上 下
410 / 679

410、常識を変えたい 斗真side

しおりを挟む
「奏くんの体のことだけどね、もう誰にも取られないから傷付けずに大切にしてほしいな。」

「うん、…響くん取らない?」

「取らないよ。響もこの体は奏くんのものだって分かってるから。」

「…分かった。」

「俺が奏くんは働かなくていいって言ってた理由分かってくれた?」

「…親のお金を持ってくるのは子どものお仕事じゃないから…?」

「そう。じゃあ子どもの仕事はなーんだ。」

「…たくさん泣いて、たくさん甘えること?」

「大正解!昨日言ったこと覚えててくれてたんだ。ありがとう。
お金は大人の俺が持ってくるから、奏くんはたくさん泣いて、たくさん甘えたらいいからね。
奏くんがやりたいって思うことをしてくれたら俺は嬉しいな。」

「……僕がしたいこと………えっと…えっと…」

「急いで考えなくてm「イチゴの!」

「イチゴの?イチゴのヨーグルトムース?」

コクリ
「作りたい!」

「作ろうか、その前に顔拭いて熱だけ測ってもいい?」

「…ッ!ぇ…」

「熱があっても怒らないよ。さっき少し熱かったから測りたいんだ。」

「……熱あったら…?」

「熱あったら、夕食はお粥にしようかな。」

「ご飯…ある…?」

「あるよ。お粥食べれなかったら卵スープでもいいし、うどんでもいいよ。食べれそうなの食べようか。」

…コクリ

不安そうな目で俺を見つめる奏くんをもう一度優しく抱きしめる。

「大丈夫だよ。一緒にご飯食べようね。」


熱が出たらご飯は精液。
そんな普通の人では考えもつかない常識を変える1歩目をやっと踏み出せた気がした。
しおりを挟む

処理中です...