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367、人格交代 奏side
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僕は間違ってない。
何故か僕の気持ちは強気で落ち着いていた。
今まで頭の中で否定し続けていた『商品』の言葉。
僕は商品じゃない。
お父さんとお母さんが亡くなって2人から解放されてからより一層自分は商品じゃないって、やっと自分の体が自分の物になったようなそんな感覚になっていたのに。
どこかで自分を商品だと認めている自分がいた。
親やお客さんから何度も言われた『商品』。
否定しても体が商品だと何度も証明してくる。
「奏くんは商品じゃないよ。」
「……どうして……」
「奏くんも自分で言ってたじゃないか。もう商品じゃない。自分の体だって。」
「………」
……なんか言わなきゃ…言わなきゃって思うのに頭がボーっとして口が開かない。
「奏くん?」
「…………」
「奏くん?こっち見て、」
パシッ!
え……
顎に当てられた斗真さんの手を叩いてしまった。
ごめんなさい…謝りたいのに声が出ない。
「奏くん?、」
「………うるせぇ」
「え?」
え…何言ってるの??
自分の口から聞いた事のないような低い声が聞こえた。
「奏くん?」
「うるせぇ!!!離せよ!俺に触んな!商品だって言ったのはてめぇらだろうが!!!」
っ!やめて…僕…何言ってるの?斗真さんにそんなこと言わないで…
「奏くん?……落ち着いて、ゆっくり話そ。」
「触んな!もう誰も俺に触るな!!!!」
「分かった。分かった触らない。だから落ち着いて、」
ガッ!ガシャ!ガシャ!
いきなりテレビ台の引き出しを開け中を物色しだした。
「何探してるの?」
「…カッター。カッターどこ。」
「そこには無いよ。カッターで何するの?」
「血出す。」
「ダメだよ。体傷つけないって約束しただろ。」
「は!?落ち着けって言ったのはお前だろうが!」
「自傷行為以外で落ち着く方法考えよ。」
「意味分かんねぇ、…お前もアイツらと一緒かよ。」
「一緒?何が?」
「商品だから?商品だから傷付けんなって言いたいのかよ!」
「そんなこと言ってない。奏くんは商品じゃない。」
「じゃあ犯せよ!無茶苦茶になるまで気失うまで犯せよ!」
「何してるの。犯さないし、服着て。」
脱ごうとする僕の手を力ずくで服から離させて服を着せた。
「……君は奏くん?」
「………商品……」
「名前は?」
「………商品……」
「…そっか、分かった。触ってもいい?」
「触ってるじゃん。」
掴まれてる手首を見てそう言った。
……この人は誰…
斗真さんは僕じゃないことに気づいてるみたいだった。
僕の体で僕の口で喋ってるけど…僕じゃない…
「そうだね。ごめんね。君は俺の事知ってる?」
「……奏が好きな人だろ。」
「そっか、奏くんは俺の事好きなんだ。君は?俺の事どう思ってる?」
「…別に……」
「そっか、初めましてだもんね。」
「……お前もどうせアイツらと一緒だろ。使うだけ使って使い物にならなくなったら捨てるんだ。」
「捨てたりしないよ。」
「ふっ、そういう嘘もう聞き飽きた。
どうせ俺は消耗品だろ。金を稼ぐ道具。性を満たす道具。」
「道具なんかじゃないよ。」
「何真剣な顔しちゃってんの笑 どうせお前だって奏の喘ぎ声聞いたら狂ったように犯し潰すくせに。」
「そんな事しない。」
「はいはい、もういいよ。」
「良くない。俺はそんなことしない。奏くんはちゃんと分かってくれてるよ。」
「奏はすぐ騙されるんだよ。アイツ、バカだから。」
パシッ!
「っ!!!何すんだてめぇ!」
右頬がジーンとする。叩かれた…?
「奏くんのことを悪く言うな!君が奏くんの一部だとしても奏くんを少しでも悪く言う奴は俺は許さない。二度と奏くんのことを悪く言うな。」
「っ!………」
「分かったか。」
「………………っ……………っっん………っっ…っっっ……」
「奏…くん…?」
涙がつーっと流れて右頬を触るとジンジンと痛みを帯びていく。
「っ!ごめん!ごめん、痛いな。ごめん、」
「…っ…フルフル…斗真さん…………ありがと。」
「え?」
「……嬉しかった……えへへ、痛いけど嬉しかった。」
「そっか、良かった。おかえり、」
「………ただいま……さっきの人は?」
「ん?、んー、分かんない。奏くんはどこにいたの?」
「……この辺?」
頭の上を指差した。
「そっか、見てたんだね。」
「………ごめんなさい………悪い言い方したりお手手叩いたりごめんなさい 。痛い?」
「大丈夫だよ。それより奏くんのほっぺたの方が心配。冷やそうか。」
「っ!大丈夫、一人やだ……」
「…分かった。じゃあ冷えピタだけ貼っとこうか。」
引き出しから取り出して頬に貼ってくれた。
斗真さんが僕のために怒ってくれた。
……嬉しかった。
さっきの人が何処に行っちゃったのか誰なのかは分かんなかったけど、あの人が大きい声で喋ってからなんとなく気持ちがスッキリしたような気がした。
何故か僕の気持ちは強気で落ち着いていた。
今まで頭の中で否定し続けていた『商品』の言葉。
僕は商品じゃない。
お父さんとお母さんが亡くなって2人から解放されてからより一層自分は商品じゃないって、やっと自分の体が自分の物になったようなそんな感覚になっていたのに。
どこかで自分を商品だと認めている自分がいた。
親やお客さんから何度も言われた『商品』。
否定しても体が商品だと何度も証明してくる。
「奏くんは商品じゃないよ。」
「……どうして……」
「奏くんも自分で言ってたじゃないか。もう商品じゃない。自分の体だって。」
「………」
……なんか言わなきゃ…言わなきゃって思うのに頭がボーっとして口が開かない。
「奏くん?」
「…………」
「奏くん?こっち見て、」
パシッ!
