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655、パニック 響side

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「怖かったね。もう大丈夫だよ。」

震えた手で斗真の服を掴んでいると手を包み込むように握ってくれた。
斗真の体温が伝わり震えが少しずつ治まってきた。

「焦らなくていいよ。ゆっくりでいいからね。」

「…っ゛ごめんなさい゛…」

「謝んなくていいよ、響は何も悪くないからね。おいで、」

「っ゛……、」

なんかもう何がなんだか分からなくなって泣き崩れた。
どうして斗真が怒らないのかもどうしてこんな俺に優しくしてくれるのかも全部分かんない、

それなのに、
こんな俺に優しくしてくれてる斗真を俺は疑って怖がって…
罪悪感と自分の臆病さを痛感し押し潰されそうになる。

「響、」

「………」

「響、」

「………」

「響、!」

ビクッ!!

少し大きい声で名前を呼ばれ驚いて顔を上げると斗真が困った顔をしていた。

?
何があったのか分からず斗真の表情から感情を読み取ろうとしていると、斗真の視線が下にさがった。
視線を追うと俺の手…?

…ハッ!
「っ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさい!!」

無意識に左手首を掴んでしまっていた。
手首に巻かれた包帯には薄らと血が滲んでいた。

慌てて袖で左手首を隠したがきっと斗真には血が出てることはバレてるだろう。

どうしよう怒られる
奏の体を傷付けてしまった、
傷付けたら………

……いたい…痛い…痛い゛痛い゛痛い゛痛い゛!!!!!!

「響?!?!、響!!」

「い゛や゛あああああああ!!い゛や゛ああああ!!!!!!」

腕に引きちぎられるような激痛が走りパニックを起こした。

『もっと痛くしたらさっきの痛みは消えたでしょ。』
お母さんの声が耳元で聞こえ血の気が引いていく、

「響、大丈夫、怖くないよ。怒ってないからね、」

パシッ、

触ろうとしてきた斗真の手を叩いてしまった。

「…触らないで…」

体がガタガタ震え涙が止まらず涙を拭う気力すらなくただ流すしかできなくなった。

「分かった。体冷えるから上着だけ掛けさせてね、向こういるから落ち着いたらおいで、」

斗真の上着を肩に掛けてくれた。
ソファーに座りこっちを見てきたけど諦めたのかテレビをつけた。
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