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メッセージでのやり取り
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家に帰ってきて、姉妹と共同している部屋に自分の荷物を置いて、自分のスマホの中に入れている「NILE」を見る。 そして新しく友人登録された「館 光輝」の文字を見る。 アカウントに使われているのは猫のぬいぐるみだった。
意外と可愛い一面に笑みが零れてしまう。
高校に入って初めてあったのが彼だった。 私は校門近くの桜の木を見ていたら眠気が起きて、そのままその桜の木に寄りかかって眠っていました。 それを起こしてくれたのが彼でした。
私は体・質・上・すぐに眠たくなってしまって、すぐに瞼が落ちてしまいます。 昔はそんなこともあって友人関係に恵まれなかったこともありました。
ですが彼は今までの誰よりも私の事を見てくれていて、恥ずかしながら彼に色々と任せている部分もありました。 彼からしてみれば面倒極まりなきような私なのに片時も目を離さないかのように接してくれます。
今日彼の手に触れられたとき、一瞬だけ鼓動が高鳴ったのも感じた。 すぐに離れてしまったのは私がその時に驚いてしまったからだ。 出来ることならもう少し触れていたかった。
・・・・・・何故だろう、私としたことが柄にもない事を考えている気がする。 彼の事を考えるだけで胸が温かく感じる。 それは紛れもない事実になっていた。
「お姉。 夕飯出来たって。」
妹の味柑の声に、私は見ていたスマホを自分の机に置いて、そのまま下に降りることにした。 スマホを持ちながらというのは行儀が悪いので、こういう場合はそもそも手元に持たないようにしている。 今日の夕飯はなんでしょうか。
夕飯を食べ終えて、明日のお弁当の下ごしらえを済ませて、自分の部屋に戻ると、スマホのランプがチカチカしていた。 なんだろうと思いスマホを起動させるとそこには
『NILEにメッセージが届いております。』
の文字が表記されていた。 誰からだろうと確認してみると、
『こんばんは安見さん。 館 光輝です。
ちゃんとメッセージは届いておりますでしょうか?
NILE自体をやるのは初めてではないですが、やっぱり初めての人だと不安になりますね(笑)
もし届いておりましたら連絡をお願いします。』
その定型文のようなメッセージが館君から届いておりました。 そのメッセージにクスリとしながらも、届いた時刻を見ると、今から30分ほど前、つまり丁度
夕飯を食べている間に連絡が来たようです。
既読はしたのでこちらからもメッセージをお返しするとします。 私自身はあまりタイピングが早くはないので、ちょっと返信が遅くなってしますが、そこは館君も分かってくれる事でしょう。
『こんばんは館君。 夕飯を食べていたのですぐに返信できなくてごめんなさい。 連絡を取った理由はゴールデンウィークの予定のことですか?』
我ながら事務的だなと感じてしまったが今の自分に館君がメッセージを送ってくる理由が見当たらなかったので、そのように送信しました。
姉さんや味柑はお風呂に入ったり、リビングでテレビを見たりして夜の時間を過ごしています。 なので今は私一人で部屋にいるということになります。
するとものの数分もしないうちに、館君から連絡が入りました。
『届いたようでよかったです。
ゴールデンウィークの事もそうですが、もらったお菓子の感想を伝えたくて。』
帰り際に渡した紙袋の中身の事を言っているのだろう。 確かにこうすればすぐに感想を伝えることが出来る。 便利な世の中になったものである。
『そうだったのですか。 それで、味の方はどうでしたか? お口に合いましたでしょうか?』
そう返信をする。 今日作ったのはトリュフチョコレートで綺麗に丸型にならなかったが、果たしてどうだっただろうか?
