こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

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529、ここじゃ寝れない 響side

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「響ー、こっちおいで」

斗真がソファーから呼んでくる。

でも行きたくない、
ここがいい…

新しい痛みを見つけてから胸がざわざわして落ち着かない。
服を握っても治まらない。

「隅っこの方が落ち着くの?」

斗真がアウターをかけてくれた。

少し温かい…

「暖房上げようか…小型の暖房機とか床暖房とかあったらいいんだけどね…」

独り言を言いながら離れて行った。


何持ってきたの?
初めて見るものに身構える。

「ブランケットと湯たんぽ、ほら足も冷えてるよ…」

足を触られ指先に力を込め丸める。

「湯たんぽ抱っこしときな、」

…温かい…
湯たんぽが冷えた体をじんわり温めてくれる。


───

体が温もり眠たくなってきた…

ムクッ

「どこ行くの?」

立とうとしたら腰を捕まれた。

「ベランダ」

「外の空気吸いたくなった?」

「……寝たい…ちょっとだけ…っごめんなさいっ!ごめんなさいっ」

寝たいと言ったら大きなため息をつかれた。
…怒らせた

腕で頭を守り体を強ばらせ殴られる準備をする。

「怒ってないよ、大丈夫、ごめんね…」

なぜか謝られた…
本当に怒ってない?恐る恐る斗真の顔を伺うと寂しそうに微笑んだ。


「ベランダで寝たらせっかく温もった体冷えちゃうよ、それにまた熱出るよ。
寝るならお家の中で寝よ、ベッドが難しかったらここでもいいから。」

そう言って腰にまわされた腕の力が強まった。

…今まで外で寝ろと言われたことはあっても中で寝ろなんて言われたことなくてどう答えたらいいか分からず黙って俯いた。

「おいで、一緒に寝よ。」

包み込むように抱きしめられさっきより温くなって瞼が重くなる。

…眠たい…

でも寝れない…
家の中でなんて眠れるはずもなく体を強ばらすことしかできない。
必死に目を開けて警戒する。


…もう限界、

「外…行く」

腰を上げようとするが腰を捕まれすぐ戻される。

「…寝たい…」

「ここで寝たらいいよ。大丈夫、大丈夫、」

ここじゃ寝れない…
眠気と寝れない葛藤で情緒が不安定になり涙が浮かぶ。

「外がいい」

「外はダメ、一緒に寝よ。」

「外ぉ…っ…ん゛…ぅ゛ん゛ああああん゛あああ…」

外に行きたいのに行けず、
気持ちを抑えられず泣き崩れた。
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