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590、自分に言い聞かせる大丈夫 奏side
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「そろそろ晩ご飯にしようか、何にしようかな~」
キッチンに向かう斗真さんを追い掛け一緒に冷蔵庫の中を眺める。
何が作れるかな…
食材を見て頭の中で組み合わせていく。
何が作れる…
何が…
何が………____________
「……、…くん、奏くん!奏くん!」
「っ!、」
「大丈夫?しんどい?」
「っ……!、フルフル、」
しんどくない。斗真さんの目を見て首を横に振った。
「ちょっと顔色悪いね、…お水飲める?」
「……、フルフル…」
「…難しいか…、どうした?気持ち悪い?」
フルフル、
なぜか目に涙が溜まって瞬きをしたら零れそうで目に力を込めて斜め下をグっと見つめた。
体はしんどくない…
ただ…胸が…心がザワザワして苦しい…
…でもそれを斗真さんには言えず、
「…ごめんなさい…、」
「謝らなくていいよ。何も悪いことしてないからね、大丈夫だよ。」
………
『役立たず』
『役立たず』
『役立たず』
「…、奏くん?、俺のこと見える?」
「……、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…っはぁ…はぁはぁはぁ…」
「奏くん、大丈夫だよ。誰もいないよ。大丈夫だよ。」
耳に直接聞きたくない声が入ってきて辺りをきょろきょろ見るが斗真さん以外見当たらない。
「誰もいないよ。大丈夫だからね。」
「…………、ごはん……大丈夫…」
「え?」
「ごはん大丈夫、大丈夫、…」
「ごはん食べるの難しい?落ち着いてからでいいよ。後で一緒に食べよ。」
「……大丈夫……大丈夫……」
「奏くん?っ!、」
だんだん手足が痺れてきて斗真さんに支えられながらその場に崩れ落ちた。
「ごはん…大丈夫……ごめんなさい…ごめんなさい…」
「奏くん、謝らなくていいよ。怒ってないよ。」
「……、ごめんなさい…僕が…僕が…」
「大丈夫、奏くんは何も悪くないよ。大丈夫だからね。」
いつもより強く抱き締めてくれたが、僕は自分を責めることしかできなかった。
「僕が…僕が…」
「奏くん、それ以上はダメだよ。」
っ!!
いつもより低い声に驚き見上げると斗真さんと目が合った。
斗真さんも…怒ってる?
謝らなくちゃ、何か斗真さんの機嫌が良くなることをしなくちゃ…
えっと…えっと…
どうしたらいいか分からず斗真さんのベルトに手を掛けると右手首を掴まれた。
「本当に怒ってないよ。そういうことしなくていいから。」
「…でも…でも…」
「だから、それ以上はダメだって。」
そう言って自傷した左手首を強く握りしめていた右手を解かれた。
あ……左手首を握りしめていたことに気付いていなかった、
指摘され急いで手を離した。
「…ごめんなさい、」
「いいよ。でも気を付けてね。」
「…はい、」
「まだ怒ってる声聞こえる?」
「…フルフル、…聞こえない」
「良かった。何が怖かったの?教えてくれる?」
「…?、怖い違う。声……、耳に……っ……耳に……僕が…僕が…僕が…」
「もういいよ。ありがとう、嫌なこと言われたんだね。」
…コクリ
「…………っ………、……ん……」
「辛かったね、頑張ったね。もう大丈夫だからね。」
「ん………っ……、、…………」
斗真さんの言葉が乾いた胸にしみ静かな涙が続いて頬を伝った。
キッチンに向かう斗真さんを追い掛け一緒に冷蔵庫の中を眺める。
何が作れるかな…
食材を見て頭の中で組み合わせていく。
何が作れる…
何が…
何が………____________
「……、…くん、奏くん!奏くん!」
「っ!、」
「大丈夫?しんどい?」
「っ……!、フルフル、」
しんどくない。斗真さんの目を見て首を横に振った。
「ちょっと顔色悪いね、…お水飲める?」
「……、フルフル…」
「…難しいか…、どうした?気持ち悪い?」
フルフル、
なぜか目に涙が溜まって瞬きをしたら零れそうで目に力を込めて斜め下をグっと見つめた。
体はしんどくない…
ただ…胸が…心がザワザワして苦しい…
…でもそれを斗真さんには言えず、
「…ごめんなさい…、」
「謝らなくていいよ。何も悪いことしてないからね、大丈夫だよ。」
………
『役立たず』
『役立たず』
『役立たず』
「…、奏くん?、俺のこと見える?」
「……、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…っはぁ…はぁはぁはぁ…」
「奏くん、大丈夫だよ。誰もいないよ。大丈夫だよ。」
耳に直接聞きたくない声が入ってきて辺りをきょろきょろ見るが斗真さん以外見当たらない。
「誰もいないよ。大丈夫だからね。」
「…………、ごはん……大丈夫…」
「え?」
「ごはん大丈夫、大丈夫、…」
「ごはん食べるの難しい?落ち着いてからでいいよ。後で一緒に食べよ。」
「……大丈夫……大丈夫……」
「奏くん?っ!、」
だんだん手足が痺れてきて斗真さんに支えられながらその場に崩れ落ちた。
「ごはん…大丈夫……ごめんなさい…ごめんなさい…」
「奏くん、謝らなくていいよ。怒ってないよ。」
「……、ごめんなさい…僕が…僕が…」
「大丈夫、奏くんは何も悪くないよ。大丈夫だからね。」
いつもより強く抱き締めてくれたが、僕は自分を責めることしかできなかった。
「僕が…僕が…」
「奏くん、それ以上はダメだよ。」
っ!!
いつもより低い声に驚き見上げると斗真さんと目が合った。
斗真さんも…怒ってる?
謝らなくちゃ、何か斗真さんの機嫌が良くなることをしなくちゃ…
えっと…えっと…
どうしたらいいか分からず斗真さんのベルトに手を掛けると右手首を掴まれた。
「本当に怒ってないよ。そういうことしなくていいから。」
「…でも…でも…」
「だから、それ以上はダメだって。」
そう言って自傷した左手首を強く握りしめていた右手を解かれた。
あ……左手首を握りしめていたことに気付いていなかった、
指摘され急いで手を離した。
「…ごめんなさい、」
「いいよ。でも気を付けてね。」
「…はい、」
「まだ怒ってる声聞こえる?」
「…フルフル、…聞こえない」
「良かった。何が怖かったの?教えてくれる?」
「…?、怖い違う。声……、耳に……っ……耳に……僕が…僕が…僕が…」
「もういいよ。ありがとう、嫌なこと言われたんだね。」
…コクリ
「…………っ………、……ん……」
「辛かったね、頑張ったね。もう大丈夫だからね。」
「ん………っ……、、…………」
斗真さんの言葉が乾いた胸にしみ静かな涙が続いて頬を伝った。
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