そわそわしながらスマホを見ていると、「ヴー、ヴー」とバイブレーションが鳴った。
『とても美味しかったです(≧∇≦)b
作ってくれたのはトリュフかな? 形はちょっと楕円形になっていたけれど、むしろ食べやすかったです。
ビターな味わいだったのが、尚良かったです。
母も美味しいと絶賛していましたよ(*ゝω・*)』
唐突な顔文字に思わず笑みが零れます。 館君は甘過ぎない方がお菓子としては好みなのもこれで分かりました。 これで次にお菓子を渡すときも安心して作れます。
『それは良かったです。 喜んで頂けて冥利につきます。』
言葉の使い方は間違っていると思いますがそれもまた一興でしょう。 送信をすると、姉さんと味柑が部屋に戻ってきました。
「ふぅ、お先にお風呂貰ったわよ。」
「あれ? お姉が椅子に座ってるなんて珍しい。 いつもはすぐにベッドで横になってるのに。」
人をぐうたらみたいに言わないでほしい。 私はやるべき事をやった後に睡眠準備をしているに過ぎない。
そんな風に味柑の事を睨んでいると、またスマホが鳴る。 どうやら返信が来たようだ。 スマホの「NILE」を開く。
『お礼としてなにか実用的に使えるものを手作りして渡したいんだけれど、リクエストとかある?』
そこまでしてもらえるとは思っていなかったのですが、ここは真剣に考えてから返信しましょう。 とはいえなにがいいでしょうか? 欲しいもの・・・欲しいもの・・・あ!
『それなら館君が持って来ているお弁当箱を入れる袋がいいです。 同じでもあれなので色違いがいいです。』
そう返信を返す。 いつもは布を包んで鞄のなかに入れているので崩れないか不安だったのですが、これで安心してお弁当を持っていけます。
その様子を後ろから見ていたのか、姉さんと味柑が興味深く見ていました。
「今の相手って館さんだよね? なにお姉。 館さんとそういう関係なの?」
「味柑。 余計なことを言ってはいけませんよ。 男友達の一人や二人、いてもおかしくはないのですから。」
「えー? お姉だよ? 去年までそんなこと一切無かったのに、急にそんな風になったら何かあったかって思うじゃん?」
「心境の変化なんて誰でもあるじゃない。 それが安見はこのような形で現れたということでしょう。」
なにやら後ろから声がして、飛び火がこれ以上来ないように、自分の寝巻きとスマホを持ってそそくさと部屋を出て、お風呂に入ろうかと思ったときに再度スマホが鳴った。 内容を確認すると
『分かりました。 完成次第直接渡すから少しだけ待っていて。』
その館君の心意気に、がんばり屋なのだと思いながら脱衣所に入りました。
意外と可愛い一面に笑みが零れてしまう。
高校に入って初めてあったのが彼だった。 私は校門近くの桜の木を見ていたら眠気が起きて、そのままその桜の木に寄りかかって眠っていました。 それを起こしてくれたのが彼でした。
私は体・質・上・すぐに眠たくなってしまって、すぐに瞼が落ちてしまいます。 昔はそんなこともあって友人関係に恵まれなかったこともありました。
ですが彼は今までの誰よりも私の事を見てくれていて、恥ずかしながら彼に色々と任せている部分もありました。 彼からしてみれば面倒極まりなきような私なのに片時も目を離さないかのように接してくれます。
今日彼の手に触れられたとき、一瞬だけ鼓動が高鳴ったのも感じた。 すぐに離れてしまったのは私がその時に驚いてしまったからだ。 出来ることならもう少し触れていたかった。
・・・・・・何故だろう、私としたことが柄にもない事を考えている気がする。 彼の事を考えるだけで胸が温かく感じる。 それは紛れもない事実になっていた。
「お姉。 夕飯出来たって。」
妹の味柑の声に、私は見ていたスマホを自分の机に置いて、そのまま下に降りることにした。 スマホを持ちながらというのは行儀が悪いので、こういう場合はそもそも手元に持たないようにしている。 今日の夕飯はなんでしょうか。
夕飯を食べ終えて、明日のお弁当の下ごしらえを済ませて、自分の部屋に戻ると、スマホのランプがチカチカしていた。 なんだろうと思いスマホを起動させるとそこには
『NILEにメッセージが届いております。』
の文字が表記されていた。 誰からだろうと確認してみると、
『こんばんは安見さん。 館 光輝です。
ちゃんとメッセージは届いておりますでしょうか?
