こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

690、感覚は全部あるのに 奏side

コンコンッ

「失礼します。こんにちは、」

優咲さんが来てくれた。

「こんにちは、無理言ってすみません、」

斗真さんが謝ってる…どうして?

「いえいえ、抜糸はどこでもできるので大丈夫ですよ。今は奏くんの身体が優先なので、」

僕のせい?僕が悪い子だから斗真さんが謝ったの?

「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。
、奏くん、聞こえるかな？僕のこと見える?」

見えてるし声も聞こえてる…ただ…体に力が入らないだけ、

「…できるだけ早く終わらせます。もし動いたら危ないので斗真さんは奏くんの体を少し抑えていただけますか?」

「分かりました。
奏くん、ちょっと頑張ろうね。」

…?



──────

「終わったよ、頑張ったね。斗真さんありがとうございました。」

「ありがとうございました。ちょっと血出てたの大丈夫でしたか。」

「そこまで傷は開いてなかったので大丈夫でしたよ。
テープは1ヶ月くらい貼ったままでお願いします。
替えのテープもお渡ししますね。」

「良かった、分かりました。ありがとうございます。
奏くん、終わったよ。頑張ったね。」

斗真さんが頭を撫でてくれる。
感覚はあるのに…
靄がかかったみたいで全身が重たくて動けない…