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543、体は食べたくないから 奏side

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結局一口もごはん食べれなかった…

思い通りにいかない体に腹が立つ、
僕の体なのにどうして言うこと聞いてくれないの、

イライラが抑えられなくて拳で力強く太腿を殴った。

「っ?!、え、どした?そんなことしたら痛いよ。」

手首を掴んで止められるが気が済まずまた拳に力を込める。

「だーめ、どうした?なんで怒ってるの?」

手を撫でてそう言われる。

「…っ…んんん…、やだ」

「何が嫌?」

「からだ、」

「体が嫌なの?」

「言うこと聞いてくれないの…やだ、」

「そっか、奏くんはどうしたいの?」

「…ごはん食べたい…」

「うん、奏くんはご飯食べたいけど体が嫌がってるんだね。」

…コクリ、

「体はどうして食べたくないんだろう?」

「……怖い…から」

「何が怖いの?」

「…食べれなかったら…怖い」

「…食べれなくても怒らないよ?」

「……………コクリ、」

分かってる、
食べれなくても斗真さんは怒らないって分かってるけど、
それでも体は怖がってる。

「うーん、お腹は空いてる?」

コクリ、

「飲み込むのが難しい?」

…コクリ、

「うーん、ちょっと待っててね、」

キッチンに行っちゃった…今は何も食べれる気がしない…

「綿菓子って食べたことある?」

フルフル、

袋を持ってきた。
…食べれないよ…

「見てー、ふわふわ、綿みたいでしょ。これなら飲み込まなくていいから食べれると思うよ。」

一口食べて見せてくれた。

「あー、もうないでしょ。飲んでないんだよ。ちょっと食べてみ?」

フルフル、

「…無理…」

「大丈夫、飲まなくていいよ。口に入れるだけ、」

小さく口を開けたら少量口に入れてくれた。

「……、…っ…!!!」

「ふふっ笑、無くなったでしょ、」

コクリ コクリ!
口に入れた途端消えた。
甘い味だけが口に残った。

「どう?美味しい?」

「……おいしい…甘い」

「食べる?」

コクリ

さっきより大きい綿菓子を受け取る。
ふわふわだ
ゆっくりと口に入れるとさっきと同じように一瞬で消えた。

なにこれ、おもしろい

「食べれるだけ食べていいよ。」

綿菓子が入った袋を貰い、綿菓子をちぎって口に入れる。

甘い味が口に広がって自然と頬が緩む。

美味しい、これなら食べれる。



「ごちそうさまでした。」
全部消えて無くなるからすぐに1袋完食した。

「良かった、食べれたね。」

コクリ
「ありがとう。」

「どういたしまして、口の中甘いでしょ、お水飲む?」

コクリ、
ゴクゴク

お水は抵抗なく飲めた。

「食べるの難しい時は綿菓子でもいいからね。」

「…ありがとう」

「うん、良かった。顔色良くなったね。」



「さっき気分悪かったでしょ?その時すごいしんどい顔だったんだよ、でも今は元気な顔してる。」

…コクリ、

「低血糖になってたのかな?」

???

「元気になって良かった。」

コクリ

ていけっとう???分からない言葉に首を傾げたら頭を撫でてくれた。

でも確かに胸が気持ち悪かったのが、今は全部治って目の前が明るくなった。綿菓子って凄い!
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