見る。
「なるほどね。 館と言ったとき、どこかで聞いたことがあるなって思ってたけど。 君の息子だったのか。 昇くん。」
「久しぶりだね。 曽根さん。 おっと、今は須今さんって呼んだ方がいいのかな?」
「どっちでもいいわよ。 気にしないし。」
父さんが目の前の女性と話をしている。 理解が正直追い付いていない。
「え? なに? お母さんこの人の事を知ってるの?」
耐えきれずに聞いたのは味柑ちゃんだった。 確かにここまで言わせておいて隠し通せる訳もない。 どういうことなのだろうか?
「味柑。 この人とは大学の同じサークル仲間だったのよ。」
「そうだよ。 そして彼女とは今でも連絡を取り合っているほどの仲なんだ。」
「あ! 思い出した! 昇さんとよく放課後にいた人だ!」
「そういうあなただって、大学内の移動教室の時は一緒にいたじゃない。」
なんだか大人達だけで会話が盛り上がり、僕を含めて4人はポカンとしてしまっていた。
「知りませんでした。 お母さんは昔のことはあまり語らないので。」
「姉さんが知らないなら私だって知るわけないよ。 でも偶然の産物にしては出来すぎてない?」
「そこまで計算に入れてないでしょう。 今回見つけたこの場所だって、地主さんが通らなかったら、泊まることすら出来なかったのですから。」
「そういう言い回しはどうかと思うよ? 安見さん。」
そんな大人達の会話を遠目に見ていると不意に安見さん達のお母さんの方がこちらに戻ってくる。
「初めまして。 私がこの娘達の母親の須今 天祭すいま てまりです。 昇くんの言っていたのは私の結婚する前の苗字なの。 本名は 曽根 天祭よ。」
「あっと。 館 昇の息子の館 光輝です。 よ、よろしくお願いします。」
手を取られて呆気にとられたが、すぐに挨拶を仕返す。
「いやぁしかし昇くんは一人息子になったかぁ。 私のところは三姉妹だから子育て期間の時は大変だったわよ。」
「僕は仕事ばかりであまり構ってはやれなかったけれどね。 その分陽子さんが頑張ってくれたよ。」
「大人しめの子に育っちゃったけど、その辺りは昇さんにそっくりなのよね。」
「へぇ・・・確かに昇くんに似てるところが多いわよね。 今は高校生かしら?」
「え、ええ。」
この人グイグイくるなぁ。 あんまり気を許すと食われそうな錯覚にすら陥りそうだ。
「ってことは安見と一緒か。」
「お母さん、この人だよ。 お姉のボーイフレンド。」
「味柑!」
安見さんが味柑ちゃんに慌てて言うが後の祭り。 その言葉を聞いて、再度僕を見始める天祭さん。
「ま、待ってください。 僕と安見さんはその、友達であって決して付き合っているという関係では無くてですね・・・」
「そうですよお母さん。 姉さんや味柑が勝手に言ってるだけで、私たちの間にはなにも・・・」
「ぷっ・・・ふははは! なにも2人して必死にならなくったっていいじゃないか! はぁ・・・可笑し・・・」
僕らの慌てている姿とは裏腹に天祭さんは笑いこける。 よく見ると僕の両親や給仕の人達も温かい目でみているし、大門さんもなにか大きく頷いていた。
「あんたなら安見の事を任せられる気がするわ。」
「あの、ですから僕達は・・・」
