38 / 166
ファッションショー 男子編
しおりを挟む
デパートの3階、4階はファッション関係になっている。 とはいえ僕自身はあまりおしゃれという感覚がないので、着てもしょうがないんじゃないかな? とは思っているのだけれど、そこはみんなの意見に合わせて見に行くことにした。
3階はメンズ関係の服が目白押しだったが、
「やっぱりファッションに力を入れると高い買い物になってしまうよな。 見てくれ。 ジーンズだけでこの値段だ。 ファッションについて文句を言うつもりはないのだが、なんというかここまでして服を着たいのかと考えられてしまう。」
「男も女も自分を磨きたいんだよ。 例えそれが表面上だとしてもさ。」
とてもじゃないが僕らの感性ではそうまでして目立ちたいのかよく分からないのである。 着れればなんでもいいという人間なだけに余計にそう感じてしまうのかもしれない。
「じゃあさじゃあさ! 折角だしみんなコーディネートしようよ!」
「そうですね。 みなさん容姿がいいので、どんな服を着ても似合いますよ。」
「ここは私たち、女子の感性からあなた達をコーディネートしてあげましょう。」
「し、試着は自由みたいだから、やってみるのも、いいかも、よ?」
女子達から総出で言われてしまったので、やるしかないと思った。 確かに買うわけではないにしても、着るだけなら全然問題ないわけで。
「でもコーディネートするっていったって、どうするのさ? 順番にやっていくの?」
「そうね。 私たちで一人一人の容姿とか雰囲気とかを見ながら判断していくわ。 なにを選んできても、文句を言わずに着る。 これが条件よ。」
「了解。 それじゃ、俺たちはここで待ってるから。」
そう小舞君が言い切る前にみんな散り散りになっていった。 早っ!
「どんなコーディネートされると思う?」
「彼女たちの感性でもあるけれど、私たちの性格なら何やらを考慮しているのなら大丈夫じゃないかな?」
「というよりもそんな変な服置いてないって。 こういうお店って。」
そんな雑談を繰り返して、待つこと5分。
「さてと、まずは小舞君からよ!」
みんなが持ってきた衣装を小舞君に渡す。 貴金属が多くてやたらゴツそうなのは気のせいだろうか?
「はいはい、着てくる着てくる。 その間に坂内君の服も見繕ってくるから、着替え終わったら外に出ててよ?」
そう言い残してまた散り散りになっていく。
「しょうがない。 着ろと言われて着ないままって訳にはいかないよな。 ちょっと行ってくるわ。」
その言葉通り小舞君が試着室の中に入っていった。 そしてまた時間が経ってみんなが戻ってくる。 今度は坂内君にみんな渡していく。
「さてと、どう? 着れた? 小舞君?」
「ああ、今カーテン開けるわ。」
そう言って試着室のカーテンを開けると
黒の細めのジーンズにライダーベルトのような形をしたベルト、黒のタンクトップに羽織られた革ジャンはかなりの光沢を秘めている。 なによりの極めつけがサングラスだった。 こ、これは・・・・・・
「名付けて「ちょい悪スタイル」! 小舞君の性格ならやっぱりこれは似合いそうだと思ったのよね!」
「なんやと! こらアマ! いてこますぞワレェ!」
小舞君のその台詞に女子たちは感銘を受けていた。
「強気な性格だからこそ、こういうのが映えるんですよね。」
「なんだかんだノリノリですし。」
どうやらそれなりに好評価のようだ。 小舞君が試着室を降りて、今度は坂内君に替わる。 そうこうしているうちに、女子たちはまた物色しに行ったようだ。 まあ、これくらいのコーディネートなら僕でも楽しめそうだ。
「どう? 小舞君。 感想は。」
「ふむ、悪くないな。 俺のそれとは少し離れている気もするが、あれだけ女子が喜んでくれるなら。 これもありかな?」
なにかに目覚めそうな一言を言っている小舞君。 これを脱ぎ終わった後に戻ってこれるのだろうか?
