こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

文字の大きさ
上 下
508 / 725

508、ここまでのパニックは 斗真side

しおりを挟む
リビングのソファーに座り奏くんを膝に乗せて抱きしめる。

いつも以上に大人しい、

「...ごめんなさい」

手首の包帯をそっと撫でてて謝った。

「いいよ。怒ってないからね。」

何度も「ごめんなさい」と言われる。


袖で包帯を隠し頭を撫でた。


いくら「いいよ」って許しの言葉を言っても奏くんは自分を許せないことは分かってるけどそれでも何度も「いいよ」と返した。

きっと他の人格が切ったと伝えてもその人格を責めることはしないと思った。
何かしらの理由をつけて自分を責めるだろう。



「はぁ...はぁはぁ...はぁはぁ...」

「奏くん?大丈夫だよ。怒ってないよ。」

息が乱れ涙が止まらない。
そしてキョロキョロ辺りを見渡す。

「奏くん?どうした?」

「...ぃや...ごめんなさい...ごめんなさい!嫌!!!」

急に大声で叫び全身を震わせ耳を掴む。

「奏くん、大丈夫だよ。斗真、奏くんの体押さえつけて。」

「え...分かった。」

パニックを起こした奏くんを押さえつけ透に注射を打ってもらう。

押さえつけると余計怖くなって暴れるが力ずくで押さえる。

「終わったよ。頑張ったね、もう少しで怖くなくなるからね。大丈夫だよ。」

透に頭を撫でられるが怯えたまま聞こえていない。

「効いたら落ち着くからそしたら今日はもう寝よう。」

「分かった、ありがとう。」


「嫌!!!あああああああ!!!」

「怖くないよ。大丈夫、ここに居るからね。」

「あああああああ!!!!あああああああ!!!!」

「怖くないよ。大丈夫、大丈夫だからね。」

ここまでのパニックは初めて起きた。
幻聴、幻覚が起きているのか耳を塞ぎ怯えた目で辺りを見る。

俺達も親や客に見えてるのか...








数分後、
薬が効いたのか落ち着いてぼーっとしている。

「...斗真さん...どこ...」

「ここに居るよ。もう怖くないからね。」

手を握り背中を撫でると安心したのか落ち着いた寝息に変わった。
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...