こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

神娘

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312、プレゼント 斗真side

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家に着くと奏くんが出迎えてくれた。
少し目が赤かったからお留守番が辛かったのかと心配したがそうではなかったみたいで安心した。
母さんと一緒に作ったクッキーを見せたくてウキウキしてる。俺の手を引く後ろ姿だけでもう可愛い。

「良い匂い!上手に出来たねー!」

コクリ コクリ
「あのね、あのね、僕ね、混ぜ混ぜして型抜きしたの。」

よっぽど楽しかったんだな。やったことを教えてくれる。

「そっかー、楽しかった?」

コクリ コクリ
「楽しかったっ」

「良かった笑」

必死に話す姿が子どもらしくて思わず頬が緩む。
1時間半くらいしか離れてなかったのに話したいことが沢山できたんだなぁ。

こうやって言葉で伝えれるようになったんだなぁ。

「クッキー食べながらゆっくり話そっか。」

コクリ コクリ

母さんに言われ奏くんと一緒に机に準備をする。

「何飲む~?」

「クッキーならコーヒーとかミルクとか合うけど…飲めるかな?」

「……斗真さんと一緒がいい。」

「じゃあ、ホットミルクにしようか。砂糖多めで、」

「は~い」

「ほっとみるく?」

「牛乳飲んだことある?」

「………」

「牛知ってる?」

「うし…動物の?」

「そう、その牛のミルクだよ。」

「牛のミルク……コクリ、」

多分あんまり分かってないな笑
そう思いつつも理解しようとしてることに感心した。

奏くんは新しいことを吸収する力が凄いし、考える力もある。
色々経験してどんどん学んでいくんだろうな。



「できたよ~」

「はーい、」

「ホットミルクは熱いから気をつけてね~」

コクリ

「ありがと、」

「は~い、じゃあいただきま~す」

「「いただきます」」

ジー
反応が気になるのかじっと見つめられる。

「っん!美味しい」

「ほんとだ~美味しい~」

パァ~
表情はあまり変わらないが、穏やかな表情になったのが分かった。

パクッ
「!!…モグモグ…おいしい」

「ふふっ笑  美味しいね。」

コクリコクリ

「奏くんの愛情が入ってるから美味しいのよ~」

「あいじょう?」

「美味しくな~れ♪斗真に美味しいクッキーを食べさせてあげたいな♪っていう奏くん愛が入ってるから美味しいのよ。」

「愛……僕の愛、美味しい?」

➳♡ズキュン

「っ!!、美味しいよ」

危ない危ない…不意打ちすぎて脳がパンクするとこだった…
たまに来る無意識の可愛さにいつもドキドキする。

頑張って平然を装ったが母さんにはバレてたようでクスクス笑われる。


「あ、そうだ。美味しいクッキーのお礼に奏くんへプレゼント。どうぞ、」

「?!?!、僕に?」

「うん、奏くんに」

綺麗にラッピングされたプレゼントを渡すと目をキラキラさせながらプレゼントを見つめている。

「開けていいよ。」

ッコクリ

そーっとリボンを外してそっと中を覗く。

「え!…わぁ!くまさん!ふわふわ!可愛い!いいの??」

「良いよ。今日沢山頑張ったからご褒美。まだ入ってるよ。」

「…お星様??」

「前髪を留めるピン留め、どっちがいい?」

「えっと…えっと…水色」

「貸してー、ここ押したら開くから、これで髪を挟んで、お!似合うねー。」

「わぁ~!ありがとう、ありがとう」

鏡を見て喜んでくれた。
こんなに喜んでくれたらプレゼントし甲斐があるよな~

「良かったわね~クッキー作りもたくさん頑張ったもんね~」

コクリ コクリ
「ありがとう、ありがとう…っ…ありがとうっ……ぅ…ぅ…」

嬉しいのキャパを超えるとやっぱり泣いてしまう。

「おいでー、」

コクリ

抱きしめると嬉しい気持ちを処理しきれなくて「ありがとう」を何度も言いながら涙をこぼした。

落ち着いたころには目は真っ赤になっていた。
帰った時も赤かったけどさっきよりも真っ赤だな笑

泣き疲れたのかぼーっとしている。

「ホットミルク飲む?丁度いい温かさだよ。」

コクリ
落としそうでコップを下から支える。

「一口飲もうか?」

…コクリ

初めてのものはやっぱり怖いのかな。
一口飲んで見せると俺の顔を見てからまたホットミルクを見つめる。
恐る恐るコップに口をつけ、一口含む。

「ゴクッ…美味しい…」

「良かった。」

ゴクゴク
一気に飲み干した。
好きな飲み物になったかな?

「ホットミルクは美香さんの愛情で美味しいの?」

「そうよ~愛情込めて作ったからね♪美味しかったでしょ~」

コクリ
「美味しかった」

「そっかそっか~ほんと可愛いなぁ~」

母さんは満足そうに奏くんの頭を撫でた。





コク…コク……

クッキー食べて、ホットミルクも飲んで程よく温まって、さっき泣いたのもあってかさっきからコクコクと頭が動く。

気に入ってくれたみたいでクマのぬいぐるみを抱きしめている。
クマにお腹引っ付けて安心できたのかな。

コク…コク……

「寝てもいいよ。」

ッ…フルフル…

頭を振って起きようとするが肩からブランケットを掛けて体を倒してやるとすぐ眠りに落ちた。

昨晩も全然眠れてないし、今日は沢山頑張って疲れたね。俺の家で寝た時よりも長く寝てくれる気がした。


「奏くん寝た?」

「うん、クマ抱きしめて寝てる。」

パシャ

ぬいぐるみを抱きしめて眠る奏くんの寝顔が可愛すぎて1枚撮らせてもらった。

「良いの撮れた?」

「うん、撮れたよ。めっちゃ可愛い。」

「共有してね~」

「はーい笑」

起こさないようにそーっと離れ、母さんがいるキッチンへ向かった。
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