「さてと、坂内君もそろそろ完成するかな?」
またいつの間にか戻ってきた女性陣。 手に持っている服やらを僕に渡す。 どうやら僕のコーディネートも終わっているようだ。
そんな話をしていたら試着室のカーテンが開けられる。
こちらは紺色のボトムスに同じく紺色で描かれたボーダーTシャツ、そして少し大きめの濃い茶色のカーディガンというコーデになっていた。
「これは「セットアップスタイル」って言うんだって。」
「いいですねぇ。 大人の男性のようです。」
「私自身もこういうのを着るのは初めてなんだけど、な、なんだかむず痒いね。」
珍しく坂内君も照れ始めている。 でも似合っているのは事実だし、自信を持ってもいいと思う。
「じゃあ最後は館君だね。 さてさてどうなることやら。」
濱井さんの目が少し怖かったが、持ってきてくれたのだから着替えないわけにはいかない。 というわけで試着室に入る。
持たされた服を見てみるとスーツスタイルが多く見られた。 上から羽織るスーツに青のカッターシャツ、スーツ用のズボン、そしてネックレスというものだ。 実際に着てみると分かるけれど、カッターシャツはサイズが一回り大きいし、そのせいでシャツの中に入りきらない。 そして派手はないにしろネックレスってどうなんだろうか?
そんなことを思いつつも着替え終わったので、カーテンを開ける。
「おお・・・って、なんかちょっと違うんだけど・・・」
なんだが濱井さんが不服そうだ。 一体なにがいけなかったのだろうか?
「シャツは出して、ほら襟も出す。」
「え? ちょっと!?」
「そして最後に・・・」
そう言って濱井さんはカッターシャツの一番上のボタンを外した。 僕の肩甲骨部分が露になる。
「ふっふーん。 館君のスタイルは「ホストスタイル」なのだよ! これで女子はイチコロだよ!」
いや、イチコロかどうかはともかく、こんなスタイルはどうなんだろうか? そう思いつつも女性陣の方を見ると、安見さんが品定めするように、円藤さんが惚けたように見ていた。
「なかなかに素晴らしい出来映えですね。 これで家事も出来るんですから、もう捕らえどころがないですよ。」
「カッコいい・・・」
2人が満足なら・・・まあ、それでいいのかな? こうして男子のファッションショーは幕を閉じた。
あ、ちゃんと着替え直して、返しておきましたよ?
3階はメンズ関係の服が目白押しだったが、
「やっぱりファッションに力を入れると高い買い物になってしまうよな。 見てくれ。 ジーンズだけでこの値段だ。 ファッションについて文句を言うつもりはないのだが、なんというかここまでして服を着たいのかと考えられてしまう。」
「男も女も自分を磨きたいんだよ。 例えそれが表面上だとしてもさ。」
とてもじゃないが僕らの感性ではそうまでして目立ちたいのかよく分からないのである。 着れればなんでもいいという人間なだけに余計にそう感じてしまうのかもしれない。
「じゃあさじゃあさ! 折角だしみんなコーディネートしようよ!」
「そうですね。 みなさん容姿がいいので、どんな服を着ても似合いますよ。」
「ここは私たち、女子の感性からあなた達をコーディネートしてあげましょう。」
「し、試着は自由みたいだから、やってみるのも、いいかも、よ?」
女子達から総出で言われてしまったので、やるしかないと思った。 確かに買うわけではないにしても、着るだけなら全然問題ないわけで。
「でもコーディネートするっていったって、どうするのさ? 順番にやっていくの?」
「そうね。 私たちで一人一人の容姿とか雰囲気とかを見ながら判断していくわ。 なにを選んできても、文句を言わずに着る。 これが条件よ。」
「了解。 それじゃ、俺たちはここで待ってるから。」
そう小舞君が言い切る前にみんな散り散りになっていった。 早っ!
「どんなコーディネートされると思う?」
「彼女たちの感性でもあるけれど、私たちの性格なら何やらを考慮しているのなら大丈夫じゃないかな?」
「というよりもそんな変な服置いてないって。 こういうお店って。」
そんな雑談を繰り返して、待つこと5分。
「さてと、まずは小舞君からよ!」
みんなが持ってきた衣装を小舞君に渡す。 貴金属が多くてやたらゴツそうなのは気のせいだろうか?
