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★80スープラ 現る
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綾乃は無性に運転がしたくなり深夜2時頃、32の運転席にいた。
そしていつものように横浜ベイブリッジを渡り、湾岸線を走っていると暫くして背後から接近してくるマフラー音に気が付いた。
綾乃がバックミラーやサイドミラーを覗きこむとそれは80スープラ(JZA80型)(通称ハチマルスープラ)だった。
以前の綾乃ならきっと近くのインターで降りて姿を消していたことだろう。
しかしこの日の綾乃は違っていた。
インターを降りずに綾乃はアクセルを踏み込んでいた。
しかし80スープラも負けてはいなかった。
ドルフィンに追い付く勢いで加速していた。
実はこの時、80スープラのドライバーの心の中では様々な思いが駆け巡っていた。
いつしか湾岸では綾乃が最速と呼ばれるようになってはいたのだが綾乃が現れるまで同じように最速と呼ばれていた者がいた。
だが事故に巻き込まれ、わずか25歳で亡くなっていた。
名前は穂の花(ほのか)。
その事故は高速道路での出来事だった。
穂の花は行きつけのチューニングショップの帰り道にお気に入りの音楽をBGMにして、いつものように窓を少し開けて愛車のポテンシャル、マフラー音などを聞きながらハンドルを握っていた。
しかし途中から渋滞にはまってしまう。
穂の花も渋滞を見兼ねてハザードランプを暫くの間、点灯させていた。
前方に走るセダンは家族連れらしく後部座席には小学生らしき男の子と女の子が乗車していたのだが後ろを振り返っては穂の花に向かって無邪気に手を振っていた。
穂の花は子供好きという事もあり微笑みながらその子供たちに手を振り返していた。
だがそのほのぼのとした光景は一瞬として地獄に変わる。
あおり運転の車から逃げるかのように猛スピードで突っ走ってきた車に衝突されたのだ。
衝突をされたその瞬間、大きな爆音と共に穂の花の愛車は中央分離帯に激突をして 大破寸前になった。
一瞬の出来事だったとはいえ、 これは言うまでもなく前方に走っていた家族を守る為に 穂の花が犠牲になった事故でもある。
何故なら穂の花はこの時、最後尾だったが背後の光景に気付いた瞬間、咄嗟の判断でギアチェンジをして
前方のセダンの車からバックをして更に車間距離を置いていたからだ。
「このままではあの車まで巻き添えになってしまう」
穂の花が予想した通りあおられた車は猛スピードで激突してきた。
純粋に車が好きな走り屋は飲酒運転にしろ、そしてあおり運転などけしてしない。
この時、あおって暴走していた車はチューニングカーだったのだが車高もそれなりに低く、チューニングがしてある車であればあるほどマナー違反ばかりする、タチの悪いスポーツカー乗りの人達と同じように偏見な目で見られてしまう時もあるが、この80スープラのドライバーの心の中にもしっかりと走り屋としてのポリシーは持っていた。
あれは本当の、本物の走り屋じゃない。ただの暴走なのだと。
一見、矛盾しているようにも思えるが飲酒運転やあおり運転による事故のニュースが耳に入る度に心を痛めていた。
穂の花は仲間とよく一緒に走る時も多かったのだが80スープラのドライバー雅也(まさや30歳)は仲間であり友達だった。
雅也からしてみれば穂の花もまたR32が愛車であり 色もブルー、女性でありながら走り屋たちの間では湾岸最速の走り屋として伝説になっていた1人でもあっただけにドルフィンが気になる存在の1人となっていた。
雅也は過去を振り返りながら暫くの間ドルフィンを追い掛けていたが 途中から段々とスピードを落としてドルフィンから離れていった。
雅也はこの時、ドルフィンの走りを背後から見ていただけにすぎない。
綾乃はそれに気付くとアクセルから足を離していきスピードを落として次のインターで降りていった。
そしていつものように横浜ベイブリッジを渡り、湾岸線を走っていると暫くして背後から接近してくるマフラー音に気が付いた。
綾乃がバックミラーやサイドミラーを覗きこむとそれは80スープラ(JZA80型)(通称ハチマルスープラ)だった。
以前の綾乃ならきっと近くのインターで降りて姿を消していたことだろう。
しかしこの日の綾乃は違っていた。
インターを降りずに綾乃はアクセルを踏み込んでいた。
しかし80スープラも負けてはいなかった。
ドルフィンに追い付く勢いで加速していた。
実はこの時、80スープラのドライバーの心の中では様々な思いが駆け巡っていた。
いつしか湾岸では綾乃が最速と呼ばれるようになってはいたのだが綾乃が現れるまで同じように最速と呼ばれていた者がいた。
だが事故に巻き込まれ、わずか25歳で亡くなっていた。
名前は穂の花(ほのか)。
その事故は高速道路での出来事だった。
穂の花は行きつけのチューニングショップの帰り道にお気に入りの音楽をBGMにして、いつものように窓を少し開けて愛車のポテンシャル、マフラー音などを聞きながらハンドルを握っていた。
しかし途中から渋滞にはまってしまう。
穂の花も渋滞を見兼ねてハザードランプを暫くの間、点灯させていた。
前方に走るセダンは家族連れらしく後部座席には小学生らしき男の子と女の子が乗車していたのだが後ろを振り返っては穂の花に向かって無邪気に手を振っていた。
穂の花は子供好きという事もあり微笑みながらその子供たちに手を振り返していた。
だがそのほのぼのとした光景は一瞬として地獄に変わる。
あおり運転の車から逃げるかのように猛スピードで突っ走ってきた車に衝突されたのだ。
衝突をされたその瞬間、大きな爆音と共に穂の花の愛車は中央分離帯に激突をして 大破寸前になった。
一瞬の出来事だったとはいえ、 これは言うまでもなく前方に走っていた家族を守る為に 穂の花が犠牲になった事故でもある。
何故なら穂の花はこの時、最後尾だったが背後の光景に気付いた瞬間、咄嗟の判断でギアチェンジをして
前方のセダンの車からバックをして更に車間距離を置いていたからだ。
「このままではあの車まで巻き添えになってしまう」
穂の花が予想した通りあおられた車は猛スピードで激突してきた。
純粋に車が好きな走り屋は飲酒運転にしろ、そしてあおり運転などけしてしない。
この時、あおって暴走していた車はチューニングカーだったのだが車高もそれなりに低く、チューニングがしてある車であればあるほどマナー違反ばかりする、タチの悪いスポーツカー乗りの人達と同じように偏見な目で見られてしまう時もあるが、この80スープラのドライバーの心の中にもしっかりと走り屋としてのポリシーは持っていた。
あれは本当の、本物の走り屋じゃない。ただの暴走なのだと。
一見、矛盾しているようにも思えるが飲酒運転やあおり運転による事故のニュースが耳に入る度に心を痛めていた。
穂の花は仲間とよく一緒に走る時も多かったのだが80スープラのドライバー雅也(まさや30歳)は仲間であり友達だった。
雅也からしてみれば穂の花もまたR32が愛車であり 色もブルー、女性でありながら走り屋たちの間では湾岸最速の走り屋として伝説になっていた1人でもあっただけにドルフィンが気になる存在の1人となっていた。
雅也は過去を振り返りながら暫くの間ドルフィンを追い掛けていたが 途中から段々とスピードを落としてドルフィンから離れていった。
雅也はこの時、ドルフィンの走りを背後から見ていただけにすぎない。
綾乃はそれに気付くとアクセルから足を離していきスピードを落として次のインターで降りていった。
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