こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

384、約束破っちゃった 奏side

手を噛んでしまった…
斗真さんに止められたのに無視して噛み続けて赤い歯型がくっきり付いてる…

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

冷たいのを手に当てながら何度も斗真さんに謝る。
その度に「いいよ。」って言って背中を撫でてくれる。

…自分のこと傷つけないって約束したのに…また約束破っちゃった…

落ち着いた後はいつもこうやって後悔するのにどうして傷つけてる時は止めれないんだろう……


傷つけたい気持ちは我慢できない…
どうして……もう…したくないのに………

「もう大丈夫だよ。怖かったんだよね。」

気付いたら涙が止まらなくなっていて斗真さんが優しく抱きしめてくれた。

でもこの涙は怖かったからじゃない…悔しいんだ…自分で自分を制御できない悔しさの涙。

「また約束破った…」

「うん、怖くて衝動を抑えれなかったんだよね。1人で抱えて辛かったね。」

「……我慢…できなかった…っ…っっ……っ…」

「うん、今回は傷つけちゃったけど、今そう思ってくれてることが俺は嬉しいよ。ありがとう。」

「……ごめんなさい……ごめんなさい……」

「いいよ。大丈夫だよ。」

斗真さんの言葉を聞く度にほんとに許された気がして静かに涙が落ちる。

自分を傷つけたことを責めず僕の気持ちを考えてくれた言葉に救われた。