こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

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461、どこが汚い 斗真side

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「奏くんはどこが汚いと思うの?」

「…全部」

「うーん、例えば?」

「臭い…体から精子の臭いがする…」

「今も?」

「今はしない。お風呂入ってたらしない。けど…入らなかったらまたしちゃうかも…」

「それはないんじゃない?」

「ぇ?」

「だって精子は出さなかったら精子の臭いはしないよ?それに出してもちゃんとティッシュで拭いて綺麗にしてたら臭いは付かないよ。だから大丈夫。」

「…コクリ」

「他は?」

「…分かんない…分かんないけど全部汚い…」

「そっか…辛かったね…」

優しく抱きしめ、グッと手首に爪を立てる手の上からそっと手を重ねる。

周りの大人に散々汚いって言われて自分は汚いって思い込んでる。
確かに今までちゃんとお風呂も入れてもらえず精子が付いたままで臭いが付いていたのかもしれない。
けど、多分大人が言う汚いの言葉の意味には両親の葬式で言われてた体を売っていることに対する汚らしいっていうのも含まれてるんだろうな…

奏くんは汚くなんかない。
むしろ綺麗だ。
幼いのに嫌な大人の世界を無理矢理経験させられたかもしれないけどそれでも奏くんの心は純白で美しい。

奏くんは自分の心の色を黒や赤で表現するけど俺には白に見える。

「僕は汚い…けど、斗真さんとお風呂に入ったら綺麗になる。」

「奏くんは汚くないよ。
…確かにお風呂に入ったら綺麗になるよ。でも、奏くんの体はどう思ってる?」

「…お風呂怖い…」

「うん、怖いとさっきみたいに震えたり絵の具が出たり、息が苦しくなったりするんだよね。
俺は体が嫌がってるなら無理に入らなくてもいいんじゃないかなって思ってる。」

「ぇ…でも……」

「でも、奏くんはお風呂に入りたいんだよね。」

…コクリ

「じゃあ、どうしたら体がお風呂を怖がらずに入れるか一緒に考えてみようか。」

コクリ コクリ

風呂に入りたい奏くんと拒絶する体両方とも折れないから奏くんと方法を考えてみることにした。

正直俺はそこまでして風呂に入らなくてもいいと思っている。
実家にいる時はおもちゃで興味をひいて入れたけど、今はおもちゃがあっても体は拒絶している。

それは奏くんが俺と居ることに慣れ周りが見えてきた証拠だ。そして拒絶してもいいと体が思ってくれたから。
今まではどれだけ怖くても心を閉ざして感じないようにしてきた。
それが今は色々感じるようになって感じたままに反応できるようになっている。
きっと体が拒絶してることは涙と同じでいいことなんだと思う。

だから俺は奏くんに嫌ならやらなくてもいい。辞めていい。逃げていい。ってことを身をもって感じてほしい。

けど、心と体が対立している今は一緒にお互いが納得する答えを見つけたい。
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