「はいはい、着てくる着てくる。 その間に坂内君の服も見繕ってくるから、着替え終わったら外に出ててよ?」
そう言い残してまた散り散りになっていく。
「しょうがない。 着ろと言われて着ないままって訳にはいかないよな。 ちょっと行ってくるわ。」
その言葉通り小舞君が試着室の中に入っていった。 そしてまた時間が経ってみんなが戻ってくる。 今度は坂内君にみんな渡していく。
「さてと、どう? 着れた? 小舞君?」
「ああ、今カーテン開けるわ。」
そう言って試着室のカーテンを開けると
黒の細めのジーンズにライダーベルトのような形をしたベルト、黒のタンクトップに羽織られた革ジャンはかなりの光沢を秘めている。 なによりの極めつけがサングラスだった。 こ、これは・・・・・・
「名付けて「ちょい悪スタイル」! 小舞君の性格ならやっぱりこれは似合いそうだと思ったのよね!」
「なんやと! こらアマ! いてこますぞワレェ!」
小舞君のその台詞に女子たちは感銘を受けていた。
「強気な性格だからこそ、こういうのが映えるんですよね。」
「なんだかんだノリノリですし。」
どうやらそれなりに好評価のようだ。 小舞君が試着室を降りて、今度は坂内君に替わる。 そうこうしているうちに、女子たちはまた物色しに行ったようだ。 まあ、これくらいのコーディネートなら僕でも楽しめそうだ。
「どう? 小舞君。 感想は。」
「ふむ、悪くないな。 俺のそれとは少し離れている気もするが、あれだけ女子が喜んでくれるなら。 これもありかな?」
なにかに目覚めそうな一言を言っている小舞君。 これを脱ぎ終わった後に戻ってこれるのだろうか?
「さてと、坂内君もそろそろ完成するかな?」
またいつの間にか戻ってきた女性陣。 手に持っている服やらを僕に渡す。 どうやら僕のコーディネートも終わっているようだ。
そんな話をしていたら試着室のカーテンが開けられる。
こちらは紺色のボトムスに同じく紺色で描かれたボーダーTシャツ、そして少し大きめの濃い茶色のカーディガンというコーデになっていた。
「これは「セットアップスタイル」って言うんだって。」
「いいですねぇ。 大人の男性のようです。」
「私自身もこういうのを着るのは初めてなんだけど、な、なんだかむず痒いね。」
珍しく坂内君も照れ始めている。 でも似合っているのは事実だし、自信を持ってもいいと思う。
「じゃあ最後は館君だね。 さてさてどうなることやら。」
濱井さんの目が少し怖かったが、持ってきてくれたのだから着替えないわけにはいかない。 というわけで試着室に入る。
持たされた服を見てみるとスーツスタイルが多く見られた。 上から羽織るスーツに青のカッターシャツ、スーツ用のズボン、そしてネックレスというものだ。 実際に着てみると分かるけれど、カッターシャツはサイズが一回り大きいし、そのせいでシャツの中に入りきらない。 そして派手はないにしろネックレスってどうなんだろうか?
そんなことを思いつつも着替え終わったので、カーテンを開ける。
「おお・・・って、なんかちょっと違うんだけど・・・」
なんだが濱井さんが不服そうだ。 一体なにがいけなかったのだろうか?
「シャツは出して、ほら襟も出す。」
「え? ちょっと!?」
「そして最後に・・・」
そう言って濱井さんはカッターシャツの一番上のボタンを外した。 僕の肩甲骨部分が露になる。
「ふっふーん。 館君のスタイルは「ホストスタイル」なのだよ! これで女子はイチコロだよ!」
いや、イチコロかどうかはともかく、こんなスタイルはどうなんだろうか? そう思いつつも女性陣の方を見ると、安見さんが品定めするように、円藤さんが惚けたように見ていた。
「なかなかに素晴らしい出来映えですね。 これで家事も出来るんですから、もう捕らえどころがないですよ。」
「カッコいい・・・」
2人が満足なら・・・まあ、それでいいのかな? こうして男子のファッションショーは幕を閉じた。
あ、ちゃんと着替え直して、返しておきましたよ?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる