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696、ベランダでひと眠りして 響side
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…、寝ちゃったってた
空はオレンジ色になっている。
もうすぐ暗くなる合図だ…部屋に戻らないと、
軋む体を動かし立とうとすると、目の前が暗くなり頭が揺れる。
立っていられなくなり、痛みを覚悟して体を強張らせるが痛みは来ずゆっくり目を開けると斗真に抱きしめられ浮ていることに気づいた。
「間に合った、大丈夫?体痛くない?」
「…コクリ、」
なぜか心臓がバクバクして少し息苦しい。
「部屋戻ろうか、」
「ん、」
どのくらい寝てたんだろう。
結構寝てたのかな、頭と胸のモヤモヤが晴れている。
この前は、ベランダで寝ようとしたら斗真に止められたのに今回は止められなかった。
寝てたの気づかれなかったのかな。
「水飲むか?」
小林が水が入ったコップを机に置いた。
そうだ小林もいたんだった。
…喉は乾いてるけど水は飲みたくない。
「ゴクッ、何も入ってないよ。」
斗真が一口飲んでくれた。
それでも…警戒が解けずコップに手が伸びなかった。
諦めたのかコップを机に置き、キッチンへと向かった。
「ペットボトルの水ならどう?開いてないから絶対何も入ってないよ。」
斗真は諦めていなかった。
開いてないから何も入っていないは信じられない。
奏が前に客から貰った袋に入った飴を食べて苦しんでいるのを見たことがある。
「難しいか…、飲めそうだったら飲んでね。」
斗真の言葉を無視して床を見つめる。
ゆっくりと時間が過ぎ、斗真と小林はテレビを見ながら話している。
それをぼーっと眺めていた。
テレビには何か難しい話をするおじさんたちが映っている。
何の話をしてるんだろう。
奏はこういうの分かるのかな、
奏は文字の読み書きができるから、テレビに書いてる文字も読めるのかな、
俺は数個読める文字はあるけど書けないし…使えない。
俺は…
「…、響、響、、」
「ッ、!」
斗真が顔を覗き込んでいた。
「どした?やっぱしんどいか?」
「ぇ、ぁ、べつに…しんどくない。」
「横になっててもいいよ。クッキー持ってこようか?」
「くっきー?」
「クマのぬいぐるみ、ちょっと待ってて」
そういえばそんなの持ってたな、
斗真が寝室に行ってしまいまた俯く。
「響、嫌だとは思うけど少しだけ触ってもいいか?」
「…?、」
小林が近づいてきた、
やっぱりこいつはそういう目的か、
…別にいいか、元々俺はそれ要員だし、
「ん、」
「ありがとう、痛いことはしないからね。怖かったら教えてね。」
「ッ、」
小林の手が俺の手や手首、首元を優しく撫でるように触ってくる。
首を触られると首を絞められる感覚が蘇り息が詰まる。
「ごめんね、怖いね、ここ痛くない?」
「っ、ンフッ、フルフル、」
耳の下のくぼみ辺りを触られる。
そして、首に指を当てて固まった。
…何…、
今から何されるか分からなくて小林の顔を伺う。
「、?、大丈夫だよ。最後に目元触らせてね、べーってするよ。」
目の下を下げられじっと見つめられる。
「ッ、」
長時間見つめられ、怖くなって顔をそむけてしまった。
「ッ!」
やってしまった、
「、ごめんなさい、っごめんなさい。」
「怒ってないよ。ごめんね、怖かったね。もう終わったからね、大丈夫だよ。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
「どした?なんかあった?」
クマのぬいぐるみを持って寝室から斗真が出てきた。
「ちょっと触診させてもらってた。目の下さげて貧血か見てたんだけど目が合うのが怖かったんだよね。」
「そっか、頑張ったんだね。透もありがとう。」
斗真に頭を撫でられた。
クッキーを渡され、抱きしめると少し胸のザワつきがおさまり落ち着いた。
空はオレンジ色になっている。
もうすぐ暗くなる合図だ…部屋に戻らないと、
軋む体を動かし立とうとすると、目の前が暗くなり頭が揺れる。
立っていられなくなり、痛みを覚悟して体を強張らせるが痛みは来ずゆっくり目を開けると斗真に抱きしめられ浮ていることに気づいた。
「間に合った、大丈夫?体痛くない?」
「…コクリ、」
なぜか心臓がバクバクして少し息苦しい。
「部屋戻ろうか、」
「ん、」
どのくらい寝てたんだろう。
結構寝てたのかな、頭と胸のモヤモヤが晴れている。
この前は、ベランダで寝ようとしたら斗真に止められたのに今回は止められなかった。
寝てたの気づかれなかったのかな。
「水飲むか?」
小林が水が入ったコップを机に置いた。
そうだ小林もいたんだった。
…喉は乾いてるけど水は飲みたくない。
「ゴクッ、何も入ってないよ。」
斗真が一口飲んでくれた。
それでも…警戒が解けずコップに手が伸びなかった。
諦めたのかコップを机に置き、キッチンへと向かった。
「ペットボトルの水ならどう?開いてないから絶対何も入ってないよ。」
斗真は諦めていなかった。
開いてないから何も入っていないは信じられない。
奏が前に客から貰った袋に入った飴を食べて苦しんでいるのを見たことがある。
「難しいか…、飲めそうだったら飲んでね。」
斗真の言葉を無視して床を見つめる。
ゆっくりと時間が過ぎ、斗真と小林はテレビを見ながら話している。
それをぼーっと眺めていた。
テレビには何か難しい話をするおじさんたちが映っている。
何の話をしてるんだろう。
奏はこういうの分かるのかな、
奏は文字の読み書きができるから、テレビに書いてる文字も読めるのかな、
俺は数個読める文字はあるけど書けないし…使えない。
俺は…
「…、響、響、、」
「ッ、!」
斗真が顔を覗き込んでいた。
「どした?やっぱしんどいか?」
「ぇ、ぁ、べつに…しんどくない。」
「横になっててもいいよ。クッキー持ってこようか?」
「くっきー?」
「クマのぬいぐるみ、ちょっと待ってて」
そういえばそんなの持ってたな、
斗真が寝室に行ってしまいまた俯く。
「響、嫌だとは思うけど少しだけ触ってもいいか?」
「…?、」
小林が近づいてきた、
やっぱりこいつはそういう目的か、
…別にいいか、元々俺はそれ要員だし、
「ん、」
「ありがとう、痛いことはしないからね。怖かったら教えてね。」
「ッ、」
小林の手が俺の手や手首、首元を優しく撫でるように触ってくる。
首を触られると首を絞められる感覚が蘇り息が詰まる。
「ごめんね、怖いね、ここ痛くない?」
「っ、ンフッ、フルフル、」
耳の下のくぼみ辺りを触られる。
そして、首に指を当てて固まった。
…何…、
今から何されるか分からなくて小林の顔を伺う。
「、?、大丈夫だよ。最後に目元触らせてね、べーってするよ。」
目の下を下げられじっと見つめられる。
「ッ、」
長時間見つめられ、怖くなって顔をそむけてしまった。
「ッ!」
やってしまった、
「、ごめんなさい、っごめんなさい。」
「怒ってないよ。ごめんね、怖かったね。もう終わったからね、大丈夫だよ。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
「どした?なんかあった?」
クマのぬいぐるみを持って寝室から斗真が出てきた。
「ちょっと触診させてもらってた。目の下さげて貧血か見てたんだけど目が合うのが怖かったんだよね。」
「そっか、頑張ったんだね。透もありがとう。」
斗真に頭を撫でられた。
クッキーを渡され、抱きしめると少し胸のザワつきがおさまり落ち着いた。
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