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320、これ以上 奏side

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気持ちよさそうに眠る斗真さんを起こさないようにしなきゃ…
昨日僕がちゃんと寝なかったから斗真さんもあまり寝れなかったのかもしれない。起きた時斗真さんも一緒に座ってたし…
僕のせいで…斗真さんに迷惑がかかってる…

迷惑……
迷惑ばっかりかけてる……
ずっと僕に構ってくれてる……僕が何もできないから…すぐ泣いて困らせてばかり…
こんな僕じゃ嫌われても仕方ない。
僕はなんで学習しないんだろう…お父さんとお母さんにも嫌われて…斗真さんにも嫌われる…

仕方ないよ。僕が悪い。

優しい斗真さんに甘えた……人はずっと優しいはずないのに…知ってたのに……


「奏くん、」

ッ!

「眠れない?」

…………

「どうした?しんどい?なんか顔色悪いね。」

斗真さんを起こしてしまった。
どうしよう…どうしよう…
また…迷惑…迷惑…

「っ…ぅ……」

胸がムカムカして何かが上がってくる感覚に慌てて口元に手を当てる。

ゴック…
「っ……っ……」

「吐いてもいいよ。」

体を起こして袋を口元に当ててくれた。

フルフル
吐きたくない…

「我慢はよくないよ?出ない?」

「っ………っ……」

吐きたくない
これ以上迷惑かけたくない。
口元に手を当てて必死に吐き気を抑える。

「…おいで、」

ッ…

抱き上げられトイレに連れてこられた。
…怒らせた……
また閉じ込められるっ!
怖くて斗真さんから離れようと必死に抵抗するが離してくれない。

ヤダ!怖い!

「ごめんな、怖いけどちょっと我慢して、」

「ぅっ!んぅ!」

抵抗を続けたがトイレの前まで連れてこられ口の中に無理矢理指を入れられた。

「っっ!!!ぅぁぇええええ…」

「ごめんな、」

「っ……ぁは…はぁ…はぁ…はぁ…………はぁ…」

「口ゆすごう。」

洗面所で口を綺麗にした…
斗真さんはずっと優しくて、どうしたらいいかが分からない…




「大丈夫?まだ気持ち悪い?」

………フルフル

目を見るのが怖くて俯く僕を心配そうに見てくる。
さっき全部出してくれたから気持ち悪くない…

でも…頭が重たくてぼーっとする…

「ごめんね、怖かったね。」

斗真さんは怒らず優しく抱きしめてくれる。
いつもなら安心するのに今はこの優しさが辛い…

また泣きそうになってしまう…これ以上…これ以上迷惑かけたくない。

「どこ行くの?」

斗真さんから離れて和室に向かう。

来ないで……1人にして……もう迷惑かけたくない…
自分で何とかするから…

心の中でそう言い静かに和室を閉めた。
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