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414、帰りたくない 奏side
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ズキッン…ズキン
頭痛で目を覚ました。
痛みで思い出すのは僕のお家での記憶…
心臓がバクバクしてきた。
また体がお家に帰っちゃう…帰りたくない…帰りたくない!
「ぅ…ん?」
斗真さんの服を引っ張って起こす。
パクパク…ッ!
助けて!
斗真さん!斗真さん!!
また声が出ない…
代わりに涙が止まらなくなって斗真さんの顔に涙が落ちる。
「…?、どうした?怖い夢見た?」
ムクッ、ギュ-
「大丈夫、大丈夫、ここに居るからね。」
斗真さんの胸に顔を押し付けて大きく息を吸い込む。
斗真さんの匂いに包まれて胸が静かになって落ち着いた。
斗真さん…ッ…
口を開いても声は出ないまま…
また話せなくなっちゃった……
「落ち着いたら声出るようになるよ。大丈夫。」
…コクリ
声が出ないことがショックで俯いていると斗真さんが頭を撫でてくれた。
…また出るかな…
「それより何かあった?どこか痛い?」
…頭…
頭を触って痛いことを伝えた。
「頭が痛いのかぁ…撫でたら少しましになるかな…」
斗真さんに抱きついたまま頭を撫でてもらってさっき体がお家に帰りそうになった感覚を思い出してまた涙がこぼれた。
「痛い以外にも何かあったんだね。」
……コクリ
何も言ってないのに斗真さんは分かってくれた。
「今は無理に話そうとしなくていいよ。落ち着いたら教えてね。」
…コクリ
「怖かったね。もう大丈夫だからね。いっぱい泣いていいよ。」
…コクコク
たくさん泣いて心に溜まったものを流していく。
「呼吸はゆっくりするよー。」
ゆっくり背中をトントンしてもらってそれに合わせて息をする。
それでも涙は止まらなくて焦ってまた呼吸が乱れる。
「大丈夫、大丈夫、」
焦る僕とは裏腹に斗真さんは落ち着いている。
それが僕の心を少しずつ落ち着かせてくれた。
気が済むまで泣くとさっきまで止まらなかったのが嘘のようにスーッと引いていった。
「たくさん泣けたね。スッキリした?」
コクリ
「……ありが…とう」
「どういたしまして、声も戻ったね。」
コクリ
「たくさん泣いたから余計頭痛くなったんじゃない?大丈夫?」
「……大丈夫……」
「無理しなくていいよ。スポーツドリンク飲もうか。飲める?」
…コクリ
ゴクゴクゴク
「頭痛いのとあと何が怖かったか聞いてもいい?」
「………頭が痛くて……痛いこと思い出したら、体が……お家に帰っちゃう感じがして………帰りたくなくて…っ…それで怖くなって…」
「そっか、怖かったね。教えてくれてありがとう。
今はお家に帰りそうじゃない?」
「コクリ、帰りそうじゃない。」
「良かった。泣くの我慢しなくてもいいよ。」
さっきのことを思い出して目頭が熱くなる。
やっぱり我慢できなくて斗真さんの胸に顔を押し付けて涙をこぼした。
「良い子良い子。ちゃんと怖くなって俺に頼ってくれてありがとう。起きたら泣いてたからビックリしたけど頼ってくれたんだーって嬉しかった。ありがとう。」
コクコク
涙で頷くことしか出来なかったけど斗真さんは嬉しそうだった。
頭痛で目を覚ました。
痛みで思い出すのは僕のお家での記憶…
心臓がバクバクしてきた。
また体がお家に帰っちゃう…帰りたくない…帰りたくない!
「ぅ…ん?」
斗真さんの服を引っ張って起こす。
パクパク…ッ!
助けて!
斗真さん!斗真さん!!
また声が出ない…
代わりに涙が止まらなくなって斗真さんの顔に涙が落ちる。
「…?、どうした?怖い夢見た?」
ムクッ、ギュ-
「大丈夫、大丈夫、ここに居るからね。」
斗真さんの胸に顔を押し付けて大きく息を吸い込む。
斗真さんの匂いに包まれて胸が静かになって落ち着いた。
斗真さん…ッ…
口を開いても声は出ないまま…
また話せなくなっちゃった……
「落ち着いたら声出るようになるよ。大丈夫。」
…コクリ
声が出ないことがショックで俯いていると斗真さんが頭を撫でてくれた。
…また出るかな…
「それより何かあった?どこか痛い?」
…頭…
頭を触って痛いことを伝えた。
「頭が痛いのかぁ…撫でたら少しましになるかな…」
斗真さんに抱きついたまま頭を撫でてもらってさっき体がお家に帰りそうになった感覚を思い出してまた涙がこぼれた。
「痛い以外にも何かあったんだね。」
……コクリ
何も言ってないのに斗真さんは分かってくれた。
「今は無理に話そうとしなくていいよ。落ち着いたら教えてね。」
…コクリ
「怖かったね。もう大丈夫だからね。いっぱい泣いていいよ。」
…コクコク
たくさん泣いて心に溜まったものを流していく。
「呼吸はゆっくりするよー。」
ゆっくり背中をトントンしてもらってそれに合わせて息をする。
それでも涙は止まらなくて焦ってまた呼吸が乱れる。
「大丈夫、大丈夫、」
焦る僕とは裏腹に斗真さんは落ち着いている。
それが僕の心を少しずつ落ち着かせてくれた。
気が済むまで泣くとさっきまで止まらなかったのが嘘のようにスーッと引いていった。
「たくさん泣けたね。スッキリした?」
コクリ
「……ありが…とう」
「どういたしまして、声も戻ったね。」
コクリ
「たくさん泣いたから余計頭痛くなったんじゃない?大丈夫?」
「……大丈夫……」
「無理しなくていいよ。スポーツドリンク飲もうか。飲める?」
…コクリ
ゴクゴクゴク
「頭痛いのとあと何が怖かったか聞いてもいい?」
「………頭が痛くて……痛いこと思い出したら、体が……お家に帰っちゃう感じがして………帰りたくなくて…っ…それで怖くなって…」
「そっか、怖かったね。教えてくれてありがとう。
今はお家に帰りそうじゃない?」
「コクリ、帰りそうじゃない。」
「良かった。泣くの我慢しなくてもいいよ。」
さっきのことを思い出して目頭が熱くなる。
やっぱり我慢できなくて斗真さんの胸に顔を押し付けて涙をこぼした。
「良い子良い子。ちゃんと怖くなって俺に頼ってくれてありがとう。起きたら泣いてたからビックリしたけど頼ってくれたんだーって嬉しかった。ありがとう。」
コクコク
涙で頷くことしか出来なかったけど斗真さんは嬉しそうだった。
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