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572、お掃除 奏side
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_______________
「はい、承知いたしました。出来次第すぐに送信します。はい、…失礼します。」
「おはよう、ごめんね起こしちゃったね。」
フルフル、
俯いていた僕の頭を優しく撫でてくれた。
「ちょっと急ぎでお仕事しなきゃいけないから朝ごはんこれでもいい?」
コクリ、
パソコンを見つめお仕事をしている斗真さんの横で邪魔にならないよう静かにパンを口に入れた。
いつもより口の中が気持ち悪く感じる…
けど、斗真さんの邪魔をしたくない一心で無理やりパンを飲み込んだ。
喉が硬くて飲み込むのもやっとで、飲んだ後も違和感があって少し痛みを感じた。
感覚を無視して一気にお水を飲み干し、僕のやるべき事をしようとキッチンに向かった。
洗い物して…洗濯物して…お掃除も…
いつも通りやることで頭をいっぱいにさせて動いていく。
_______________あとやることは…、
あっという間にやることが無くなってしまう。
いつもしないところのお掃除も…
お風呂やトイレのお掃除とか…
お風呂やトイレは一人で中に入るのが怖くてサッとしか掃除をしたことがなかった。
ゆっくり時間をかけて綺麗に………
まずはトイレ……
何度も扉が開いていることを確認して便器の中や周りを掃除する。
「っ…はぁ…はぁ……」
途中何度も黒い絵の具に飲み込まれそうになって急いでトイレを出て床に座り込んだ。
「………情けない…、お掃除もちゃんとできないなんて……」
お掃除は僕の得意なことの1つなのに…それすら満足にできない自分が情けなく感じる…
「ちゃんとやらなきゃ………ちゃんと、」
覚悟を決めて一気にトイレの中を綺麗にした。
_______________できた…、
ゆっくりとトイレの扉を閉め、廊下に崩れ落ちるように座り込んだ。
「次は…、お風呂……」
怖い……
洗面所までは入れるけどそれより奥は…
お風呂の扉を見るだけで心臓が壊れたように煩くなる。
手脚が笑えるくらい震え立ってることもできなくなりその場にしゃがみ込んだ。
怖い…逃げたい…
逃げろ!!!
頭の中でサイレンが鳴り響く。
でもやらなきゃ…、
できる…できる…、やる、やらなきゃ、やらなきゃだめだ。
息を飲んで一気に扉を開いた。
ガラッ、その音と一緒に僕の身体は限界を迎えた。
体の自由はきかなくなり、その場に崩れ落ちて呼吸ができなくなった。
手脚は異常なほど震え顔は涙と鼻水、汗でぐちゃぐちゃだ…
何も見えない…目の前は真っ暗なのにグワングワン目が回ってる感覚に陥った。
もう迷惑………
かけたくないのに……
逃れられない恐怖の中で斗真さんにまた迷惑をかけてしまう自分を恨んだ。
斗真さんに迷惑かけたくない…、
自分でなんとかしなきゃ…
恐怖で気が遠くなる中、
必死にいつも斗真さんがしてくれることを思い出し、震える手で口元を抑えできるだけ深く息をした。
いつもこれで息ができるようになるんだ…
「っ……はぁ……はぁはぁ…はぁはぁ………」
気が狂いそうになりながらも必死に呼吸を続けた。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
少しづつ息苦しさが無くなり喉が広くなった気がした。
治った…良かった…、
安心してる暇はない、お掃除しなきゃ…
震える脚を無視して風呂に入り、湯船の中に入った。
勢いで行けばできる。
拒絶してる感覚を全て無視して湯船の中と床や椅子、浴槽の蓋など全て掃除用のスポンジやブラシで擦り綺麗にした。
あとは水で流すだけ、
蛇口を捻ると水が出てきた。
また喉がきゅーっと狭くなり苦しくなるが、あえて息を止めて苦しいのを忘れさせた。
息をするから余計苦しくなるんだ…
全て流し終え、
急いで風呂を出た。
「はぁ…はぁ…はぁはぁはぁ……」
