こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

495、また…… 奏side

…………また 僕は 傷付けた……

僕が傷付いたら斗真さんも痛い…………

分かってる

傷付けちゃいけないって分かってるのに……


「奏くん、唇噛まないで、」

無意識に唇を噛んで止められた。
斗真さんの指には僕の血がついていた。

「切れちゃったね…痛い?」

ティッシュで唇を押さえられる。

痛くない。


「泣きたかったら泣いてもいいんだよ?」

頭を撫でられるが涙は一滴も出ない。
泣きたい気持ちではなかった。

「また……」

「ん?何て言ったの?」

「また……切った……」

「唇?」

「…………腕、」

「うん……きっと辛かったんだよ。俺の邪魔しちゃいけないとか何したらいいんだろうっていっぱい考えて不安になっちゃったんだよね。奏くんは痛みがあると安心するの?」

「…………うん…………、でも自分で切ったら痛くない。」

「……そうなんだ……今も痛くない?」

「痛くない。」

「そっか…………、そうなんだ……」

斗真さんは不安そうな顔で僕を見つめた。

どうしてそんな顔するの……?