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567、怒ってるよな 斗真side
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どうしよう…
俺の無意識の発言で奏くんを怖がらせるどころか怒らせてしまった、
勘違いして怖がるとは思ってたけど、
まさか怒るとは思わなかった…
しかも寝室に篭るってよっぽどだよな…
奏くんが怒るなら俺は誰も殴らない。
ってか今まで人を殴ったことなんてないし、
ましてや奏くんの親はもう亡くなってて物理的に殴れないし、
…そうは思っても、奏くんになんて説明したらいいんだろう。
何を言っても「でも殴りたかったんでしょ。」って言われたら何も言えないな…
何を言っても言い訳みたいになっちゃうな…
はぁ、
とりあえず謝ろう。
奏くんは1人になりたいんだろうけど、
自傷行為のこともあるし、精神的に不安定な奏くんをできるだけ1人にしたくなくて寝室に入ることにした。
コンコン、
「奏くん、入るよ。」
「………………」
「奏くん?」
奏くんの姿が見えず、ベッド横のライトをつけた。
「奏くん、ごめんね。」
机の下の隠れてる奏くんの姿を確認し、少し離れたところから声を掛けた。
俯き顔を手で抑えている。
息遣いから泣いていることは分かった。
「近付いてもいい?」
「…………フルフル、」
拒否された、
怒ってるな…
「奏くん、本当にごめんなさい。誰のことも殴ったりしないよ、怒っててつい言っちゃったんだ…ごめんなさい。」
「………僕じゃ…僕じゃダメなの?」
「悪いことしてないのに奏くんのこと殴ったりしないよ。
悪いことしても殴ろうとは思わないんだけど…
俺は言葉で話し合いができる人を殴ろうとは思わないかな。」
「…その人は悪いことしたの?…何したの」
「うん、すごい悪いことした。何したかは言えないけど、その人が悪いことしたからムカついて殴りたいって言っちゃったんだ。」
「怒ってるの………」
「うん、今はもう怒ってないけどね、さっきは怒ってた。」
「………僕………、いらない…?」
「奏くんはいるよ。大切だよ。」
「じゃあ…なんで……、なんで使ってくれないの。
僕のこといらない?捨てる?」
「ちょっと待って、なんでそうなるの?
使うって何、
俺は奏くんのことも他の人も誰も殴らない。」
「それじゃあ僕がいる意味が………僕は…何のためにここにいるの…、」
「何のためって…」
「僕は斗真さんのために……、」
「俺のために何?」
「…斗真さんのために……我慢できる……痛い大丈夫……」
「俺は奏くんのことは絶対に殴らない。
奏くんの親や客は怒ったり嫌なことがあったら奏くんを殴ったかもしれない。
けど、俺はそいつらとは違う。
奏くんが俺の事を大人だからそいつらと一緒だって思うのは仕方がないと思うけど、それでも俺を親や客と同じことをする人間だと思われてるのはすごい嫌だ。」
「…、ごめんなさい、」
「奏くんはずっと耐えてたんだよな。辛かったな、」
「……辛いない…」
「うん…、俺はそんなことしないから、ここに居たら怖くないからね。」
「…………、」
そう言われても信じられないんだろうな、
「何のためにここにいるのかの答えなんだけど、
奏くんにここで幸せを感じてもらうためかな、
そのために俺の傍にいてほしい。
あと、俺を幸せにしてほしい。」
「………、できない……、」
「難しく考えなくていいよ。
俺は奏くんが幸せだったら幸せだから。」
「………、幸せってなに…」
「うーん、幸せって幅広いけど俺が思う幸せは、
その時間をもう一度過ごしたいなって思えたら幸せかな。」
「もう一度…」
「俺と出会って1番楽しかったり嬉しかった時はいつ?」
「……、もう一つの斗真さんのお家で…僕が熱を出した時…卵のスープを飲ませてくれた時」
それが一番嬉しかったんだ…
服やぬいぐるみを貰った時とかじゃないんだ…
俺にとっては普通のことでも奏くんにとっては普通じゃなかったんだもんな…
「その時にもし戻っても嬉しいな、安心するなって思える?」