「分かってるって。 男女の関係は難しいんだ。 簡単には決めつけないって。 でも仲良くしてくれっていう想いは本当さ。」
どうやら誤解、というよりも慌てふためくことは無いようだ。 それにホッとしていると、天祭さんは僕の肩を掴んで顔を近づけてきて、そして僕の耳元まで近づき、
「安見は中学1年の時に、飼い始めて間もないマルチに左のお尻をパンツ越しに咬まれた事があって、それが痣となって残ってるんだけど、その部分を優しく揉んであげると、いい声出してくれるわよ。 私も最近はやったことないけど。」
そんな情報を耳元で囁かれる。 それを聞いた僕は顔に熱を帯びるのが、すぐに分かった。
「館君? どうかなされましたか?」
なにも声を挙げられないでいると隣の安見さんから声がかけられて、体が反射的に強張る。
「いいいいや! なんでもないよ! 大丈夫! 大丈夫だから!」
そう言って両手を左右に大きく振りながら、少し距離を取った。 あ、あんな話を聞かされて、まともに安見さんの顔が見れるだろうか? 今は少なくとも無理だった。
「皆様。 お食事の用意が出来ました。」
給仕の方が僕の両親の後ろから料理を持ってきてくれた。 それに合わせてみんな席に移動する。 その時机の近くにいた安見さんは、お座敷なので席までハイハイのように歩いていく。
そんな状態で進むので安見さんの後ろ姿、もといお尻の部分が強調されるような姿になる。 その姿を見て、僕は先程の天祭さんの情報が反復されてしまい、思わず見惚れていた。
「因みにその後は、音理亜がマルチを無理矢理引き剥がしたものだから、パンツが破けてお尻が左半分丸見えになっちゃったのよね。 安見がトラウマにならなくて良かったって思うのよね。 あれが玄関先とか、塀が無かったらって思うと、もう外にも出たくなくなっちゃうから。」
「うわっ!」
また天祭さんがそう囁いてきて、思わず距離を取ってしまった。
そんな僕の表情を見て天祭さんは舌を出す。 こ、この人、僕の母さん以上の小悪魔だ・・・
そんなことを思いながら、少し自分の中のほとぼりが冷めるまでは、円卓には入らない事にした。 だって今の状態でいったら絶対に意識してしまうから。 それはよくないと、本能的に感じていた。
「え、ええ。 僕の同級生がいまして。」
「おや、これは奇遇ですね。 こんなところでお逢いできるなんて。」
「うわぁ凄い。 今日は不運と幸運を両方与えられてる感じ。」
同じ様に座っていたのは安見さんの姉妹、音理亜さんと味柑ちゃんだ。 そして・・・
「・・・君が館君かい?」
最後に振り向いたその女性、風貌や輪郭が何から何まであの三姉妹と同じ様でありながら、一番大人びている女性が僕を見る。
「なるほどね。 館と言ったとき、どこかで聞いたことがあるなって思ってたけど。 君の息子だったのか。 昇くん。」
「久しぶりだね。 曽根さん。 おっと、今は須今さんって呼んだ方がいいのかな?」
「どっちでもいいわよ。 気にしないし。」
父さんが目の前の女性と話をしている。 理解が正直追い付いていない。
「え? なに? お母さんこの人の事を知ってるの?」
耐えきれずに聞いたのは味柑ちゃんだった。 確かにここまで言わせておいて隠し通せる訳もない。 どういうことなのだろうか?
