こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

296、食べれるだけ 奏side

「よし、食べようか。お手伝いありがとね。」

ご飯の準備が終わりお礼を言われた。
嬉しいはずなのにどうしたらいいか分からずモジモジしてしまう。

「ふふっ笑 食べようか。」

ｺｸﾘ
そんな僕を見て斗真さんは優しく笑った。

「食べれるだけ食べたらいいからね。」

ｺｸﾘ

無理に食べさそうとはせず小皿に少量のおかずを乗せてくれた。

いつもと同じように斗真さんが食べてるのをじっと見つめてから少量口に入れる。


「食べれそう？」

口に入れた少量の魚を一生懸命噛んでいると、顔を覗かれた。

飲み込まなきゃ…分かってるのに喉が開かなくてだんだん苦しくなってきた。

「無理に食べなくていいよ。    出していいよ。」

ティッシュを口元に当てられる。
ﾌﾙﾌﾙ
食べたい…せっかく斗真さんが作ってくれたからちゃんと食べたい。

「うーん、本当に無理しなくていいよ。スープとかの方が良かったね。ごめんね、お味噌汁の汁で流し込む?」

…ｺｸﾘ

程よく温かいお汁が口に流れてきた。
っ………っ…ｺﾞｸｯ

「…っ…飲めた。」

「良かったー、」

「お魚おいしかった。」

「そっか、良かった。でも、今日は難しかったらお味噌汁だけでもいいよ。」

………ｺｸﾘ
本当は全部食べたかったけど今日は斗真さんの優しさに甘えてお味噌汁を飲むことにした。

お麩とワカメが入っていて美味しい。
温かくて、胸もぽかぽか温かくなった。。
両手でお椀を持ってお味噌汁を味わう。