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322、迷惑かけたから 奏side

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真っ暗のお部屋で一人

「っ…っ………」

気持ちを抑えたいのに溢れてくる。
涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃ…

もうどうしたらいいか分からない。

今までこんな感情になったことがない。
ここに来て色んな感情が芽生えて、感情はしんどい。

苦しい

もう嫌だ。

もう全部嫌だ。

迷惑ばかりかける僕も、
斗真さんに嫌われたくないって願う僕も、

愛されたいと願う僕も

全部嫌だ。

愛されないことくらい知ってるのに

なんで僕は学ばないんだ。
優しくされたら期待して、
何度も裏切られたのに期待することを辞められない。

僕は馬鹿だ。

馬鹿、馬鹿、馬鹿、
「ばか……ばか……くず…やくたたず………役立たず」

お母さんが僕に放つ。

分かってる
分かってる
分かってる
聞きたくない。聞きたくない!

うずくまって耳を塞ぎ声にならない声で叫ぶ。
頭に血が上って目がチカチカする。

「っ……っ!…っー!」

何度も腕を噛んで痛みを感じ気持ちを鎮める。

「…はぁ…はぁ…………はぁ…はぁ…」

…またやってしまった…
自分の体傷付けないって斗真さんと約束したのに…
約束破った…
怒られる……
部屋が暗くて傷が見えないけどバレるかな…目立つかな…袖を伸ばして腕を隠す。
血の味はしない…バレないよね…

もしバレたら………ぅ…
落ち着いたはずの心がまた波を打つ。


コンコン

ビクッ!斗真さん?

「入ってもいい?」

この声…美香さん…?

コクリ

ドア越しで伝わらないのに頷いた。

そーっと襖が開き光が入る。
眩しくて目を細める。


「入ってもいい?」

もう一度頷く。

「ありがとう、   あら、いっぱい泣いたのね。」

美香さんは僕の顔を見て言った。

「顔拭こうね。」

ッ…

温かいタオルで顔を拭いてくれた。

「可愛いお顔。」

その言葉にまた泣きそうになる。

「我慢しなくていいわよ。そうだ、斗真から」

クッキー…
クッキーを抱きしめて心を落ち着かせた。

「可愛いっ、良かったわね。」

コクリ
「…ありがとう…クッキーと一緒…ありがとう…」

「クッキー?その子の名前?」

コクリ
「クッキーと同じ色だから」

「そっか~良い名前ね」

コクリ


「…斗真さんがご褒美にクッキーくれた………なのに…僕…迷惑ばっかり………っ…」

抑えていたはずの気持ちがまたぶり返す。


「迷惑?何かしたの?」

「……全部」

「全部?」

「僕のせいで斗真さん寝れない…それなのに起こして…それで…怒らせて…なのに………嫌ってした…」

「斗真寝れてないの?」

「僕が座ってたから斗真さんも座ってて…それで…それで…」

「うん、ゆっくりでいいよ。思ってること教えて、」

「……さっき…斗真さんが寝てて…」

「うん、」

「なのに僕が起こしちゃって…それで…僕が気持ち悪くなって…そしたら斗真さんが僕をトイレに…………それで…それで………」

「うん、   大丈夫、ゆっくりでいいよ。」

「斗真さん怒ってて…それで……うえって全部出して……それで……」

「そっか、それで怖くなってここにいたの?」

ッ!フルフル

「怖い違う…斗真さん悪くない…僕が僕が悪くて…なのに…なのに斗真さんが僕に優しくするから…」

「そっか、優しいのが辛かった?」

………コクリ

「優しさってたまに痛い時あるよね。」

「………」

「いっその事めちゃくちゃ怒ってくれたらいいのにって、そしたら反省できるし前向けるのに無駄に優しくされちゃうとどうしたらいいか分かんなくて自分で自分を責めることしかできなくなっちゃうよね。」

…コクリ

美香さんが僕の気持ちを紐解いてくれた。
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