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578、無理しなくていいよ 斗真side
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はぁ……、
無理しなくていいよ
子どもなんだからそこまでしなくていいよ
……俺の中にはそういった言葉ばかりが頭を埋めつくしていた。
これを言ったら奏くん自体を否定することになるから言えない……
けど、正直言いたい。
もう頑張らなくていいよ。
奏くんは嫌なことから逃げることができない。
嫌なことは我慢して拒絶してる感情を抑え込み何も感じないふりをする。
今回もそうだ、俺と一緒にトイレや風呂に行く時もあれだけ身体が拒絶してるのに
1人で、しかも掃除して……
どれだけ怖かったか、考えるだけで胸が締め付けられる。
やっと震えが止まった奏くんの手を優しく包み込んだ。
…………、
痛いの大丈夫……か……
何も大丈夫じゃないよ……
今までこの小さな手に何されてきたんだよ。
……長さの違う爪、爪の先が削れてる。
奏くんは爪を噛む癖は無いのに噛んだみたいな断面………
…………、?……、指を触ってると小指の骨に違和感を覚えた。
「……?、斗真さん……?」
「え?あ、うーうん、なんもないよ。」
もしかして……痛いことって……恐ろしい考えが頭に浮かび、動揺が伝わらないようできるだけ笑って返事をした。
「……、手……、」
「手?ああ、ちょっと触ってただけ小さくて可愛いね。」
「…………、……、痛い大丈夫だよ。大丈夫……、」
そう言ってまた俺の手の上に置いた。
「痛いことしないよ。」
奏くんの手を奏くんの胸元に当てて手を離した。
触られてると痛いことされるって思うのかな。
「僕……大丈夫……大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃないよ。痛いことはしない。俺は奏くんに痛いことしたくないの。」
奏くんの目を見てそう言うと黙って俯いてしまった。
「……………、」
結構信頼されてるかなって思ってたけど、まだまだ道のりは長いな……
「どうして?」
「痛いことしたくないからしないの。」
「…………、でも……でも……、お父さんが……」
「声が聞こえるの?」
「コクリ……、」
幻聴か……
「……、なんて聞こえるの?」
「……、役立ず……、お仕置き……はっぁはぁはぁっ!!!はぁはぁっ」
「奏くん!もういいよ、ごめんっ、ごめんね、もう大丈夫だから、大丈夫だよ。」
奏くんを強く抱き締めて包み込む。
「大丈夫、大丈夫だよ。お父さんはここに居ないよ。大丈夫、大丈夫だからね。」
「はっ、はぁ……はぁはぁはぁはぁ……指っ……指っ……」
「指も痛くないよ。大丈夫だよ。」
「……痛い……、ない」
指を動かし痛くないことを確認した。
「動く……、」
「うん、ちゃんと動いてるよ。」
「……良かった……赤いのない……」
「赤いの?」
「血……?ない」
「痛いのって血が出るの?」
さっきの骨の違和感から痛いのって骨に何かされるのかと思った、最悪骨折とか……それだったら血は出ないよな……
「爪無くなったら血出るの。」
「………………、」
爪が無くなる……、剥がされるってこと?
理解がついて行かず思考が停止する。
この長さの違う爪って……
「そういうこと……、」
「斗真さん?」
俺には奏くんを黙って抱きしめることしかできなかった。
無理しなくていいよ
子どもなんだからそこまでしなくていいよ
……俺の中にはそういった言葉ばかりが頭を埋めつくしていた。
これを言ったら奏くん自体を否定することになるから言えない……
けど、正直言いたい。
もう頑張らなくていいよ。
奏くんは嫌なことから逃げることができない。
嫌なことは我慢して拒絶してる感情を抑え込み何も感じないふりをする。
今回もそうだ、俺と一緒にトイレや風呂に行く時もあれだけ身体が拒絶してるのに
1人で、しかも掃除して……
どれだけ怖かったか、考えるだけで胸が締め付けられる。
やっと震えが止まった奏くんの手を優しく包み込んだ。
…………、
痛いの大丈夫……か……
何も大丈夫じゃないよ……
今までこの小さな手に何されてきたんだよ。
……長さの違う爪、爪の先が削れてる。
奏くんは爪を噛む癖は無いのに噛んだみたいな断面………
…………、?……、指を触ってると小指の骨に違和感を覚えた。
「……?、斗真さん……?」
「え?あ、うーうん、なんもないよ。」
もしかして……痛いことって……恐ろしい考えが頭に浮かび、動揺が伝わらないようできるだけ笑って返事をした。
「……、手……、」
「手?ああ、ちょっと触ってただけ小さくて可愛いね。」
「…………、……、痛い大丈夫だよ。大丈夫……、」
そう言ってまた俺の手の上に置いた。
「痛いことしないよ。」
奏くんの手を奏くんの胸元に当てて手を離した。
触られてると痛いことされるって思うのかな。
「僕……大丈夫……大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃないよ。痛いことはしない。俺は奏くんに痛いことしたくないの。」
奏くんの目を見てそう言うと黙って俯いてしまった。
「……………、」
結構信頼されてるかなって思ってたけど、まだまだ道のりは長いな……
「どうして?」
「痛いことしたくないからしないの。」
「…………、でも……でも……、お父さんが……」
「声が聞こえるの?」
「コクリ……、」
幻聴か……
「……、なんて聞こえるの?」
「……、役立ず……、お仕置き……はっぁはぁはぁっ!!!はぁはぁっ」
「奏くん!もういいよ、ごめんっ、ごめんね、もう大丈夫だから、大丈夫だよ。」
奏くんを強く抱き締めて包み込む。
「大丈夫、大丈夫だよ。お父さんはここに居ないよ。大丈夫、大丈夫だからね。」
「はっ、はぁ……はぁはぁはぁはぁ……指っ……指っ……」
「指も痛くないよ。大丈夫だよ。」
「……痛い……、ない」
指を動かし痛くないことを確認した。
「動く……、」
「うん、ちゃんと動いてるよ。」
「……良かった……赤いのない……」
「赤いの?」
「血……?ない」
「痛いのって血が出るの?」
さっきの骨の違和感から痛いのって骨に何かされるのかと思った、最悪骨折とか……それだったら血は出ないよな……
「爪無くなったら血出るの。」
「………………、」
爪が無くなる……、剥がされるってこと?
理解がついて行かず思考が停止する。
この長さの違う爪って……
「そういうこと……、」
「斗真さん?」
俺には奏くんを黙って抱きしめることしかできなかった。
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