「コクリ、思える。」
「そう思えたら幸せってことだと俺は思ってる。」
俺の無意識の発言で奏くんを怖がらせるどころか怒らせてしまった、
勘違いして怖がるとは思ってたけど、
まさか怒るとは思わなかった…
しかも寝室に篭るってよっぽどだよな…
奏くんが怒るなら俺は誰も殴らない。
ってか今まで人を殴ったことなんてないし、
ましてや奏くんの親はもう亡くなってて物理的に殴れないし、
…そうは思っても、奏くんになんて説明したらいいんだろう。
何を言っても「でも殴りたかったんでしょ。」って言われたら何も言えないな…
何を言っても言い訳みたいになっちゃうな…
はぁ、
とりあえず謝ろう。
奏くんは1人になりたいんだろうけど、
自傷行為のこともあるし、精神的に不安定な奏くんをできるだけ1人にしたくなくて寝室に入ることにした。
コンコン、
「奏くん、入るよ。」
「………………」
「奏くん?」
奏くんの姿が見えず、ベッド横のライトをつけた。
「奏くん、ごめんね。」
机の下の隠れてる奏くんの姿を確認し、少し離れたところから声を掛けた。
俯き顔を手で抑えている。
息遣いから泣いていることは分かった。
「近付いてもいい?」
「…………フルフル、」
拒否された、
怒ってるな…
「奏くん、本当にごめんなさい。誰のことも殴ったりしないよ、怒っててつい言っちゃったんだ…ごめんなさい。」
「………僕じゃ…僕じゃダメなの?」
「悪いことしてないのに奏くんのこと殴ったりしないよ。
悪いことしても殴ろうとは思わないんだけど…
俺は言葉で話し合いができる人を殴ろうとは思わないかな。」
「…その人は悪いことしたの?…何したの」
「うん、すごい悪いことした。何したかは言えないけど、その人が悪いことしたからムカついて殴りたいって言っちゃったんだ。」
「怒ってるの………」
「うん、今はもう怒ってないけどね、さっきは怒ってた。」
「………僕………、いらない…?」
「奏くんはいるよ。大切だよ。」
「じゃあ…なんで……、なんで使ってくれないの。
僕のこといらない?捨てる?」
「ちょっと待って、なんでそうなるの?
使うって何、
俺は奏くんのことも他の人も誰も殴らない。」
「それじゃあ僕がいる意味が………僕は…何のためにここにいるの…、」
「何のためって…」
「僕は斗真さんのために……、」
「俺のために何?」
「…斗真さんのために……我慢できる……痛い大丈夫……」
「俺は奏くんのことは絶対に殴らない。
奏くんの親や客は怒ったり嫌なことがあったら奏くんを殴ったかもしれない。
けど、俺はそいつらとは違う。
奏くんが俺の事を大人だからそいつらと一緒だって思うのは仕方がないと思うけど、それでも俺を親や客と同じことをする人間だと思われてるのはすごい嫌だ。」
「…、ごめんなさい、」
「奏くんはずっと耐えてたんだよな。辛かったな、」
「……辛いない…」
「うん…、俺はそんなことしないから、ここに居たら怖くないからね。」
「…………、」
そう言われても信じられないんだろうな、
「何のためにここにいるのかの答えなんだけど、
奏くんにここで幸せを感じてもらうためかな、
そのために俺の傍にいてほしい。
あと、俺を幸せにしてほしい。」
「………、できない……、」
「難しく考えなくていいよ。
俺は奏くんが幸せだったら幸せだから。」
「………、幸せってなに…」
「うーん、幸せって幅広いけど俺が思う幸せは、
その時間をもう一度過ごしたいなって思えたら幸せかな。」
「もう一度…」
「俺と出会って1番楽しかったり嬉しかった時はいつ?」
「……、もう一つの斗真さんのお家で…僕が熱を出した時…卵のスープを飲ませてくれた時」
それが一番嬉しかったんだ…
服やぬいぐるみを貰った時とかじゃないんだ…
俺にとっては普通のことでも奏くんにとっては普通じゃなかったんだもんな…
「その時にもし戻っても嬉しいな、安心するなって思える?」
「コクリ、思える。」
「そう思えたら幸せってことだと俺は思ってる。」
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