「味柑。 この人とは大学の同じサークル仲間だったのよ。」
「そうだよ。 そして彼女とは今でも連絡を取り合っているほどの仲なんだ。」
「あ! 思い出した! 昇さんとよく放課後にいた人だ!」
「そういうあなただって、大学内の移動教室の時は一緒にいたじゃない。」
なんだか大人達だけで会話が盛り上がり、僕を含めて4人はポカンとしてしまっていた。
「知りませんでした。 お母さんは昔のことはあまり語らないので。」
「姉さんが知らないなら私だって知るわけないよ。 でも偶然の産物にしては出来すぎてない?」
「そこまで計算に入れてないでしょう。 今回見つけたこの場所だって、地主さんが通らなかったら、泊まることすら出来なかったのですから。」
「そういう言い回しはどうかと思うよ? 安見さん。」
そんな大人達の会話を遠目に見ていると不意に安見さん達のお母さんの方がこちらに戻ってくる。
「初めまして。 私がこの娘達の母親の須今 天祭すいま てまりです。 昇くんの言っていたのは私の結婚する前の苗字なの。 本名は 曽根 天祭よ。」
「あっと。 館 昇の息子の館 光輝です。 よ、よろしくお願いします。」
手を取られて呆気にとられたが、すぐに挨拶を仕返す。
「いやぁしかし昇くんは一人息子になったかぁ。 私のところは三姉妹だから子育て期間の時は大変だったわよ。」
「僕は仕事ばかりであまり構ってはやれなかったけれどね。 その分陽子さんが頑張ってくれたよ。」
「大人しめの子に育っちゃったけど、その辺りは昇さんにそっくりなのよね。」
「へぇ・・・確かに昇くんに似てるところが多いわよね。 今は高校生かしら?」
「え、ええ。」
この人グイグイくるなぁ。 あんまり気を許すと食われそうな錯覚にすら陥りそうだ。
「ってことは安見と一緒か。」
「お母さん、この人だよ。 お姉のボーイフレンド。」
「味柑!」
安見さんが味柑ちゃんに慌てて言うが後の祭り。 その言葉を聞いて、再度僕を見始める天祭さん。
「ま、待ってください。 僕と安見さんはその、友達であって決して付き合っているという関係では無くてですね・・・」
「そうですよお母さん。 姉さんや味柑が勝手に言ってるだけで、私たちの間にはなにも・・・」
「ぷっ・・・ふははは! なにも2人して必死にならなくったっていいじゃないか! はぁ・・・可笑し・・・」
僕らの慌てている姿とは裏腹に天祭さんは笑いこける。 よく見ると僕の両親や給仕の人達も温かい目でみているし、大門さんもなにか大きく頷いていた。
「あんたなら安見の事を任せられる気がするわ。」
「あの、ですから僕達は・・・」
「分かってるって。 男女の関係は難しいんだ。 簡単には決めつけないって。 でも仲良くしてくれっていう想いは本当さ。」
どうやら誤解、というよりも慌てふためくことは無いようだ。 それにホッとしていると、天祭さんは僕の肩を掴んで顔を近づけてきて、そして僕の耳元まで近づき、
「安見は中学1年の時に、飼い始めて間もないマルチに左のお尻をパンツ越しに咬まれた事があって、それが痣となって残ってるんだけど、その部分を優しく揉んであげると、いい声出してくれるわよ。 私も最近はやったことないけど。」
そんな情報を耳元で囁かれる。 それを聞いた僕は顔に熱を帯びるのが、すぐに分かった。
「館君? どうかなされましたか?」
なにも声を挙げられないでいると隣の安見さんから声がかけられて、体が反射的に強張る。
「いいいいや! なんでもないよ! 大丈夫! 大丈夫だから!」
そう言って両手を左右に大きく振りながら、少し距離を取った。 あ、あんな話を聞かされて、まともに安見さんの顔が見れるだろうか? 今は少なくとも無理だった。
「皆様。 お食事の用意が出来ました。」
給仕の方が僕の両親の後ろから料理を持ってきてくれた。 それに合わせてみんな席に移動する。 その時机の近くにいた安見さんは、お座敷なので席までハイハイのように歩いていく。
そんな状態で進むので安見さんの後ろ姿、もといお尻の部分が強調されるような姿になる。 その姿を見て、僕は先程の天祭さんの情報が反復されてしまい、思わず見惚れていた。
「因みにその後は、音理亜がマルチを無理矢理引き剥がしたものだから、パンツが破けてお尻が左半分丸見えになっちゃったのよね。 安見がトラウマにならなくて良かったって思うのよね。 あれが玄関先とか、塀が無かったらって思うと、もう外にも出たくなくなっちゃうから。」
「うわっ!」
また天祭さんがそう囁いてきて、思わず距離を取ってしまった。
そんな僕の表情を見て天祭さんは舌を出す。 こ、この人、僕の母さん以上の小悪魔だ・・・
そんなことを思いながら、少し自分の中のほとぼりが冷めるまでは、円卓には入らない事にした。 だって今の状態でいったら絶対に意識してしまうから。 それはよくないと、本能的に感じていた。
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