膝から崩れ落ち震える手をじっと見つめることしかできなかった。
涙も出ず空になった心に風が通る。
「はい、承知いたしました。出来次第すぐに送信します。はい、…失礼します。」
「おはよう、ごめんね起こしちゃったね。」
フルフル、
俯いていた僕の頭を優しく撫でてくれた。
「ちょっと急ぎでお仕事しなきゃいけないから朝ごはんこれでもいい?」
コクリ、
パソコンを見つめお仕事をしている斗真さんの横で邪魔にならないよう静かにパンを口に入れた。
いつもより口の中が気持ち悪く感じる…
けど、斗真さんの邪魔をしたくない一心で無理やりパンを飲み込んだ。
喉が硬くて飲み込むのもやっとで、飲んだ後も違和感があって少し痛みを感じた。
感覚を無視して一気にお水を飲み干し、僕のやるべき事をしようとキッチンに向かった。
洗い物して…洗濯物して…お掃除も…
いつも通りやることで頭をいっぱいにさせて動いていく。
_______________あとやることは…、
あっという間にやることが無くなってしまう。
いつもしないところのお掃除も…
お風呂やトイレのお掃除とか…
お風呂やトイレは一人で中に入るのが怖くてサッとしか掃除をしたことがなかった。
ゆっくり時間をかけて綺麗に………
まずはトイレ……
何度も扉が開いていることを確認して便器の中や周りを掃除する。
「っ…はぁ…はぁ……」
途中何度も黒い絵の具に飲み込まれそうになって急いでトイレを出て床に座り込んだ。
「………情けない…、お掃除もちゃんとできないなんて……」
お掃除は僕の得意なことの1つなのに…それすら満足にできない自分が情けなく感じる…
「ちゃんとやらなきゃ………ちゃんと、」
覚悟を決めて一気にトイレの中を綺麗にした。
_______________できた…、
ゆっくりとトイレの扉を閉め、廊下に崩れ落ちるように座り込んだ。
「次は…、お風呂……」
怖い……
洗面所までは入れるけどそれより奥は…
お風呂の扉を見るだけで心臓が壊れたように煩くなる。
手脚が笑えるくらい震え立ってることもできなくなりその場にしゃがみ込んだ。
怖い…逃げたい…
逃げろ!!!
頭の中でサイレンが鳴り響く。
でもやらなきゃ…、
できる…できる…、やる、やらなきゃ、やらなきゃだめだ。
息を飲んで一気に扉を開いた。
ガラッ、その音と一緒に僕の身体は限界を迎えた。
体の自由はきかなくなり、その場に崩れ落ちて呼吸ができなくなった。
手脚は異常なほど震え顔は涙と鼻水、汗でぐちゃぐちゃだ…
何も見えない…目の前は真っ暗なのにグワングワン目が回ってる感覚に陥った。
もう迷惑………
かけたくないのに……
逃れられない恐怖の中で斗真さんにまた迷惑をかけてしまう自分を恨んだ。
斗真さんに迷惑かけたくない…、
自分でなんとかしなきゃ…
恐怖で気が遠くなる中、
必死にいつも斗真さんがしてくれることを思い出し、震える手で口元を抑えできるだけ深く息をした。
いつもこれで息ができるようになるんだ…
「っ……はぁ……はぁはぁ…はぁはぁ………」
気が狂いそうになりながらも必死に呼吸を続けた。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
少しづつ息苦しさが無くなり喉が広くなった気がした。
治った…良かった…、
安心してる暇はない、お掃除しなきゃ…
震える脚を無視して風呂に入り、湯船の中に入った。
勢いで行けばできる。
拒絶してる感覚を全て無視して湯船の中と床や椅子、浴槽の蓋など全て掃除用のスポンジやブラシで擦り綺麗にした。
あとは水で流すだけ、
蛇口を捻ると水が出てきた。
また喉がきゅーっと狭くなり苦しくなるが、あえて息を止めて苦しいのを忘れさせた。
息をするから余計苦しくなるんだ…
全て流し終え、
急いで風呂を出た。
「はぁ…はぁ…はぁはぁはぁ……」
膝から崩れ落ち震える手をじっと見つめることしかできなかった。
涙も出ず空になった心に風が通る。
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