こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

545、今日の入浴剤 奏side

ぶくぶくっじゃなくて入浴剤、今日はどれにしよう。
たくさんあって見てるだけで嬉しい気持ちになる。
この前と同じのももう1つあるけど今日は違うのをしてみたい、
けどどれにしたらいいか分からなくて迷う。

「動物のにする？これ光るクマさんが出てくるんだって～」

クマさんが光るの?

「3個あるよ、どれがいい?」

「…これがいい」

「どうぞ、4色あるんだって～どれが当たるかな？」

「薄い茶色がいい」

「薄い茶色が出ますように！」

斗真さんが入浴剤にお願いしてくれた
僕もっ、

「薄い茶色が出ますように！」

2人で入浴剤に願いを込めた。

「お風呂行く。」

「よし、行こうか」

ｺｸﾘ

着替えと入浴剤を持って脱衣所に入った。

いつも通り脱衣所に入ると手足が震えるけど深呼吸をして一気に服を脱いだ。



「お湯このくらいの熱さで大丈夫?」
いつも通り触って温度の確認もして、

大丈夫、

大丈夫、

大丈夫…

そう思うのに…
湯船を見るだけで息が詰まる感じがする。
喉に違和感を感じて息を吸ってるのに吸いえてない気がして口で息を吸う。

「大丈夫だよ、ゆっくり息しようね。」

抱きしめて背中をさすってくれる。
それでも足りなくて斗真さんの首に回した腕に力が入る。

「大丈夫、大丈夫、抱っこするよ。」

ｯ！！！ﾌﾙﾌﾙ!!!

お風呂を出ようとする斗真さんを止めようと首を横に振るがお風呂を出てしまった。

「落ち着くまでここに居ようか、落ち着いたら体洗おうね。」

脱衣所に暖房をつけて床に座り込んだ。

「寒くない?」

バスタオルを肩にかけてくれた。

「…っ…、っ………ごめんなさい…」

「?…どうして謝るの?何も悪いことしてないよ。」

「迷惑ばっかり…ごめんなさい…っ……」

「迷惑なんかじゃないって、奏くんが頑張ってるの知ってるよ。今日はいつもより早く服も脱げたじゃん、凄かったよ。」

ﾌﾙﾌﾙ、

「大丈夫、もう少しこうして落ち着いたら一昨日と同じようにお風呂入れるから、大丈夫、」

斗真さんに自分のことを認めてもらって静かに涙が頬を伝った。

僕は自分を否定して責めてばっかりだけど斗真さんは僕を認めて褒めてくれる。
僕にはできないことを斗真さんはしてくれる。

「……僕………がんばった…?」

「頑張ってるよ。凄いよ。」

「………がんばってる…すごい………」

「うん、奏くんは頑張てて偉いよ。大丈夫、」

僕も斗真さんと同じように言葉にしてみた。

すると、さっきよりもたくさんの涙が溢れ出し止まらなくなった。

っ…あれ?…どうして…
止まらない涙に戸惑い、涙で濡れた手を見つめる。

「体は奏くんに頑張ってる凄いって言ってもらえて嬉しかったんだね。嬉し涙かな?」

……嬉し涙…知ってる、
僕も嬉しいでいっぱいになった時に涙が止まらなくなった。
体も嬉し涙流すんだ。

「沢山泣いたら止まるからね、大丈夫だよ、」

斗真さんの首元に顔を押し付けて涙が止まるのを待つことにした。