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365、外に出たら 斗真side

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車まで自分で歩きたがってたがやっぱり怖いみたいでピッタリと体をくっつけていた。
   
今も怖いのか俺の服を掴んだまま俯いている。

「おいでー、」

フルフル

「おいで、」

拒否されたが放っておけず脇に手を入れて膝に乗らせた。

乗せると大人しく胸に顔を押し当てられた。

「大丈夫、大丈夫。」

背中を擦り落ち着かせる。

「……斗真さん…」

「どうした?」

「…苦しい…」

「っ!苦しい?」

顔を見ると上手く吸えないのか涙目で顔が赤くなっている。

「ゆっくり息しよう。大丈夫、大丈夫。」

このままだと過呼吸になってしまう。

フードを被らせ、抱きしめる。

「大丈夫、大丈夫、ゆっくり吸ってー、吐いてー、」

口元にハンカチを当てて息をさせるが体が強張ったままで力が抜けず上手く息ができない。

外が怖いのか、一度家に戻った方がいいかな。

「奏くん聞こえる?」

コクリ、コクリ

「お家戻る?」

…フルフル
「…っ…はっ…っ…でも…でも……」

「お家戻って落ち着いたら帰ろうか。」

「っ…ん…っ‥…ごめんなさい…っ…」

「謝らなくていいよ。大丈夫、大丈夫。」

涙が止まらなくなって余計苦しくなった。

「大丈夫、大丈夫。」

荷物は車に置き、奏くんを抱き家に戻ることにした。

家に入るまで力いっぱい俺にしがみつき乱れた呼吸を繰り返す。

「着いたよ。」

っ!
中に入った途端過呼吸になり手足が痺れているのか上手く服を掴むこともできず泣き崩れてしまった。

泣くと余計苦しくなる。できるだけ早く落ち着かせないと。

「大丈夫、もう怖くないよ。家に着いたからね。」

アウターを頭から掛け視界を塞ぎ嗅覚に集中できるようにする。

「大丈夫、大丈夫、」

泣き止むことはできたが息は苦しいみたいで荒い吐息が聞こえる。

朝は落ち着いてたけど家に来てから微熱もあったり気分も悪くなったり精神的に不安定になってるのかな。
原因は外が怖かったのと明日からウチに来るって決まって不安になったからかな…




とりあえず落ち着くまでこのまま様子を見るか。






_________


「……斗真さん…ごめんなさい…」

「謝らなくていいよ。もう苦しくない?」

「苦しくない。」

「そっか、良かった。お水飲める?」

水を持っていくと喉が渇いていたのか全部飲んでくれた。

「…ありがとう。」

「少し休憩しようか。」

奏くんを抱きしめてソファーに座りテレビを付けた。
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