え……
顎に当てられた斗真さんの手を叩いてしまった。
ごめんなさい…謝りたいのに声が出ない。
「奏くん?、」
「………うるせぇ」
「え?」
え…何言ってるの??
自分の口から聞いた事のないような低い声が聞こえた。
「奏くん?」
「うるせぇ!!!離せよ!俺に触んな!商品だって言ったのはてめぇらだろうが!!!」
っ!やめて…僕…何言ってるの?斗真さんにそんなこと言わないで…
「奏くん?……落ち着いて、ゆっくり話そ。」
「触んな!もう誰も俺に触るな!!!!」
「分かった。分かった触らない。だから落ち着いて、」
ガッ!ガシャ!ガシャ!
いきなりテレビ台の引き出しを開け中を物色しだした。
「何探してるの?」
「…カッター。カッターどこ。」
「そこには無いよ。カッターで何するの?」
「血出す。」
「ダメだよ。体傷つけないって約束しただろ。」
「は!?落ち着けって言ったのはお前だろうが!」
「自傷行為以外で落ち着く方法考えよ。」
「意味分かんねぇ、…お前もアイツらと一緒かよ。」
「一緒?何が?」
「商品だから?商品だから傷付けんなって言いたいのかよ!」
「そんなこと言ってない。奏くんは商品じゃない。」
「じゃあ犯せよ!無茶苦茶になるまで気失うまで犯せよ!」
「何してるの。犯さないし、服着て。」
脱ごうとする僕の手を力ずくで服から離させて服を着せた。
「……君は奏くん?」
「………商品……」
「名前は?」
「………商品……」
「…そっか、分かった。触ってもいい?」
「触ってるじゃん。」
掴まれてる手首を見てそう言った。
……この人は誰…
斗真さんは僕じゃないことに気づいてるみたいだった。
僕の体で僕の口で喋ってるけど…僕じゃない…
「そうだね。ごめんね。君は俺の事知ってる?」
「……奏が好きな人だろ。」
「そっか、奏くんは俺の事好きなんだ。君は?俺の事どう思ってる?」
「…別に……」
「そっか、初めましてだもんね。」
「……お前もどうせアイツらと一緒だろ。使うだけ使って使い物にならなくなったら捨てるんだ。」
「捨てたりしないよ。」
「ふっ、そういう嘘もう聞き飽きた。
どうせ俺は消耗品だろ。金を稼ぐ道具。性を満たす道具。」
「道具なんかじゃないよ。」
「何真剣な顔しちゃってんの笑 どうせお前だって奏の喘ぎ声聞いたら狂ったように犯し潰すくせに。」
「そんな事しない。」
「はいはい、もういいよ。」
「良くない。俺はそんなことしない。奏くんはちゃんと分かってくれてるよ。」
「奏はすぐ騙されるんだよ。アイツ、バカだから。」
パシッ!
「っ!!!何すんだてめぇ!」
右頬がジーンとする。叩かれた…?
「奏くんのことを悪く言うな!君が奏くんの一部だとしても奏くんを少しでも悪く言う奴は俺は許さない。二度と奏くんのことを悪く言うな。」
「っ!………」
「分かったか。」
「………………っ……………っっん………っっ…っっっ……」
「奏…くん…?」
涙がつーっと流れて右頬を触るとジンジンと痛みを帯びていく。
「っ!ごめん!ごめん、痛いな。ごめん、」
「…っ…フルフル…斗真さん…………ありがと。」
「え?」
「……嬉しかった……えへへ、痛いけど嬉しかった。」
「そっか、良かった。おかえり、」
「………ただいま……さっきの人は?」
「ん?、んー、分かんない。奏くんはどこにいたの?」
「……この辺?」
頭の上を指差した。
「そっか、見てたんだね。」
「………ごめんなさい………悪い言い方したりお手手叩いたりごめんなさい 。痛い?」
「大丈夫だよ。それより奏くんのほっぺたの方が心配。冷やそうか。」
「っ!大丈夫、一人やだ……」
「…分かった。じゃあ冷えピタだけ貼っとこうか。」
引き出しから取り出して頬に貼ってくれた。
斗真さんが僕のために怒ってくれた。
……嬉しかった。
さっきの人が何処に行っちゃったのか誰なのかは分かんなかったけど、あの人が大きい声で喋ってからなんとなく気持ちがスッキリしたような気がした。
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