NILE自体をやるのは初めてではないですが、やっぱり初めての人だと不安になりますね(笑)
もし届いておりましたら連絡をお願いします。』
その定型文のようなメッセージが館君から届いておりました。 そのメッセージにクスリとしながらも、届いた時刻を見ると、今から30分ほど前、つまり丁度
夕飯を食べている間に連絡が来たようです。
既読はしたのでこちらからもメッセージをお返しするとします。 私自身はあまりタイピングが早くはないので、ちょっと返信が遅くなってしますが、そこは館君も分かってくれる事でしょう。
『こんばんは館君。 夕飯を食べていたのですぐに返信できなくてごめんなさい。 連絡を取った理由はゴールデンウィークの予定のことですか?』
我ながら事務的だなと感じてしまったが今の自分に館君がメッセージを送ってくる理由が見当たらなかったので、そのように送信しました。
姉さんや味柑はお風呂に入ったり、リビングでテレビを見たりして夜の時間を過ごしています。 なので今は私一人で部屋にいるということになります。
するとものの数分もしないうちに、館君から連絡が入りました。
『届いたようでよかったです。
ゴールデンウィークの事もそうですが、もらったお菓子の感想を伝えたくて。』
帰り際に渡した紙袋の中身の事を言っているのだろう。 確かにこうすればすぐに感想を伝えることが出来る。 便利な世の中になったものである。
『そうだったのですか。 それで、味の方はどうでしたか? お口に合いましたでしょうか?』
そう返信をする。 今日作ったのはトリュフチョコレートで綺麗に丸型にならなかったが、果たしてどうだっただろうか?
そわそわしながらスマホを見ていると、「ヴー、ヴー」とバイブレーションが鳴った。
『とても美味しかったです(≧∇≦)b
作ってくれたのはトリュフかな? 形はちょっと楕円形になっていたけれど、むしろ食べやすかったです。
ビターな味わいだったのが、尚良かったです。
母も美味しいと絶賛していましたよ(*ゝω・*)』
唐突な顔文字に思わず笑みが零れます。 館君は甘過ぎない方がお菓子としては好みなのもこれで分かりました。 これで次にお菓子を渡すときも安心して作れます。
『それは良かったです。 喜んで頂けて冥利につきます。』
言葉の使い方は間違っていると思いますがそれもまた一興でしょう。 送信をすると、姉さんと味柑が部屋に戻ってきました。
「ふぅ、お先にお風呂貰ったわよ。」
「あれ? お姉が椅子に座ってるなんて珍しい。 いつもはすぐにベッドで横になってるのに。」
人をぐうたらみたいに言わないでほしい。 私はやるべき事をやった後に睡眠準備をしているに過ぎない。
そんな風に味柑の事を睨んでいると、またスマホが鳴る。 どうやら返信が来たようだ。 スマホの「NILE」を開く。
『お礼としてなにか実用的に使えるものを手作りして渡したいんだけれど、リクエストとかある?』
そこまでしてもらえるとは思っていなかったのですが、ここは真剣に考えてから返信しましょう。 とはいえなにがいいでしょうか? 欲しいもの・・・欲しいもの・・・あ!
『それなら館君が持って来ているお弁当箱を入れる袋がいいです。 同じでもあれなので色違いがいいです。』
そう返信を返す。 いつもは布を包んで鞄のなかに入れているので崩れないか不安だったのですが、これで安心してお弁当を持っていけます。
その様子を後ろから見ていたのか、姉さんと味柑が興味深く見ていました。
「今の相手って館さんだよね? なにお姉。 館さんとそういう関係なの?」
「味柑。 余計なことを言ってはいけませんよ。 男友達の一人や二人、いてもおかしくはないのですから。」
「えー? お姉だよ? 去年までそんなこと一切無かったのに、急にそんな風になったら何かあったかって思うじゃん?」
「心境の変化なんて誰でもあるじゃない。 それが安見はこのような形で現れたということでしょう。」
なにやら後ろから声がして、飛び火がこれ以上来ないように、自分の寝巻きとスマホを持ってそそくさと部屋を出て、お風呂に入ろうかと思ったときに再度スマホが鳴った。 内容を確認すると
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